2023/12/29

地名散歩

 【書 名】地名散歩
 【著 者】今尾恵介
 【発行所】角川新書
 【発行日】2023/12/10
 【ISBN 】978-4-04-082477-2
 【価 格】920円

会報誌「土地家屋調査士」に記載された連載をまとめたものです。

■腹包丁
瀬戸内海から土佐に向かう急な登山道につけられた名前で参勤交代で使われていました。昔の土佐街道で急坂で腰の刀が地面につかえて歩きにくく、やむおえず腹にまわした格好が腹に包丁を刺したように見えたところから名づけられました。

■打出小槌町(芦屋)
打ち出の小づち伝説につながる名前で住居表示で消えそうになった時に反対運動が起き名前が残りました。

■古市(羽曳野市)
竹ノ内街道と東高野街道が交わるところで物々交換市から由来しています。

■歌舞伎町
戦後生まれの名前で戦後の復興で歌舞伎劇場、映画館、ダンスホール、演芸場の建設が計画されましたが、歌舞伎劇場は建てられず未成の地名になっています。

■皆中稲荷神社
伊賀組の鉄砲百人同心の屋敷が置かれたのが百人町になります。皆中稲荷神社は皆あたるかたきています。

■町
字の本来の意味は田んぼのあぜ、境などをあらわす言葉で中国や台湾では鎮になります。向日市上植野町の小字「柳ケ町」には一切、建物がありません。

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2023/09/23

地図バカ

 【書 名】地図バカ
 【著 者】今尾恵介
 【発行所】中公新書ラクレ
 【発行日】2023/09/10
 【ISBN 】978-4-12-150801-0
 【価 格】900円


■トーマスクック
英国の旅行会社で赤い表紙のコンチネンタル・タイムテーブルにはヨーロッパの主要な列車が網羅されていました。作ったトーマスクックが生まれたのが1808年で伊能忠敬が四国から九州を測量してまわっていた頃になります。


■山手急行電鉄
塹壕列車という名前で計画されましたが大恐慌が起きて計画で終了してしまいました。当時は第一次世界大戦が終わってまだ9年目で塹壕戦での戦いによく耐えた上着がトレンチ(塹壕)コートと呼ばれるようになります。


■新聞電車
大正12年(1923)頃、南海電車には新聞電車が難波を深夜2時半、3時15分発で出ていて朝刊を届けていたようです。一般客も乗車できたようです。


■大日本地名辞書
読売新聞・特派員だった吉田東伍が一念発起して作った辞書で出版を引き受けたのが神保町の冨山房。7冊揃いで大字までが網羅されています。


■日本で初めての電線
明治2年(1869)横浜の灯台から横浜裁判所までの800mを電信線がひかれました。


■沓掛
全国にある地名で峠越えする前に宿場で草鞋を新調し、今まで履いていた草鞋を掛けて安全祈願したことから沓掛という地名になっていきます。

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2022/07/23

おもしろ雑学 日本の歴史地図

 【書 名】おもしろ雑学 日本の歴史地図
 【著 者】ライフサイエンス
 【発行所】知的生きかた文庫
 【発行日】2022/6/5
 【ISBN 】978-4-8379-8722-2
 【価 格】720円


■上総、下総
都を中心に国名をつけるため南側が上総になりました。京都から東国へ行く場合、海路が中心でヤマトタケルも相模国の走水から船で房総半島にわたっています。千葉県南部の方が北部よりも都に近く上総となりました。


■鈴木
ニギハヤヒの子孫であるチオクナノミコト(千翁命)は熊野から大和を目指す神武天皇に千束の稲を献上します。これで穂積(稲の穂を積む稲むら)の姓をもらいます。熊野では稲むらの中心に立てる一本の棒を聖木(すすき)と言い、これが転じて鈴木になったようです。熊野の藤白神社が鈴木の故郷になります。


■茅沼鉄道
北海道の泊村茅沼で1869年に開通した牛がひく鉄道。新橋ー横浜の3年前でした。石炭を積みだすための鉄道です。

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2022/02/13

京阪神スリバチの達人

 【書 名】京阪神スリバチの達人
 【著 者】新之介
 【発行所】昭文社
 【発行日】2021/11/01
 【ISBN 】978-4-398-14763-9
 【価 格】1650円


■六甲山
六甲山の標高500mの奥地にMa-1という100万年前に大阪湾の海の底に溜まった泥の地層があり、同じものが大阪湾の海面下500mでも見られる。100万年間で1000mとの差ができている。


■天満橋
上町台地の縁が崖になっていて石段の上の公園が摂津国府の比定地になっており石町という町名が国府が転化した説がある


■天王寺城
学園坂には蟲谷と呼ばれる谷があり、原田直政によって砦が作られ、谷が堀の役割をしていて月江寺が砦跡といわれている


■吉田山
花折断層は滋賀県水越峠付近から50kmぐらい活断層が続いていて吉田山が末端のターミナルバジルという珍しい地形になっている。


■蹴上
源義経が馬に乗った平家一団とすれ違った時に馬が泥水を蹴り上げて義経の衣服を汚したことから争いになり9人を切り捨てたことからきた地名


■伏見城御舟入跡
指月伏見城が倒壊した後に造られたのが木幡山伏見城で宇治川からつながる川港(舟入)があった。千姫が秀頼に輿入れするために、ここから出発した模様。昭和40年代までため池が残っていた。


■御影城(平野城)
摂津国兎原郡の郡衙があった模様。室町時代には源頼政の子孫である平野忠勝が御影の山上に平野城(御影村城)を構える。西は石屋川、新田川を東は深田池や天神川などを堀にして台地の上に城が造られた。

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2021/12/11

地形で読む日本

 【書 名】地形で読む日本
 【著 者】金田章裕
 【発行所】日経BP
 【発行日】2021/11/08
 【ISBN 】978-4-532-26467-3
 【価 格】950円


■保良京
孝謙天皇が造営した北京が保良京を761年に設立。瀬田川の上流にあり田原道が通っていました。藤原仲麻呂の乱では藤原仲麻呂が近江国府に入ろうとした時に孝謙上皇軍が田原道を先回りして瀬田橋を落としたことで阻止します。保良京の場所は関津遺跡と言われています。


■堺
秀吉の時代に堀が埋め立てられ、商人は大坂への移住がすすめられ、大坂夏の陣には焼き討ちされました。

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2016/11/12

街道で読み解く日本史の謎

 【書 名】街道で読み解く日本史の謎
 【著 者】安藤優一郎
 【発行所】PHP文庫
 【発行日】2016/11/15
 【ISBN 】978-4-569-76568-6
 【価 格】780円

日本史の事件を街道をからめて考察した本です。鎌倉といえば幕府が開かれた源氏の総本山ですが、鎌倉は鎌倉街道を使ってけっこう攻め込まれています。新田義貞が鎌倉に攻め込み幕府が滅びますが、今度は北条氏が中先代の乱を起こし、鎌倉を占領します。他にも北畠顕家率いる軍勢に占領されたり、尊氏側が奪い返したりと、よく戦場となる土地でした。

秋葉原といえば今はオタクの街ですが、知名の由来は秋葉神社。本当は秋葉神社じゃなかったんですね。遠江国にある秋葉神社が火伏の神として信仰を集めていて全国に勧請していました。火事が多かった東京府では火除地を作り、鎮火神社を作りましたが、どうもこの時に秋葉大権現が勧請されたと皆、思ったみたいで勘違いから秋葉原の地名になってしまいました。

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2016/08/07

大阪高低差地形散歩

 【書 名】大阪高低差地形散歩
 【著 者】大阪高低差学会 新之介
 【発行所】洋泉社
 【発行日】2016/06/10
 【ISBN 】978-4-8003-0942-6
 【価 格】2200円

上町台地や空堀商店街など大阪にもたくさんの高低差があり12エリアを紹介しています。

■大阪のはじまりの地
大阪城、道頓堀、大阪駅、天王寺

■上町台地の高低差巡り
阿倍野、住吉大社

■水辺の跡に誘われて
仁徳天皇陵古墳、十三

■古代の海岸線を辿る
千里丘陵、柏原、石切、川西・伊丹

上町台地にはたくさんの谷がありましたが、平坦地を確保するために埋立られたのですね。こんなに谷があったとははじめて知りました。


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2015/01/06

日本史が面白くなる地名の秘密

 【書 名】日本史が面白くなる地名の秘密
 【著 者】八幡 和郎
 【発行所】洋泉社
 【発行日】2013/11/21
 【ISBN 】978-4-8003-0263-2
 【価 格】800円

日本全国の様々な地名の歴史です。

■新座市(埼玉県)
百済滅亡に伴い百済からの亡命人が増えることで九州に百済人国家ができることを怖れた朝廷は分散させることにしました。遠い所では埼玉県日高市に高麗郡を設置し、現在も高麗神社などが残っています。百済だけでなく新羅や隼人にも適用され、武蔵国新羅郡が表記を変えて新座となり、読み方が「にいざ」となって現在の新座市になっています。

■相国寺(京都)
同志社大学横にあるのが相国寺。足利義満が建立しました。義満は太政大臣で中国風に言うと相国。ここから名づけられました。同様に参議は「宰相」、中納言は「黄門」、近衛大将を「大樹」と呼びました。御存じ、水戸黄門は権中納言でした。

■黒田官兵衛
近江源氏は蒲生郡佐々木庄に下向して佐々木氏と名乗りました。佐々木氏で有名なのがバサラと呼ばれた佐々木道誉です。室町時代には近江を北と南に分け、京都の六角東洞院に屋敷をもらっていた方が六角氏、京極高辻に屋敷があった方が京極氏と名乗るようになります。

黒田氏はこの京極氏の支流。近江国長浜にあった黒田庄が本拠地です。やがて備前に移りました。姓は皆、「源」ですので土地の名前を苗字にしました。福岡市は黒田が移り住んだ邑久郡福岡村からとっています。

廃藩置県とは江戸時代260年余りも続いた藩をなくして県にしたというのは誤解なんですねえ。これは知りませんでした。

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2014/11/08

地図が隠した「暗号」

 【書 名】地図が隠した「暗号」
 【著 者】今尾恵介
 【発行所】講談社アルファ文庫
 【発行日】2014/02/20
 【ISBN 】978-4-06-281546-8
 【価 格】750円

「地図を楽しむ なるほど事典」(実業之日本社)をもとに経年変化や誤りなどを調べて加筆訂正して出された文庫本です。

昔の地図と最近の地図を比べることでいろいろな歴史が分かってきます。愛知県豊橋市の東田(あずまだ)地区。市街地から離れたところに遊郭がつくられ、これが田んぼの中に四角形の街ができました。現在は市街地によって町に飲み込まれていますが四角形の街路などが、現在も残っています。また各国との地図の違いも掲載されています。イギリスの地図はツーリスト優先でユースホステルなどが記号化されていますが、日本はお役所優先。税務署や市役所の記号が載っているなどお国柄によって地図もだいぶ違うんですね。


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