2024/11/15

宗教の日本史

 【書 名】宗教の日本史
 【著 者】本郷和人
 【発行所】扶桑社新書
 【発行日】2024/11/01
 【ISBN 】978-4-594-09770-7
 【価 格】900円

■密教流行の理由
顕教は修行者が一つ一つ教えを積み重ねる必要がありますが密教は仏の血からを借りて短期間で悟りに達するため貴族は歓迎しました。

■院家
独立した財産や建物をもつ寺院で比叡山や東寺といった寺院の支院として機能する寺院。トップが院主となり院家のなかで格が高くなると門跡と呼ばれるようになります。

■懺悔
夏の修行中に僧侶同士で行いました。自分の問題点や罪をさらけだし互いにそれを乗り越えるために助け合います。民衆は対象外ですがキリスト教が入ってきたときに懺悔という言葉であらわされるようになります。キリスト教ではデウスを大日如来といっていたので仏教界も問題にしていませんでしたが、お稚児さんのような男色文化を宣教師などは認めず、反目しあうことになります。

宣教師は殉教することを覚悟して遠い異国に布教にむかいますが、殉教は文化や文明がしっかち確立された場所でないとダメです。戦国時代で条件にあうのは日本だけでした。

■十方住持制
全国各地の禅寺をまわって経験を積んでいく修行ですが、度弟院(つちえん)という師匠から弟子と受け継ぐ仕組みです。これを痛烈に批判したのが一休禅師です。

■長養
悟りをえたら修行が終わりではなく、悟りを開いた後も状態を維持するために不断の努力が必要になります。

■辛酉(しんゆう)
「かのえとり」とも呼ばれ天命が改まると考えられました。
60年ごとに訪れる辛酉の年が21回めぐる1260年ごとに、この世を揺るがす大革命が起きる考え方があります。明治になって考え601年が辛酉の年で推古天皇と聖徳太子の時代でした。さらに1260年を遡った紀元前660年を神武天皇の即位としました。これが皇紀になります。

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2024/08/07

宗教を学べば経営がわかる

 【書 名】宗教を学べば経営がわかる
 【著 者】入山章栄、池山彰
 【発行所】文春新書
 【発行日】2024/07/20
 【ISBN  】978-4-16-661462-2
 【価 格】900円
 
■知の探索
書店に行って目をつぶったまま本を1冊つかんで帰り読むことで、自分の関心事とかけ離れたものと触れる機会が増える。
「創造性は移動距離に比例する」ゴーゴーカレー創業者宮森宏和の言葉、認知の幅を広げることができる
 
■プロテスタントのカルヴァン派
予定説-神に救われるかどうかは、一人ひとり、あらかじめ決まっているという考え方
自分は救われる側に入っているかどうか気にする→不安なのでベルーフ(天から授かった職業)に一生懸命に取り組む
本来、禁欲的なはずのプロテスタントが経済活動に邁進し、浪費せず貯蓄して、そのお金が投資にまわる→西欧やアメリカの資本主義を発展
金持ちのままでは天国にいけないので大学などに寄附することになります。
 
■投資教育
江戸時代の寺子屋では福利について教えていた
 
■子供ぎんこう
戦後、政府がはじめた一大貯蓄運動 郵便局や銀行の担当者が学校を巡回して子供たちに口座を作らせて、貯金しましょうと啓蒙
高度成長期の資金需要をまかなうことに
 
■アイソモーフィズム
初対面で名刺交換する日本の習慣など、特定の社会、組織でみなが常識に沿って深く考えずに同じような行動をとりがちになること
 
■コーラン
発音はクォルラァーンで、コーランはアラビア語以外の翻訳ができないためコーランの解説書という位置づけで日本語訳が出ています。
フィリピン南部はイスラム教徒が多く、日本人が結婚する時は改宗する人が多いですが、棄教は死しか認められていません。

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2024/04/10

鎌倉仏教のミカタ

 【書 名】鎌倉仏教のミカタ
 【著 者】本郷和人、島田裕巳
 【発行所】祥伝社新書
 【発行日】2024/04/10
 【ISBN 】978-4-396-11698-9
 【価 格】940円

■末法思想
釈迦入滅後、1500年もしくは2000年以降が末法で日本では552年の仏教公伝から500年後の1052年以降が末法になりました。

■武士
国司が主催する大狩に招待されると武士として公認されたことになります。息子が獲物をとると土地の神様が武士と認めたと考えられていました。頼朝が巻狩を行い頼家に獲物をとらせた話が吾妻鏡で出てきます。

■最澄
南都六宗に対抗するため法華経にもとずく天台宗を学び日本に導入しました。法華経は誰でも成仏でき、仏になるのに、わざわざ学問をおさめる必要がない。と南都六宗にちゃぶ台返しができます。また戒壇を比叡山にもうけようとしたら南都六宗が反対し、最澄が亡くなった7日目にようやく許可されました。ただ比叡山では12年間修行して僧侶になる品質保証をつけました。これで比叡山が修行の山になっていきます。

■空海
入唐時の記録があり、空海は天皇の勅状をもって5000万円ほどの現金をもっていました。四国で修業をしていたのではなく相当の文化人で都で過ごしていたようです。

■法然
阿弥陀仏が法蔵菩薩だった時に、すべてのものを救えなければ自分は仏にならないと誓いをたて、阿弥陀仏になてちるので、すべてのものは他力で救われると考えました。

■親鸞
越後にいたことは確かですが、当時の流刑地は佐渡で難を避けるために越後に赴いたようです。

■一遍
伊予国の河野氏の出身。

■神仏習合
鎌倉時代になると僧侶が集団で伊勢神宮に参拝に行くようになり天照大神は太陽神ということから大日如来と習合します。

■葬式
曹洞宗で雲水の葬儀をもとに俗人の葬儀を考えます。故人を剃髪して戒をさずけ仏弟子になる証として戒名をつけました。曹洞宗から臨済宗、天台宗、真言宗、浄土宗にまで伝わっていきます。浄土宗と日蓮宗には戒がないのえ戒名ではなく浄土真宗は法名、日蓮宗は法号になります。

■不立文字(ふりゅうもんじ) 禅
悟りの内容は文字などでなく、師の心から弟子の心へ伝えられる以心伝心の境地

■人事の元締め
真言宗、天台宗-天皇
禅宗ー将軍 鎌倉で禅宗が流行ったのは俺たちの宗教という感覚があったからで武士がスポンサーにもなりました。貨幣経済の発展で経済担当を禅宗の僧侶に求めるようになり室町時代には中央銀行の役割は比叡山から禅宗に移っていきます。

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2023/05/31

最強神社と太古の神々

 【書 名】最強神社と太古の神々
 【著 者】島田裕巳
 【発行所】祥伝社新書
 【発行日】2023/05/10
 【ISBN 】978-4-396-11678-1
 【価 格】920円


■極相(自然の森に近い安定した状態)
明治神宮の鎮守の森を100年で作り上げる予定が、予想外の地球温暖化の影響によって亜熱帯の樹木まではえるようになってしまいました。


■延喜式神名帳
律ー刑法
令-行政法、民放
格(きゃく)-条文の補足や改正
式-施工細則
延喜式神名帳 第1~8は神事について、9巻、10巻に神社がリストアップ


八幡神-九州北部に住んでいた渡来人の神様
今木(来)神-平野神社の祭神 高野新笠(桓武天皇の母)が平城京に祀っていた神を平安京に移築して平野神社になっている。


■最古の神社建築
宇治上神社-1060年頃
釈迦が入滅して2000年後の1052年に末法の世がはじまるので平等院鳳凰堂が1053年に造られました。宇治上神社とはなんらかの関係がありそうです。


■天孫降臨
アマテラスー高天原、ツクヨミー夜の食国(おすくに)、スサノオ-海原
地上部分(昼の国)は誰が支配するか書かれておらず天孫降臨の伏線になっている


■安曇氏の故郷
志賀島-志賀海神社の宮司は代々、安曇氏の子孫がつとめる。

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2017/04/27

夫婦で行くイスラムの国々

 【書 名】夫婦で行くイスラムの国々
 【著 者】清水義範
 【発行所】集英社文庫
 【発行日】2009/08/20
 【ISBN 】978-4087464672
 【価 格】745円

トルコから次々にイスラムの国々を回ることになり、インド、トルコ、ウズベキスタン、イラン、レバノン、シリア、ヨルダン、チュニジア、モロッコ、エジプト、スペイン、イエメンなど12ケ国。おもしろいのが各国のお酒事情。お酒の持ち込みもできない国から街中で飲める国など様々。イスラムといっても多様な文化になっていることがよく理解できます。

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2016/08/05

だいたい四国八十八ヶ所

 【書 名】だいたい四国八十八ヶ所
 【著 者】宮田珠己
 【発行所】集英社文庫
 【発行日】2014/01/22
 【ISBN 】978-4087451535
 【価 格】756円

先日、バスツアーで四国八十八ヶ所の1番から6番まで回りましたが、これを歩くとなると大変だなあと思っていた時に目についた一冊です。「だいたい」というゆるいタイトルながら、結局は歩き遍路で四国一周しているのがすごいですね。歩き遍路といえば山道や田舎道を歩く雰囲気がありますが、実際の遍路道はトラックなどが通る国道沿いがほとんどで、歩道もないトンネルを通らないといけないそうです。

また、いろいろな理由で歩き遍路をしている人や地元の人がどう思っているのか、なかなか参考になります。遍路だけでなく四万十川の川下りやダイビングなどの様子もあり、楽しめます。


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2016/07/22

あなたの知らない般若心経

 【書 名】あなたの知らない般若心経
 【著 者】渋谷 申博、宮坂 宥洪
 【発行所】洋泉社Y書
 【発行日】2016/04/18
 【ISBN 】978-4-8003-0902-0
 【価 格】950円

四国八十八カ所巡りでは本堂と太子堂の2ヶ所で般若心経をあげます。他でもよく聞くお経なのですが、どんな意味があるのかサンスクリット語や玄奘訳に従って解説しています。最後の「ギャーティ、ギャーティ...」という真言(マントラ)が根幹になっています。

般若心経では色即是空、空即是色という言葉が有名ですが「空」がよく出てきます。ただ本来の意味ではなく日本では老子や荘氏の無為のような意味合いを帯びてしまい、誤読も多くなります。般若心経とはどんなお経か理解するのに最適です。

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