【書 名】ルポデジタルチャイナ体験記
【著 者】西谷格
【発行所】PHPビジネス新書
【発行日】2020/03/11
【ISBN 】978-4-569-84582-1
【価 格】830円
前作は『ルポ中国「潜入バイト」日記』で、上海の寿司屋でのバイト、反日ドラマの日本兵エキストラなど、等身大の中国の実態がわかる一冊でした。今回は中国IT社会についてです。
一番の特徴は完成度が低くても市場に出すことで、自己責任で使うことになっています。日本のサービスは洗練されていますが、多少の失敗は大目に見る世の中ではなく、すぐに炎上するのでイノベーションが起きにくくなります。
■アリババが作ったFlyZooHotel
チェックインなどは顔認証でルームサービスはロボットが運んできます。AIスピーカーが各部屋にあって会話してくれますが、そこは中国らしく「釣魚島(尖閣諸島)はどこの国にありますか?」と質問すると「釣魚島は古来より中国の領土です」と返ってきます。怖いのは「タバコを吸ってもいい」と聞いたら「その依頼には答えることができませんが、バックオフィスに伝えておきます」という返事。しばらくしたら「禁煙です」とフロントから電話がかかってきました。AIスピーカーが解決できない問題はバックオフィスに伝わるシステムになっているようです。
■カバさんスーパー
一般の1.5倍ほどの価格の高級スーパーでネットスーパーで注文が入ると店内の商品をピックアップして運びます。店舗内でスタッフが商品を袋詰めしている姿を見ているのが安心感につながるようになります。
■予約システム
予約して無断キャンセルする行為が問題となりますが、美味不用等というスマホアプリでは予約時に保証金として2元をとります。これが無断キャンセルの抑止力になります。直近では保証金がなくなりました無断キャンセルを複数回繰り返すとアカウントが利用停止になります。
■無人コンビニ
入口で認証を受けないといけないなど面倒なこともあり、あまり普及していません。面白いのが店内の注意書きです。「商品以外のものは、一切持ち出さないでください。満足感以外は残さないでください」、「シール(ICタグ)を破らないでください。身分証も傷つきますよ」
■ゴマ信用
アリペイに紐づいていますが、中国人の場合、得点が700点以上でシンガポールビザ、750点以上でルクセンブルクビザを資料などを用意しなくても取得できます。
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