2019/02/28

奪われた三種の神器

 【書 名】奪われた三種の神器
 【著 者】渡邊大門
 【発行所】草思社文庫
 【発行日】2019/02/08
 【ISBN 】978-4-7942-2374-6
 【価 格】800円

天皇家に伝わる三種の神器(八咫鏡、草薙剣、八尺瓊勾玉)は天孫降臨に際して天照大神が授けたものです。天皇即位で使われますが八咫鏡は伊勢神宮に、草薙剣は熱田神宮に納められ崇神天皇の時代に鏡と剣のレプリカが作られた、勾玉と共に宮中に伝わったとされています。

ところが源平の戦いで平氏が逃げる時に安徳天皇とともに三種の神器が持ち出されてしまいます。壇ノ浦の戦いで入水する時に三種の神器も海に沈みます。なんとか鏡と勾玉は救い出されましたが剣は見つかりませんでした。後鳥羽天皇は発見の祈祷と捜索を命じますがダメでした。この時にいろいろと理屈をつけて別の剣をレプリカとします。

次に起きるのが南北朝の戦いで南朝方が三種の神器を持ち出してしまいます。この頃から天皇自体が徳であり三種の神器は必要ないとう論理が展開されだします。ただ南北朝統一で三種の神器が宮中に返ってきます。ところが南朝の残党によって勾玉が持ち出されてしまいます。勾玉だけは天孫降臨時代から伝わったとされていました。嘉吉の乱で没落した赤松氏の残党に命じて潜入させ取り返させる長禄の変が起きます。赤松氏は功績で復活しますが、この時に活躍した家来の浦上氏によって戦国時代に滅ぼされてしまいます。

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2019/02/13

神武天皇はたしかに存在した

 【書 名】神武天皇はたしかに存在した
 【著 者】産経新聞取材班
 【発行所】産経NF文庫
 【発行日】2019/2/21
 【ISBN 】978-4-7698-7008-1
 【価 格】810円

産経新聞に連載された神武東征の記事をまとめたものです。東征ルートには言い伝えや神社など、いろいろな伝承が残っており、何かがあったことは確かなようです。日向を出発し瀬戸内海から盾津(東大阪)に上陸しますが、ここで大和のナガスネヒコの攻撃にあい、神武天皇の兄である五瀬命(いつせのみこと)が負傷してしまいます。一時撤退したのが久宝寺にある竹渕(たこち)神社あたりで近年まで四方を水堀で囲まれていたそうです。ところが五瀬命は傷がいえずに亡くなります。亡くなった場所が樽井駅の近くにある男神社の摂社浜宮あたりだったようです。

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30の名城からよむ日本史

 【書 名】30の名城からよむ日本史
 【著 者】安藤優一郎
 【発行所】日経ビジネス人文庫
 【発行日】2018/12/3
 【ISBN 】978-4-532-19881-7
 【価 格】800円

五稜郭や小田原城など30の城が取り上げられていますが面白かったのが楠木正成の千早城。悪党ということでしたが最新の研究では、もともと駿河国の住人で北条家の被官、つまり御家人で後に河内に移り住んだということです。もともとは北条家の家臣筋の家柄だったんですね。1322年には北条高時の命をうけ幕府に反抗するものを鎮圧するために摂津、紀伊、大和に出陣しており恩賞として紀伊に所領が与えられています。

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2019/02/09

承久の乱

 【書 名】承久の乱
 【著 者】本郷和人
 【発行所】文春新書
 【発行日】2019/01/20
 【ISBN 】978-4-16-661199-7
 【価 格】820円

鎌倉幕府の本質とは頼朝とその仲間たちであり、権威だけの朝廷ではなく自分たちの土地は自分たちで守るという自力救済の世界でした。ただ内部抗争もすさまじく梶原景時、比企氏など政敵を倒してのし上がってきたのが北条時政です。後鳥羽上皇にとりこまれつつある実朝を暗殺し、北条義時、泰時とその仲間たちの世界ができあがります。

そこに挑戦したのが後鳥羽上皇。東国と関係がない西国の武士は味方しましたが朝廷の権威をあまりにも過大評価していました。朝敵になっても東国武士は立ち上がり京都を攻め、後鳥羽上皇に味方した西国も支配できるようになります。

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2019/01/26

日本史の探偵手帳

 【書 名】日本史の探偵手帳
 【著 者】磯田道史
 【発行所】文春文庫
 【発行日】2019/01/10
 【ISBN 】978-4-16-791216-1
 【価 格】630円

■忠誠心なしが当たり前の中世武士
主君のために死ぬなどもってのほかで、呼ばれたら行くのが基本でした。ところが火縄銃が登場し戦法が大きく変化します。逃げずに密集して戦う軍団が必要で作ったのが織田信長。武芸専門のプロを作り、大規模に全国展開したのが秀吉、家康です。

■「武士の家計簿」の猪山家
猪山家は年収の2倍あった借入金を返済し、また経理の知識があったため幕末に没落することもなく、大村益次郎が着目しヘッドハンティング。海軍主計第一号となり大村益次郎が暗殺された後、銅像建設に動いたのが猪山成之です。

■税負担
戦国時代は建物へ課税する棟別銭が中心だったが江戸時代は田畑から税金を取る形に変更。明治中期まで農村が12%ほどの税金だったのに非農業部門は2%という税金だった。

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2019/01/05

軍事の日本史

 【書 名】軍事の日本史
 【著 者】本郷和人
 【発行所】朝日新書
 【発行日】2018/12/30
 【ISBN 】978-4-02-273799-1
 【価 格】810円

副題が鎌倉、南北朝、室町、戦国時代のリアルとなっています。鎌倉時代に戦ったのは武士とその郎党で戦いのプロによる一騎討ちでした。やがて農民が従軍させられるようになりますが、戦いはいやなので戦力にはなりませんしか刀による戦いなどは無理です。そこで登場したのが槍で心理的なバリアをはずします。織田信長が活用したのが鉄砲で、やり方さえ教えれば集団で使うには威力がある兵器となります。

戦いには金がかかるので、最後の手段となりますが戦いを起こした側が目的を果たしたかどうかで勝敗が決まるという考え方は的確ですね。鎌倉の武士の時代からですが、それ以前の白村江の戦いや防人など徴兵していたイメージのある古代の戦いはどうだったのか興味がでてきます。

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2018/12/22

日本史の新常識

 【書 名】日本史の新常識
 【著 者】文藝春秋
 【発行所】文藝春秋
 【発行日】2018/11/20
 【ISBN 】978-4-16-661190-4
 【価 格】800円

■日本書紀
本来、史書は紀だけでなく志、列伝、表でセットですが日本書紀が出来上がったところで藤原不比等が死んでしまったため力尽きてしまいました。

■貨幣経済
宋を滅ぼしたモンゴルで使われたのが銀と紙幣。大量の銅銭が余ったのでこれが日本へ輸出され、日本で貨幣経済が回りだします。沈んだ交易船から銅銭800万枚が見つかり当時の日本の全人口に1枚づつ配布できる量でしたので、相当な量が出回ることになります。日本は火山国だったので輸出に使われたが硫黄になり、火薬を作る材料となりました。元寇の目的の一つが硫黄の獲得ではという説もあります。

■壬申の乱の背景
白村江の戦いで倭国が敗退した後に起きたのが唐と新羅の戦い。唐は倭国に味方するように要請するために白村江の戦いの捕虜2千人を連れてきます。とりあえず近江朝廷は武器と軍需物資を渡して帰国させ、兵の徴兵をはじめます。この徴兵がすすんでいる時に大海人皇子が挙兵。関東で徴兵された兵を引き連れて近江朝廷を攻めます。

■戦には金がかかる
一人一日三合の米を食べるとすると一万人の兵では三万合(三十石)必要です。一石はだいたい150kgで三十石は4,500kg。お米1kgが500円として450kgは225万円となります。これが一日ですので一月だと6,750万円かかります。

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2018/12/09

考える日本人

 【書 名】考える日本人
 【著 者】本郷和人
 【発行所】河出新書
 【発行日】2018/11/20
 【ISBN 】978-4-309-63102-8
 【価 格】840円

信、血、恨、法、貧、戦、拠、知、三、異をテーマに日本史を語る一冊です。いろいろと考えされられる1冊です。

■世襲文化
遣隋使、遣唐使などを通じて大陸の最新文化を導入しましたが、導入しないものもありました。それが科挙制度。今でいえば公務員試験を突破しないと官僚になれないという制度です。家として、ずっと合格者を出し続けることは無理なので貴族が選んだのが世襲制です。アホでも血統さえよければ家をつなぐことができる制度です。こうなると前例主義、形式主義的になっていきます。ただ明治時代にこれが崩れましたが国を主導したエリートが突き進んだのが太平洋戦争でした。

■日本軍は弾を打てた
この太平洋戦争の時、兵站を考えずに大東亜共栄圏などの精神主義が横行しました。今、考えると何でエリートがコスト計算せずに戦争をしていたのか、よく分かりませんが作られたのは命令に従う軍隊でした。日本の軍隊は相手に弾を打てたそうで、これは当たり前ではなくアメリカの南北戦争の時には兵士の半分は弾を打っていませんでした。上司に命令されても相手の上に向かって打っていました。生きている人間に弾を打つのは、ふつうの市民にはなかなかできませんでした。これは面白い視点ですねえ。

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2018/10/07

日本史のミカタ

 【書 名】日本史のミカタ
 【著 者】井上章一、本郷和人
 【発行所】祥伝社新書
 【発行日】2018/09/10
 【ISBN 】978-4-396-11545-6
 【価 格】840円

日本史に関する対談集ですが、朝廷と歴代幕府との関係の見方などが面白いですね。特に京都の見方。常備軍を持つのは金がかかるので京都をピカピカに光らせることで文化でも経済でも京都に集まる仕組みを作ります。虫が街灯に吸い寄せられて集まるのと同じです。そんな京都の魅力の一つが女官による「おねえさん力」。新田義貞はこの力で後醍醐天皇側につくことになります。

朝廷の建前は公地公民ですので自分が荘園領主になるわけにはいきません。そこで上皇は御願寺を建て、荘園を寺の領地にしてしまって利益をとるシステムとなります。御家人の借金を棒引きにする徳政令対策のために土倉・借上などの商人は担保になる土地を寺に寄進することを条件に融資をします。これなら徳政令がおよびません。ペーパーカンパニーを作るようなもので、当時はお寺はタックスヘイブンでもありました。

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2018/09/15

日本史真髄

 【書 名】日本史真髄
 【著 者】井沢元彦
 【発行所】小学館新書
 【発行日】2018/08/08
 【ISBN 】978-4-09-825318-0
 【価 格】840円

ケガレ、和、怨霊、言霊、朱子学、天皇を視点にして日本史を見ると見方が変わってきます。

■持統天皇
天皇が亡くなると古墳を造り土葬が当たり前だったのを自らは火葬することを命じたようです。呪力のある天皇が亡くなれば穢れるため遷都せざるをえませんが火葬によって同じ都を営むことができるようになります。これが藤原京になります。また古墳を取り巻く堀は水を使って穢れを閉じ込めるための結界でもありました。

■武士の誕生
律令には兵部省と刑部省がありましたが、人を殺すような汚れ仕事をやりたくないため結局は有名無実化。機能しなくなります。そこで作ったのが検非違使。令外官でしたが、これをまかせたのが源氏や平氏で、武力をもった武士が台頭することになります。崇徳天皇が死に際し、天皇家を呪ったため武士の世が誕生したと考えられました。明治維新で朝廷に政権が戻った時に明治天皇が勅使を送ったのが讃岐の白峰宮(崇徳天皇を祀った陵)でした。

■西郷隆永
西郷隆盛の通称は吉之助で、別に諱がありますが、よほど親しくないと教えるものではありませんでした。明治となって名前を統一しようという時に友人が西郷は隆盛じゃなかったっけなと届け出したため、西郷隆盛となり、本当は隆永だったようです。

■言霊
宴会の最後で今も使われる「お開き」という言葉。終わりといえばいいものを今も言霊社会は続いています。

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