【書 名】鳥居龍蔵伝
【著 者】中薗 英助
【発行所】岩波書店
【発行日】1995/3/29
【ISBN 】4-00-001519-2
【価 格】3500円
百万遍で行われた秋の古書市に行った時に紫陽書院の棚でみつけてきました。
『鳥居龍蔵』、この名前を初めて聞いたのが1999年です。梅棹忠夫先生の『知的生産の技術』発刊30周年記念を記念するセミナーが千里ライフサイエンスセンターで行われましたが、その時に「フィールドワークの先駆者は誰ですか?」という質問に梅棹先生が答えられたのが鳥居龍蔵という名前でした。
それ以来、折にふれて雑誌などで名前を見かけるようになりましたが、古書市で生涯を書いた本を見つけ買ってきました。
鳥居龍蔵が生まれたのは明治3年。小学校を中退し、学歴はありませんが東京帝国大学の人類学教室の坪井博士に師事、やがて標本の臨時雇いに、縁があって25歳で遼東半島へフィールドワークに派遣されます。これが皮切りでした。
やがて結婚し、子供が生まれても、今度は家族を連れて蒙古へフィールドワークへ。当時は馬賊などが暗躍していた時代でたいへんでしたが、赤ん坊を連れた奥さんを伴っていたので相手も警戒心を解き、これがフィールドワークに効果的でした。東アジアを中心に旅行自体が大変な時代にいろいろなところへ出かけます。
当時の学者は今と同じで机上で書物から論文を書く人が多く、実際に現場を出かけて論文を書く鳥居龍蔵の態度はかなり異質でした。やがて人類学教室の主任教授になりますが、内部的なゴタゴタにいやけがさし、辞職願を出すことも、この時に解剖学の小金井博士という人が登場するのですが、この方、星新一のおじいさんだったんですね!
波乱万丈の人生でしたが、その名前と業績は日本よりも海外で著名な方でした。ライフワークは遼代の研究でした。
→ 鳥居龍蔵伝 岩波文庫になっています
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