【書 名】神楽坂ホン書き旅館
【著 者】黒川鍾信
【発行所】NHK出版
【発行日】2002/05/25
【ISBN 】978-4-14-080694-X
【価 格】1700円
神楽坂にある旅館「和可菜」。日本を代表する文豪達が愛した老舗旅館として現在はインバウンドでも有名な旅館になっています。ホン書きは昼間に寝て、夜中に仕事をする。社会性がない人が多く、こういったホン書き専門の旅館でした。この旅館からヒット作がたくさん生まれたため「出世旅館」とも呼ばれています。
昭和28年に女優だった小暮実千代(つま)に旅館を買わないかという話があり、女将は付き人をしていた妹の敏子がすることになりました。最初は苦労しましたが、やがてホン書きが籠る旅館となっていきます。数多くのホン書きがいましたが、その一人が円谷プロの金城哲夫。ウルトラマンを執筆していたあの金城です。
■野坂昭如
『エロ事師たち』などで有名な野坂昭如もよく籠っていて、繰り広げられるのが原稿を待つ編集者との格闘。近くに田原屋という夏目漱石、松本清張などが愛した洋食屋があり、野坂が編集者に田原屋で待てと言う時ははなから原稿を渡す気がないか、遁走を考えている時でした。
野坂は和可菜と平河町にあった都市センターホテルもよく使っていました。都市センターホテルは梶山季之もよく使っていたようで、その時にフロントにいたのが森村誠一で原稿を預かって編集者に渡したりしていたそうです。
■山田洋次
「男はつらいよ」のいくつかの作品も和可菜で書かれました。マドンナの名前が「若菜」の時もあり、この時のマドンナは樋口可南子でした。
■竹山洋
NHK朝の連続テレビ小説「京、ふたり」を書いた後に大河ドラマ「秀吉」を執筆します。また「利家とまつ」の執筆も行いました。
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