随筆集・木菟(みみづく)
【書 名】随筆集・木菟(みみづく)
【著 者】森銑三
【発行所】六興出版
【発行日】1986/11/15
【価 格】2200円
古本屋でみつけた本ですが、森銑三氏の名前は一般的にあまり知られていません。紀田順一郎氏や谷沢永一氏の本なんかによく出てくる名前なんですが、私も昔は全然知らなくて反町茂雄の関係から知るようになりました。
いい文章を書く人でこの「みみづく」も随筆集になっています。最初に文章の味わい方として泉鏡花のほとんど知られていない作品を紹介されていますが、いわゆる起承転結とかオチがあるような話ではなく淡々としたした中で文章を味わうべきだなんていうのが書かれています。
大学の頃、ローダンやらSFに凝っている時期がありました。ある日、SFだけでは幅が狭いと思い至り、京都にいるんだから、京都を題材にした本を探しては読み始めました。川端康成の「古都」なんて何であんな形で終わるのだろうとかなり悩みました。これは落丁なのか、それとも連載途中か何かでやめたのだろうかとも思いました。布団を暖めて、それがどうしたんだ!というオチのない話なんで、就職してから、再読したら、なるほどと思いましたが、淡々とした文章の味わいというのは本当に難しいものだなと思います。
「みみづく」にはいくつか面白い話が載っています。
・大阪の難波村(昔の話)は葱の産地で、葱のことを難波と呼んだそうです。それから蕎麦の鴨ナンバとなったそうです。
・武庫山 摂津高津の宮(仁徳の頃ですね)より向こうにそびえる高嶺なので向山というのを武庫の字をあてたそうです。今の武庫荘あたりですね。向日町というのも京都から桂川を隔てた向うの町からきているそうです。江戸の向島も同じですね。
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