2018/08/02

初期室町幕府研究の最前線

 【書 名】初期室町幕府研究の最前線
 【著 者】日本史史料研究会
 【発行所】洋泉社歴史新書
 【発行日】2018/06/19
 【ISBN 】978-4-8003-1508-3
 【価 格】950円

副題が「ここまでわかった南北朝期の幕藩体制」。鎌倉幕府を倒し建武の新政がはじまりましたが、後醍醐天皇とたもとを分かった足利尊氏が楠木正成、新田義貞という忠臣を滅ぼし室町幕府を成立させたという話がありますが、実際はそんな単純な話ではなく、けっこう複雑でした。

もともとは後深草上皇と亀山上皇が兄弟ながら治天の君の座を争ったのが発端。皇統が持明院統と大覚寺統に分かれ鎌倉幕府も苦慮することになります。大覚寺統の後醍醐天皇が皇統の一本化を考えましたが建武の新政が失敗し、足利尊氏は対抗上、北朝を作ります。ただ尊氏は後醍醐天皇と和睦して皇統統一をはかろうとしていたようです。吉野に後醍醐天皇が移っても北朝側では皇太子をたてずに交渉していました。しかし交渉がうまくいかず最終的に征夷大将軍となり南北朝時代へと突入していきます。

九州がキーワードだった。新田義貞、楠木正成、北畠顕家に敗れた足利尊氏は九州へ逃れ体制を立て直して京都へ戻ってきます。同じように北朝に敗れた南朝も九州で勢力をのばしました。懐良親王を中心にまとまっていました。ちょうど倭寇に悩まされ、できたばかりの明から使者がきて懐良親王は日本国王に認定されます。足利義満といえば日明貿易で儲けたというイメージがありますが、懐良親王から代わって貿易をはじめるまで大変だったようです。

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2018/07/15

逆転した日本史

 【書 名】逆転した日本史
 【著 者】河合 敦
 【発行所】扶桑社新書
 【発行日】2018/07/01
 【ISBN 】978-4-594-07993-2
 【価 格】830円

最新の学説などによって日本史がけっこう変わっています。昔、源頼朝像と習った肖像画はどうも足利直義らしく、蒙古襲来絵詞では竹永季長に向かって矢や”てつはう(手榴弾)”を投げつけている蒙古兵は、江戸時代に書き足したようです。最初は逃げる蒙古兵を追うシーンで描かれた模様。

■薬子の変 → 平城太上天皇の変
薬子というのは平城天皇に嫁いだ娘の母親。女官でついてきて平城天皇の寵愛を受けることになります。病気もあり弟の嵯峨天皇に攘夷しましたが、もう一度復権しようとしたのが平城太上天皇の変で薬子が主体的に動いたわけではなく、変わったそうです。

この騒ぎで嵯峨天皇の皇太子だった高岳親王は平城天皇の子供だったこともあり廃され、仏門に入ります。唐へ渡り修行し、最後はインドにまで修行の旅に出かけ途中で亡くなったようです。こんな歴史もあったんですね。

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2018/06/09

日本と世界がわかる最強の日本史

 【書 名】日本と世界がわかる最強の日本史
 【著 者】八幡 和郎
 【発行所】扶桑社新書
 【発行日】2017/04/20
 【ISBN 】978-4-594-07626-9
 【価 格】880円

「雄略天皇の半島支配を中国は認めていた」などいろいろな視点を提供している本です。

倭王武(雄略天皇)が中国に出した上表文「昔からわが祖先は、みずから甲冑をつけて、山川を越え、安んじる日もなく、東は毛人を征すること五十五国、西は衆夷を服すること六十六国、北のほうの海を渡って、平らげること九十五国に及んでいます」。大和を中心に東西に支配を拡げ、朝鮮半島にまで進出したというのが当時の認識だったと分かります。神武東征はあったかもしれませんが、創業期に日向から出てきた記憶が残っているだけで、父祖の地として大切にしたのでしょう。

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2018/05/12

征夷大将軍 研究の最前線

 【書 名】征夷大将軍 研究の最前線
 【著 者】関口祟史&日本史史料研究会
 【発行所】洋泉社歴史新書
 【発行日】2018/04/19
 【ISBN 】978-4-8003-1458-1
 【価 格】980円

武家の棟梁として幕府を開くには征夷大将軍にならなければという説がありますが、もともと源頼朝が朝廷に求めたのは大将軍という地位。各地には藤原秀郷、源頼義など将軍と呼ばれた氏族の子孫がいて、一歩抜きんでた存在となるには将軍の上である大将軍になる必要がありました。

大将軍にもいろいろあり、木曽義仲が任じられた征東大将軍は義仲が非業の死を遂げたこともあり縁起が悪いということになり、坂上田村麻呂という実績があった征夷大将軍に任命されたというのが、そもそものようです。また征夷大将軍は源氏がなるものというイメージがありますが、そんなことはなく鎌倉時代後半には公家がなっていました。南北朝で討幕運動をしていた有名な護良親王も征夷大将軍になっています。


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2018/02/24

日本史のツボ

 【書 名】日本史のツボ
 【著 者】本郷和人
 【発行所】文春新書
 【発行日】2018/02/10
 【ISBN 】978-4-16-661153-9
 【価 格】840円

天皇、宗教、土地、軍事、地域、女性、経済の7つのツボで歴史をおさえます。鎌倉武士の年収は2000万円ほどですが貴族は10倍の2億円程度。「成功(じょうごう)」という官職を買うことが行われていましたが、三河の国の国司を平敦朝という人物が3600貫で買っています。大体、3億6千万円ほどで、国司になれば、それぐらい稼ぐことができます。貨幣経済が浸透したなか、登場したのが織田信長。

当時、上洛という考えが戦国大名の頭になかったなか、上洛を目指した織田信長にあったのは経済・流通の拠点だった京都をおさえることです。後を継いだ秀吉も経済至上主義でしたが家康は銭から石(米)へと経済政策を変更していきます。

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2017/05/13

学校では教えない「社会人のための現代史」

 【書 名】学校では教えない「社会人のための現代史」
 【著 者】池上彰
 【発行所】文芸春秋
 【発行日】2013/10/15
 【ISBN 】978-4163766409
 【価 格】1620円

副題が「池上彰教授の東工大講義 国際編」ということで講義録が本になっています。中東問題などを理解する場合、イギリスが中東でおこなった二枚舌外交やサイクス・ピコ協定などが発端となっています。映画「アラビアのロレンス」でも描かれていますが、現代史を理解するための背景を分かりやすく説明しています。

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2017/03/29

南朝研究の最前線

 【書 名】南朝研究の最前線
 【著 者】日本史史料研究会
 【発行所】洋泉社歴史新書
 【発行日】2016/07/18
 【ISBN 】978-4-8003-1007-1
 【価 格】100円

信長、秀吉、家康に続き最新の研究をもとに南朝の実像について書かれています。

南朝といえば鎌倉幕府を滅ぼし建武の親政がはじまったが、公家中心の政権だったため、不満をもった武士が足利尊氏を中心に集まり、後醍醐天皇に対立し室町幕府を成立させたというイメージですが、最新の研究では全然、違うそうです。

建武の親政は公家中心の政治ではなく、武士よりの政権で反対に公家の方が不満をもらしています。足利尊氏も反旗をひるがえすつもりがなく、どちらかといえば場当たり的に対応していて、最終的に後醍醐天皇と対立するところへ追い込まれたようです。新田義貞は当時は足利一族と考えられていたようで、いつのもにか足利氏と肩を並べる新田氏というイメージができあがりました。などなど目からうろこの話が多いですね。武士は大義などよりも、まずは自分の利益を考えて動きますから、複雑な歴史の動きになってしまいます。

室町幕府が発足すると敵の敵は味方ということで北条氏の生き残りと南朝が組んだりもします。南朝が陸奥や遠江へ拠点をつくろうと伊勢の大湊から出港しましたが暴風雨にあうなど苦難になります。北条時行は義良親王と行動を共にして遠江の井伊に入ったそうで、大河ドラマ「井伊直虎」の検地のシーンで川名の隠し里が見つかり、「南朝の御子様が隠れてお住まいになった場所です。なので、井伊の領地であって、井伊の領地ではない」と返答しますが、このことだったんですね。

この時、懐良親王が九州に入り、ここだけは成功し、九州一国が南朝方となり征西将軍府が成立します。もう少しで室町幕府とは別の国家ができた可能性もあったようです。

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2016/10/15

お金の流れで見る戦国時代

 【書 名】お金の流れで見る戦国時代
 【著 者】大村 大次郎
 【発行所】KADOKAWA
 【発行日】2016/09/10
 【ISBN 】978-4-04-601711-6
 【価 格】1400円

「お金の流れで読む日本の歴史」の続編で、なかなか面白い本ですが室町幕府や信長のところは「お金の流れで読む日本の歴史」とほとんど同じで、そこだけは工夫してほしかったですね。武田信玄が死なずに西に向かっていたら信長は危なかったという説がありますが、経済的に見ると武田信玄はかなり追い込まれていたようです。明智光秀が起こした本能寺の変についても荒木村重となぞらえて経済的観点での謎解きをしています。


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お金の流れで読む日本の歴史

 【書 名】お金の流れで読む日本の歴史
 【著 者】大村 大次郎
 【発行所】KADOKAWA
 【発行日】2016/03/12
 【ISBN 】978-4-04-103220-6
 【価 格】1400円

歴史の事件をお金の流れから解き明かす一冊。幕末、日本の経済を握っていたのは江戸幕府です。倒幕派には金がありません、そこで始めたのが贋金作り。幕府の万延二分金の贋金を作り、外国から武器などを買う時の支払にあてます。これが明治になってから外交問題に発展。結局、二百数十万両の贋金の引き換えを行いますが、当時の国家予算の10%もありました。

太平洋戦争の発端となったのがアメリカによる在米日本資産の凍結。国際貿易ではドルが唯一の国際通貨でしたので、実質的に日本が国際貿易から締め出されることとなり、横浜正金銀行ニューヨーク支店が破綻することで日米開戦が避けられなくなりました。軍部の台頭などのほかに、こんな経済の話が背景にあったんですね。


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2016/08/19

そして、メディアは日本を戦争に導いた

 【書 名】そして、メディアは日本を戦争に導いた
 【著 者】半藤一利/保阪正康
 【発行所】東洋経済新報社
 【発行日】2013/10/11
 【ISBN 】978-4492061916
 【価 格】1,620円

原題通りにメディアが日本を太平洋戦争に導きましたが、そもそもは日露戦争などで反戦の記事を書いたらどんどん部数を減らし、背に腹はかえらずと戦争の記事を書いたら部数が伸びた経験があったからです。国際連盟脱退や真珠湾攻撃を大々的に盛り上げると新聞の部数が伸びました。朝日新聞にしろ皆、イケイケドンドンで煽っていました。

ただし少数ですが本当のジャーナリストもいて桐生悠々は「関東防空大演習を嗤(わら)ふ」という記事を書き、防災演習なんか必要なく、そもそも帝都に空襲がないように軍が戦うべきで空襲があった時点でアウトだろうと至極まっとうなことを書きましたが在郷軍人会が新聞の不買運動を始めたため退社させられます。もう一人は東洋経済新報の石橋湛山でした。

明治の初めころは佐幕派がジャーナリストでしたので政府に対して健全な批判をしていましたが、付和雷同的な日本人の資質もあってどんそん商業主義になっていきます。本質的に今も変っていません。

本にも書かれていますが、最近の記者もひどいもので、「石橋湛山が好きです」「石橋湛山のどの本に感銘を受けたの?」「...」、ネットかなにかで石橋湛山について調べただけで本の1つも読んでいない

。5.15事件について予備知識もないのに昭和史の取材をしている記者など、あきれる例が出てきます。なかにはしっかり勉強している記者もいるのでしょうが、なさけない記者も多いようです。


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