吟醸酒誕生
【書 名】吟醸酒誕生
【著 者】篠田次郎
【発行所】中公文庫
【ISBN 】4-12-203093-5
【発行日】1998/3/3
【価 格】724円
お酒のおいしい季節となりました。清酒の発酵技術ですが、アルコールを20%も作り出す醸造法は日本だけしかない技術で、まさにバイオの最先端技術です。これを最初は手探りでやっていたわけで
明治の酒造りは江戸時代と同じく、いかに腐造を防ぐかでした。一度腐造になれば、仕込んだお酒は全部パーで、1年ぐらいなら持ちこたえられますが、2年続けると倒産となってしまいます。ですが、うまくいくと大きな利益の上げられる商売でした。
そこで、酒造りの科学的なアプローチをするために明治37年に醸造試験所が王子滝野川村に出来ました。ここで酒造りの研究や指導が行える体制が出来、明治40年には品評会が関西されました。これが吟醸酒などに金賞受賞と書いてあるあの賞につながっていきます。
第1回優等賞
龍勢(広島) 三谷春(広島) 富の寿(福岡)
高賞(兵庫) 三角正宗(岡山)
灘は通常に市販しているお酒をだし、賞にはめぐまれませんでした。
他の蔵は品評会用にと頑張って作ったお酒です。これが吟醸酒ですね。ですので、最初は吟醸酒なるものは一般の酒屋さんにはありませんでした。これを売り出して吟醸ブームとなり、ようやく庶民の手に届くようになったわけです。
第1回優等賞のお酒ですが、龍勢は広島県竹原市の藤井酒造で現在は宝寿を出している蔵です。三谷春は現在もある小さな蔵ですが吟醸は造っていないそうです。富の寿は九州を代表とする銘柄。
高賞は空襲で消失、三角正宗も戦時中の企業整備という統制経済の指導で廃業となりました。
■月桂冠
大倉商店が玉の泉から酒銘を月桂冠に変えたのが明治37年(1904年)です。クーベルタンが近代オリンピックを提唱したのが1984年で、アテネで第1回オリンピックを開催したのが1896年ですのでオリンピックの雰囲気の残っている頃です。
また乃木大将が帰国凱旋講演で「真の勝者に与えられるものは月桂冠」と言ったので月桂冠が売れに売れたそうです。
→ 『吟醸酒誕生』
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