森本哲郎 世界への旅
【書 名】森本哲郎 世界への旅 8
【著 者】森本哲郎
【発行所】新潮社
【発行日】1994/7/10
【ISBN 】4-10-645708-3
【価 格】3204円
森本哲郎の選集(全10巻、別巻1)の第8冊目で「ゆたかさへの旅」と「読書の旅」が収録されています。
1983年の3月か4月だと思いますので22年ほど前でしょうか。長崎へ長期出張して(半年ほど)システム作りをしていた頃です。まだまだ会社に入って1年ほどたったばかりの新人の頃でしたが、けっこう何本もプログラムの仕様書を書いたり、それを作成したりして、おきまりの残業コースに突入していました。
週休2日の会社ですが、平日タクシーで帰る時間ぐらいまで残業している状態ですので土曜日も仕事です。日曜はさすがに休もうと休んでおりましたが、1週間の疲れがたまっていますので大体目を覚ますのは昼頃でした。
ホテルを出て、近くの中華街で朝飯兼昼飯を食べます。そうこうしていますと2時ぐらいになってしまい。映画でも見るか、市電でも乗ってぶらつくか、眼鏡橋近くの南蛮喫茶にコーヒでも飲みにいくかなと思案する頃です。(そういえば思案橋ってありました)
ふと入った本屋で文庫が目につきました。「ゆたかさへの旅」問題は副題の方です。「日曜日・午後二時の思索」そういや今ちょうど2時だ、今日はこの本を読もうとホテルへ買って帰りました。
『いや、まったく。日曜日というのはいまいましい日である。』いきなりこんな文章で始まります。
『とくに午後がいけない。陽が午後に傾いてゆくのをぼんやりながめて、やれやれ、こんなぐあいに休みが終わってしまうのか、などと考えると、なんともやるせない気になってくる。月曜日は忍び足で近づいてくる。しようと思っていたことは山ほどあるのに..』
特に昼ぐらいに起き出した時の午後2時というのは最悪の時間ですね。何かをやるには中途半端な時間であり、もう月曜日の足音も聞こえてきます。
タイミングよく読むべき本に巡り会うというのはまさに幸運なんでしょうね。まさに日曜日の午後2時にこの本を買い、読み、いや本を読むとはこんなに面白かったのかと感動した本です。
文庫本はボロボロになってしまいましたので、選集を買い直しました。
さすがに最初に読んだ感動はやはり無理ですが、休日午後2時のなんともやるせない気分になった時に読むと最高です!
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