2018/12/09

考える日本人

 【書 名】考える日本人
 【著 者】本郷和人
 【発行所】河出新書
 【発行日】2018/11/20
 【ISBN 】978-4-309-63102-8
 【価 格】840円

信、血、恨、法、貧、戦、拠、知、三、異をテーマに日本史を語る一冊です。いろいろと考えされられる1冊です。

■世襲文化
遣隋使、遣唐使などを通じて大陸の最新文化を導入しましたが、導入しないものもありました。それが科挙制度。今でいえば公務員試験を突破しないと官僚になれないという制度です。家として、ずっと合格者を出し続けることは無理なので貴族が選んだのが世襲制です。アホでも血統さえよければ家をつなぐことができる制度です。こうなると前例主義、形式主義的になっていきます。ただ明治時代にこれが崩れましたが国を主導したエリートが突き進んだのが太平洋戦争でした。

■日本軍は弾を打てた
この太平洋戦争の時、兵站を考えずに大東亜共栄圏などの精神主義が横行しました。今、考えると何でエリートがコスト計算せずに戦争をしていたのか、よく分かりませんが作られたのは命令に従う軍隊でした。日本の軍隊は相手に弾を打てたそうで、これは当たり前ではなくアメリカの南北戦争の時には兵士の半分は弾を打っていませんでした。上司に命令されても相手の上に向かって打っていました。生きている人間に弾を打つのは、ふつうの市民にはなかなかできませんでした。これは面白い視点ですねえ。

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2018/10/07

日本史のミカタ

 【書 名】日本史のミカタ
 【著 者】井上章一、本郷和人
 【発行所】祥伝社新書
 【発行日】2018/09/10
 【ISBN 】978-4-396-11545-6
 【価 格】840円

日本史に関する対談集ですが、朝廷と歴代幕府との関係の見方などが面白いですね。特に京都の見方。常備軍を持つのは金がかかるので京都をピカピカに光らせることで文化でも経済でも京都に集まる仕組みを作ります。虫が街灯に吸い寄せられて集まるのと同じです。そんな京都の魅力の一つが女官による「おねえさん力」。新田義貞はこの力で後醍醐天皇側につくことになります。

朝廷の建前は公地公民ですので自分が荘園領主になるわけにはいきません。そこで上皇は御願寺を建て、荘園を寺の領地にしてしまって利益をとるシステムとなります。御家人の借金を棒引きにする徳政令対策のために土倉・借上などの商人は担保になる土地を寺に寄進することを条件に融資をします。これなら徳政令がおよびません。ペーパーカンパニーを作るようなもので、当時はお寺はタックスヘイブンでもありました。

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2018/09/15

日本史真髄

 【書 名】日本史真髄
 【著 者】井沢元彦
 【発行所】小学館新書
 【発行日】2018/08/08
 【ISBN 】978-4-09-825318-0
 【価 格】840円

ケガレ、和、怨霊、言霊、朱子学、天皇を視点にして日本史を見ると見方が変わってきます。

■持統天皇
天皇が亡くなると古墳を造り土葬が当たり前だったのを自らは火葬することを命じたようです。呪力のある天皇が亡くなれば穢れるため遷都せざるをえませんが火葬によって同じ都を営むことができるようになります。これが藤原京になります。また古墳を取り巻く堀は水を使って穢れを閉じ込めるための結界でもありました。

■武士の誕生
律令には兵部省と刑部省がありましたが、人を殺すような汚れ仕事をやりたくないため結局は有名無実化。機能しなくなります。そこで作ったのが検非違使。令外官でしたが、これをまかせたのが源氏や平氏で、武力をもった武士が台頭することになります。崇徳天皇が死に際し、天皇家を呪ったため武士の世が誕生したと考えられました。明治維新で朝廷に政権が戻った時に明治天皇が勅使を送ったのが讃岐の白峰宮(崇徳天皇を祀った陵)でした。

■西郷隆永
西郷隆盛の通称は吉之助で、別に諱がありますが、よほど親しくないと教えるものではありませんでした。明治となって名前を統一しようという時に友人が西郷は隆盛じゃなかったっけなと届け出したため、西郷隆盛となり、本当は隆永だったようです。

■言霊
宴会の最後で今も使われる「お開き」という言葉。終わりといえばいいものを今も言霊社会は続いています。

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2018/09/11

上皇の日本史

 【書 名】上皇の日本史
 【著 者】本郷和人
 【発行所】中公新書ラクレ
 【発行日】2018/08/10
 【ISBN 】978-4-12-150630-6
 【価 格】880円

退位した天皇が上皇となりますが自動的になるものではなく、特に治天の君になるのはいろいろな条件があります。また院政だったのに摂関政治が復活することもあり万全なものではありませんでした。

■鎌倉幕府が滅んだ理由
後醍醐天皇は最初から討幕を志向していたようで、危ない人物に貴族は近寄らず異形の人たちが周りを固めていました。これで鎌倉幕府がしっかりしていればよいのですが、霜月騒動が起きます。幕府と朝廷は手を取り合って日本全体の政治責任をとっていこうと考えていた安藤泰盛一族が滅ぼされてしまいます。勝ったのは幕府は御家人のためにあるんだから御家人にさえよければよいと考える武士です。そして永仁の徳政令が出ます。「御家人が御家人以外に売った土地はタダで取り返せる」というとんでもない法令で、頭にきたのが新興の武士、いわゆる悪人と呼ばれる異形の人たちです。

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2018/08/02

初期室町幕府研究の最前線

 【書 名】初期室町幕府研究の最前線
 【著 者】日本史史料研究会
 【発行所】洋泉社歴史新書
 【発行日】2018/06/19
 【ISBN 】978-4-8003-1508-3
 【価 格】950円

副題が「ここまでわかった南北朝期の幕藩体制」。鎌倉幕府を倒し建武の新政がはじまりましたが、後醍醐天皇とたもとを分かった足利尊氏が楠木正成、新田義貞という忠臣を滅ぼし室町幕府を成立させたという話がありますが、実際はそんな単純な話ではなく、けっこう複雑でした。

もともとは後深草上皇と亀山上皇が兄弟ながら治天の君の座を争ったのが発端。皇統が持明院統と大覚寺統に分かれ鎌倉幕府も苦慮することになります。大覚寺統の後醍醐天皇が皇統の一本化を考えましたが建武の新政が失敗し、足利尊氏は対抗上、北朝を作ります。ただ尊氏は後醍醐天皇と和睦して皇統統一をはかろうとしていたようです。吉野に後醍醐天皇が移っても北朝側では皇太子をたてずに交渉していました。しかし交渉がうまくいかず最終的に征夷大将軍となり南北朝時代へと突入していきます。

九州がキーワードだった。新田義貞、楠木正成、北畠顕家に敗れた足利尊氏は九州へ逃れ体制を立て直して京都へ戻ってきます。同じように北朝に敗れた南朝も九州で勢力をのばしました。懐良親王を中心にまとまっていました。ちょうど倭寇に悩まされ、できたばかりの明から使者がきて懐良親王は日本国王に認定されます。足利義満といえば日明貿易で儲けたというイメージがありますが、懐良親王から代わって貿易をはじめるまで大変だったようです。

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2018/07/15

逆転した日本史

 【書 名】逆転した日本史
 【著 者】河合 敦
 【発行所】扶桑社新書
 【発行日】2018/07/01
 【ISBN 】978-4-594-07993-2
 【価 格】830円

最新の学説などによって日本史がけっこう変わっています。昔、源頼朝像と習った肖像画はどうも足利直義らしく、蒙古襲来絵詞では竹永季長に向かって矢や”てつはう(手榴弾)”を投げつけている蒙古兵は、江戸時代に書き足したようです。最初は逃げる蒙古兵を追うシーンで描かれた模様。

■薬子の変 → 平城太上天皇の変
薬子というのは平城天皇に嫁いだ娘の母親。女官でついてきて平城天皇の寵愛を受けることになります。病気もあり弟の嵯峨天皇に攘夷しましたが、もう一度復権しようとしたのが平城太上天皇の変で薬子が主体的に動いたわけではなく、変わったそうです。

この騒ぎで嵯峨天皇の皇太子だった高岳親王は平城天皇の子供だったこともあり廃され、仏門に入ります。唐へ渡り修行し、最後はインドにまで修行の旅に出かけ途中で亡くなったようです。こんな歴史もあったんですね。

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2018/06/09

日本と世界がわかる最強の日本史

 【書 名】日本と世界がわかる最強の日本史
 【著 者】八幡 和郎
 【発行所】扶桑社新書
 【発行日】2017/04/20
 【ISBN 】978-4-594-07626-9
 【価 格】880円

「雄略天皇の半島支配を中国は認めていた」などいろいろな視点を提供している本です。

倭王武(雄略天皇)が中国に出した上表文「昔からわが祖先は、みずから甲冑をつけて、山川を越え、安んじる日もなく、東は毛人を征すること五十五国、西は衆夷を服すること六十六国、北のほうの海を渡って、平らげること九十五国に及んでいます」。大和を中心に東西に支配を拡げ、朝鮮半島にまで進出したというのが当時の認識だったと分かります。神武東征はあったかもしれませんが、創業期に日向から出てきた記憶が残っているだけで、父祖の地として大切にしたのでしょう。

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2018/05/12

征夷大将軍 研究の最前線

 【書 名】征夷大将軍 研究の最前線
 【著 者】関口祟史&日本史史料研究会
 【発行所】洋泉社歴史新書
 【発行日】2018/04/19
 【ISBN 】978-4-8003-1458-1
 【価 格】980円

武家の棟梁として幕府を開くには征夷大将軍にならなければという説がありますが、もともと源頼朝が朝廷に求めたのは大将軍という地位。各地には藤原秀郷、源頼義など将軍と呼ばれた氏族の子孫がいて、一歩抜きんでた存在となるには将軍の上である大将軍になる必要がありました。

大将軍にもいろいろあり、木曽義仲が任じられた征東大将軍は義仲が非業の死を遂げたこともあり縁起が悪いということになり、坂上田村麻呂という実績があった征夷大将軍に任命されたというのが、そもそものようです。また征夷大将軍は源氏がなるものというイメージがありますが、そんなことはなく鎌倉時代後半には公家がなっていました。南北朝で討幕運動をしていた有名な護良親王も征夷大将軍になっています。


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2018/02/24

日本史のツボ

 【書 名】日本史のツボ
 【著 者】本郷和人
 【発行所】文春新書
 【発行日】2018/02/10
 【ISBN 】978-4-16-661153-9
 【価 格】840円

天皇、宗教、土地、軍事、地域、女性、経済の7つのツボで歴史をおさえます。鎌倉武士の年収は2000万円ほどですが貴族は10倍の2億円程度。「成功(じょうごう)」という官職を買うことが行われていましたが、三河の国の国司を平敦朝という人物が3600貫で買っています。大体、3億6千万円ほどで、国司になれば、それぐらい稼ぐことができます。貨幣経済が浸透したなか、登場したのが織田信長。

当時、上洛という考えが戦国大名の頭になかったなか、上洛を目指した織田信長にあったのは経済・流通の拠点だった京都をおさえることです。後を継いだ秀吉も経済至上主義でしたが家康は銭から石(米)へと経済政策を変更していきます。

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2017/05/13

学校では教えない「社会人のための現代史」

 【書 名】学校では教えない「社会人のための現代史」
 【著 者】池上彰
 【発行所】文芸春秋
 【発行日】2013/10/15
 【ISBN 】978-4163766409
 【価 格】1620円

副題が「池上彰教授の東工大講義 国際編」ということで講義録が本になっています。中東問題などを理解する場合、イギリスが中東でおこなった二枚舌外交やサイクス・ピコ協定などが発端となっています。映画「アラビアのロレンス」でも描かれていますが、現代史を理解するための背景を分かりやすく説明しています。

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