2025/03/16

古本屋の誕生 東京古書店史

 【書 名】古本屋の誕生 東京古書店史
 【著 者】鹿島茂
 【発行所】草思社
 【発行日】2025/02/21
 【ISBN 】978-4-7942-2766-9
 【価 格】2,200円

■古書 反町茂雄の分類
古典籍 大宝2年(702)~明治10年頃までの和紙・和装の書物
古書  明治10年~昭和20年までの洋紙・洋装の書物
    (絶版ないし品切れで新刊本として流通していない)
古本  昭和20年以降の洋紙・洋装の書物

八品商取取締規則(明治9年)、古物商取引条例(明治16年 古物営業法の前身)によって新刊本屋と古本屋に分離。海外では一緒に売っている本屋も多い。

■丸善
早矢仕有的が福沢諭吉から命じられて横浜に商社である丸屋善八店を開店。医薬品の輸入販売以外に福沢諭吉の本を売っていました。うまくいったので日本橋にも丸屋善七店を開き、これが丸善になります。

■古書
明治になって大名や家臣が領地に戻ることになり、蔵書が売り出されましたが買う存在が少なく、本屋は貸本屋でしのいでいました。そこにアーネスト・サトウなど外国人がたくさん手に入れるようになりますが全体からみると微々たるものでした。

明治9年に清国公使館ができ欽差大臣(特命全権大使である清の官職)が派遣されます。日本への欽差大臣の派遣は聖徳太子時代以来ということで漢籍ブームが起きます。また東海道線ができ本や雑誌の地域による偏在が解消されます。また古書目録での注文ができるようになります。

■日本古書通信
大阪古本通信の発行人だった富樫が顧客名簿などすべてを譲ってくれて東京で誕生。

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2024/09/20

本の身の上ばなし

 【書 名】本の身の上ばなし
 【著 者】出久根達郎
 【発行所】ちくま文庫
 【発行日】2024/09/10
 【ISBN 】978-4-480-43975-8
 【価 格】880円

日経新聞 2019.10.12~2020.10.31 毎土曜日に掲載されたものをまとめたもの

■新田次郎「芙蓉の人」
明治28年(1895)富士山頂で越年して天体観測をした野中夫妻の物語。交代し2時間ごとに観測しました。

■二宮尊徳
米を借りに来たものは怒って押し返しましたが、油を借りに来たものは笑って貸しました。米を借りに来るものは怠け者の証拠で、油を借りに来るものは夜なべに精を出す働き者という評価です。

■瓢たんなまず
本に挟まれた読書カードの送り先が著者本人で、せっせと著者が返信していました。

■藤岡屋日記
1807(文化4)年 深川八幡の祭礼で永代橋が落ちて多数の死傷者が出ました
「世の中に神と仏の二つ けふ(今日)は祭礼、あすは葬礼

■斎藤修一郎
アメリカ留学時に為永春水の忠臣蔵小説を英訳し1880(明治13)年にニューヨークで出版したところ、読んで日本の国民性に感激した23歳の青年が若い時のルーズベルト大統領。日露戦争の講和交渉では日本に有利な条件で交渉してくれました。小村寿太郎がお礼に向かったところ、自分を日本びいきにした本はこれだと紹介。それは同じ時代に留学した小村寿太郎の同級生(斎藤修一郎)の本でした。

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2024/09/08

すこし広くなった

 【書 名】すこし広くなった
 【著 者】宇田智子
 【発行所】ボーダインク
 【発行日】2024/05/26
 【ISBN 】978-4-89982-465-7
 【価 格】1,800円

「那覇の市場で古本屋」の続編です。第一牧志公設市場前に「市場の古本屋ウララ」をオープンしましたが公設市場が建て替えとなり、工事前から2024年にかけてのエッセイをまとめています。

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2024/06/01

神保町 本の雑誌

 【書 名】神保町 本の雑誌
 【著 者】本の雑誌編集部
 【発行所】本の雑誌社
 【発行日】2023/11/10
 【ISBN 】978-4-86011-484-8
 【価 格】1800円

神田駅で降りるという初心者も多いのですが、神保町には250ほどの出版社があり神保町交差点を中心とした半径750界隈に750の出版社があります。

■古物商免許
身分証明書以外に本籍地の市町村が発行する禁治産者、準禁治産者、破産者でないことを証明する書類が必要

■古書店
買わずに後悔するより買って後悔しろ
即売会では3周する。しかもそれぞれ逆に回る

■古書組合
組合員の紹介が必要で出資金10万円、加入金44万円、共済会基金3万円が必要、申請時にすでに開業して営業経験があることが望ましい。
毎月は組合費4千円と共済費が3百円。

■玉英堂書店
伝藤原公任筆「古今和歌集」 1億5千万 実際に売れました

■古本業界
本を古紙回収業者に回して捨てることで成り立っています。
新刊書店経験者が古本屋をはじめて失敗するのは本を捨てることができないからで、新刊書店では返品できますが古書店ではツブすことで棚の鮮度を保ちます。ところが「まんだらけ」やブックオフは捨てていた本を商品にしてしまいました。

→ 神保町 本の雑誌

 

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2024/04/10

ビブリア古書堂の事件手帖IV 扉子たちと継がれる道

 【書 名】ビブリア古書堂の事件手帖IV 扉子たちと継がれる道

 【著 者】三上延
 【発行所】メディアワークス文庫
 【発行日】2024/03/25
 【ISBN 】978-4-04-915298-2
 【価 格】730円

鎌倉文庫がテーマになっています。戦争で収入の道も大変になった鎌倉の文士たちが蔵書を持ち寄り貸本屋を始めます。久米正雄、川端康成、小林秀雄、高見順など、そうそうたるメンバーでした。この鎌倉文庫の揃いをテーマにしたミステリになっています。

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2024/02/09

古本大全

 【書 名】古本大全
 【著 者】岡崎武志
 【発行所】ちくま文庫
 【発行日】2024/01/10
 【ISBN 】978-4-480-43934-5
 【価 格】1000円

ラベルには「買って、読んで、書いてきた四半世紀分の古本仕事の集大成」とあります。本を買えば当然、溜まります。いかに処分するか悩むことになります。

■遅筆堂文庫
井上ひさしが故郷の川西町(山形県)の図書館に寄贈した蔵書が13万冊。町の小さな図書館の蔵書数が3万冊なので並外れた規模になります。
「書物を売るということは、書物を買うのと同じように人間を賢くするものだ」薄田泣菫「茶話」

■出久根達郎流古本処分法
自分が目を通したもの、読んだ本はとにかく処分してはダメ-あの本のあそこに書いてあったと覚えてしまっているから

■古本屋の閉店時間が早くなった理由
昭和30年代は24時頃まで開けている店もあり、銭湯帰りに商店街へ寄る夜の客が多かったのが理由です。銭湯の減少とともに夜20時ぐらい占める店が増えることになります。

→ 古本大全

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2023/12/09

出久根達郎の古本屋小説集

 【書 名】出久根達郎の古本屋小説集
 【著 者】出久根達郎
 【発行所】ちくま文庫
 【発行日】2023/11/10
 【ISBN 】978-4-480-43916-1
 【価 格】1000円


古本屋店主で作家となった出久根達郎の小説23編が収録されています。集団就職で文雅堂に勤め、独立開業して芳雅堂をオープン。ところが店売りが減ったため、古書目録「書宴」の通信販売をはじめ余白に店番日記を載せたところ、編集者の目にとまって「古本綺譚」が出版されます。ただし無名の人間の小説は売れないので編集者からは古本屋の親父の身辺雑記と言いふらしてくださいと頼まれたそうです。


■本屋の立ち読み
少年が立ち読みしてもとがめない店主。客がひとりもいない店は入りづらいのと、子供は将来の客になる。また古本屋の店番は本を読んでいることが必須で鰻屋が渋団扇であおぐのと同じである。


■セドリ
書棚に並んだ本の背を見て買取するのはこじつけで、同業者の中間にたって売買の取次をすることである。

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2023/01/10

本を守ろうとする猫の話

 【書 名】本を守ろうとする猫の話
 【著 者】夏川草介
 【発行所】小学館文庫
 【発行日】2022/9/11
 【ISBN 】978-4-09-406684-5
 【価 格】650円


2017年に出版された本が文庫化されました。巻末の「解説にかえて」に世界35ケ国で翻訳・出版された本です。本から多くのことを学んできたことを示唆してくれる一冊です。


ただがむしゃらに本を読めば、その分だけ見える世界が広がるわけではない。どれだけ多くの知識を詰め込んでも、お前が自分の頭で考え、自分の足で歩かなければ、すべては空虚な借り物でしかない

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2022/10/28

定価のない本

 【書 名】定価のない本
 【著 者】門井慶喜
 【発行所】創元推理文庫
 【発行日】2022/10/21
 【ISBN 】978-4-488-43313-0
 【価 格】780円


古書籍に関するミステリーで、主人公は古書肆・弘文荘を開業した反町茂雄を彷彿させる人物。店舗を持たず古書籍を待賈古書目という目録で通信販売しました。一誠堂などがモデルとしても登場します。徳富蘇峰なども登場します。

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2022/07/27

平成古書奇談

 【書 名】平成古書奇談
 【著 者】横田順彌
 【発行所】ちくま文庫
 【発行日】2022/7/10
 【ISBN 】978-4-480-43823-2
 【価 格】900円


ハチャハチャSFで有名な横田順彌が作者で懐かしい名前だなと手に取りました。2000年~2002年に文芸ポストに掲載されたものをまとめたものですが、古書店・野沢書店を中心にいろいろな事件が起きます。明治SFなどもよく研究されていて本を出されていましたから、古書店の裏話などはお手の物ですね。

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