2024/04/10

カレー移民の謎

 【書 名】カレー移民の謎
 【著 者】室橋裕和
 【発行所】集英社新書
 【発行日】2024/03/20
 【ISBN 】978-4-08-721308-9
 【価 格】1200円

■在日ネパール人
2013年 31,537人 → 2023年 156,333人 10年で5倍に
2002年頃に規制緩和で500万円以上の出資があれば投資・経営ビザをとれるようになります。以前は2人以上の常勤職員が必要でした。どこの入管で取りやすいかの情報がまわり地方にカレー店ができていきます。入管ではチラシを配っているかもチェックしているとも言われ、ビザ更新の安心材料としてやっている店が多くなります。店内写真にタンドールが映っているとアピールになるという噂もあります。
来日し働きながら独立。基本は模倣からスタートし、同じようなカレー店があふれることになります。インドはカースト制度の意識がありコックはコックしかせず、洗い場なら洗い場だけになるのに比べ、ネパール人はなんでもやるので重宝されました。
ただし10人いたら成功するのは2人ぐらい

■タンドール
アショカがインドからタンドールを空輸してタンドールチキンやナンを作り始める

■バグルン出身
農業、観光程度しか産業がないため海外へ出稼ぎに、結果として過疎化しておりネパール人自身も悩んでいるのが実態。もともとイギリスのゴルカ(グルカ)兵として活躍しており、バグルンはゴルカ兵を多く輩出している地域となります。

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2020/08/29

漫画「獺祭」の挑戦

 【書 名】漫画「獺祭」の挑戦
 【著 者】弘兼憲史
 【発行所】サンマーク出版
 【発行日】2020/07/15
 【ISBN 】978-4-7631-3841-5
 【価 格】1200円

実家の旭酒造を継いだが苦難続き。奥さんが石材業をしていて、こちらの利益をまわすことで会社は存続できていました。杜氏が辞めるなどのアクシデントに対処するところから新しい日本酒が生まれます。ところが旭酒造のイメージがあるので安いお酒でしか扱ってくれません。川獺が獲った魚を河原に並べるのが、神仏のお供えをしているように見えるので獺祭と呼んでいたことから新しい酒銘にします。ここから快進撃がはじまります。

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2020/02/25

戦国、まずい飯!

 【書 名】戦国、まずい飯!
 【著 者】黒澤はゆま
 【発行所】インターナショナル新書
 【発行日】2020/02/12
 【ISBN 】978-4-7976-8048-5
 【価 格】840円


戦国時代の足軽たちが実際に何を食べていたのか再現する一冊です。赤米、芋がら縄、干し飯などが紹介されています。


■片荒らし
水田がずっと続いている風景というのは最近の話で、古代は焼き畑を伴った陸田や水田が混在していました。これを片荒らしというそうで、施肥と治水の問題からでした。太閤検地の頃まで続いていたようです。


■井伊家
保元物語では源義朝に従う8人の兵が記載されています。その一人が「井の八郎」で鎌倉時代には遠江介に任官され井伊介と自称していました。出羽の秋田城介、相模の三浦介、下総の千葉介、上総の上総介、伊豆の狩野介、加賀の富樫介、周防の大内介と並んで八介と総称されていました。かなり格式が高い家だったようです。


■式年遷宮
大宝令時代からあった倉庫令に干し飯を20年、倉に貯蔵しろという記載があります。伊勢神宮の式年遷宮の20年はここからきているという説があります。米の命が続く限界を国の命の限界とみなし、死と再生の祭りを行うことになり式年遷宮となったという説です。


■焼酎
蒸留酒がインドネシアから琉球に伝わり泡盛になります。これが日本に伝わり焼酎となります。永禄2(1559)年に鹿児島県伊佐市の郡山八幡神社で大工が本殿の柱に「神社の座主がケチで焼酎をふるまってくれない」と愚痴が書いてあります。これが焼酎という言葉の初出ですが、庶民にまで広まっていました。


真田信繁が九度山から左京に焼酎を送ってくれという手紙が残っていますが、この左京という人物は西山左京至之で足利義輝の孫でした。足利義輝が殺された時に側室が命からがれ逃げて生んだ子供の子供で、左京は細川氏に仕えていましたが生まれが生まれですので客将のような立場でした。この左京と真田家は家族ぐるみの付き合いだったようです。

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2018/12/29

中華料理進化論

 【書 名】中華料理進化論
 【著 者】徐航明
 【発行所】イースト新書
 【発行日】2018/09/20
 【ISBN 】978-4-7816-8050-7
 【価 格】880円

街のいたる所で見かける中華料理。もちろん発祥は中国ですが独自の進化を遂げて日本に定着しました。今やGyouza(餃子)、ラーメン(日式拉麺)として輸出もされています。

■オープン型とクーロズ型
ラーメン屋さんは個人経営のお店やチェーン店がたくさんありますが、サンドウィッチは専門店は少なくパン屋や喫茶店でついでに出されるだけで、理由の一つが型の違い。ラーメンはスープ、麺、トッピングで成り立っていますが製法は公開されていないクローズ型。特にスープはブラックボックスになっています。これに対してサンドウィッチは、ほぼ製法がわかり自分でも簡単に作れるオープン型。面白い視点ですね。

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2017/08/11

食品サンプルの誕生

 【書 名】食品サンプルの誕生
 【著 者】野瀬泰申
 【発行所】ちくま文庫
 【発行日】2017/07/10
 【ISBN 】978-4-480-43456-2
 【価 格】800円

レストラン前に並ぶ食品サンプルの歴史や効能などをまとめた一冊です。阪急百貨店に食堂ができ、たくさんのお客さんが集まりましたが、お客をさばくのに有効だったのが前払いの食券制度。食券を買うために必要だったのが食品サンプルです。百貨店の食堂で最初に食品サンプルを出したのは白木屋のようです。

日本の料理名には遊びが多い
時雨煮-烏丸大納言光広が関東へ下向する途中、桑名ではまぐりを食べている時に時雨が降ってきた。「神無月ふりみ降らずみ定めなきしぐれぞ冬の初めなりける」という古歌から時雨煮と名づけた
助六-遊女「揚巻」が登場する歌舞伎「助六」から揚が稲荷でノリ巻
信田寿司(名古屋)-稲荷寿司発祥の地で狐といえば信田の森から

食品サンプルは料理の名前を聞いても、よくわからない点を補う面があります。ところがこれは日本人の考え方で、フランスのメニューは食材と料理法を詳しく載せていて、まず最初にこの料理はいける、これはやめた方がよいと時にはギャルソンも交えて10分ぐらい議論するのが儀式になっていて、食品サンプルを店頭に置くという発想はないそうです。また日本人は機械が作ったものを食べることに違和感がない点もありそうです。そういえば阪神百貨店では自動式イカ焼き機がガラス張りでまじかに見られ、なんの違和感も感じません。回転焼きなども同様で、よくできた作り物だから面白いという発想が食品サンプルにありそうです。

日本だけではなく日本から進出する形で韓国や中国に食品サンプルが進出しているレポートも掲載されています。

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