2017/03/15

ようこそ授賞式の夕べに

 【書 名】ようこそ授賞式の夕べに
 【著 者】大崎 梢
 【発行所】創元推理文庫
 【発行日】2017/02/24
 【ISBN 】978-4-488-48706-5
 【価 格】660円

「配達あかづきん」、「晩夏に捧ぐ」、「サイン会はいかが?」に続く成風堂書店事件メモの第4弾。今回は「出版社営業井辻智紀の業務日誌」とのコラボ作になっていて舞台は書店大賞の事務局。届いた脅迫状の謎を解いていく過程で、書店大賞の功罪や批判はあっても書店をつぶさないためにはやらざるをえない業界事情などが分かり、こちらの話がとっても面白いですね。

書店大賞に入賞した著者が広報のために”書店まわり”をしたが冷たくあしらわれたと語るシーンがあります。私も先日、著作をだしたので自作POPを持って”書店まわり”をしましたが、どこも丁寧に対応してもらったので、よほど忙しい時間帯だったんでしょうかね。

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2017/02/12

なぜアマゾンは1円で本が売れるのか

 【書 名】なぜアマゾンは1円で本が売れるのか
 【著 者】武田 徹
 【発行所】新潮新書
 【発行日】2017/01/20
 【ISBN 】978-4-10-610700-9
 【価 格】800円

タイトルからアマゾンでたくさんの業者が1円で出品していますが、どうやって元をとっているのかというビジネスモデルの話かなと思ったら、なかなか面白いメディア論でした。活字の歴史がデジタル化によってどうなったのか、大日本印刷はどう変わっているのか、今度はデジタルの世界でなにが起きているのかを話題にしています。

電子書籍は在庫が必要ありませんので絶版はありません。紙の本だと見つけた時に買わないと、あとあと絶版になって買いたくても買えません。電子書籍では、そんな心配がなくなるのですが、よく考えてみたら本当に必要としなくなるまでダウンロードしなくなります。紙の本だとすぐ読むための本と、とりあえす買っておくという本で出版業界が成り立っていますが、電子書籍では、とりあえず買っておく、つまりツン読がなくなってしまいます。出版業界にとっては由々しき事態です。


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2017/01/30

会社勤めをしながら3年間で作家になる方法

 【書 名】会社勤めをしながら3年間で作家になる方法
 【著 者】野村正樹
 【発行所】青春出版社
 【発行日】2002/7/10
 【ISBN 】4-413-03351-5
 【価 格】1300円

この頃、雑誌を読むだけでも忙しく、なかなか本まで手がまわっていません。ウーン、こんなことではいかんなあ。

角川源義が角川文庫を創刊した理由が戦後、古本屋で手にした1冊の本に「目がつぶれるほど本が読みたい」と、持ち主だった学生が書いた走り書きを見たからなんだそうですが、ウーンそれとはほど遠いですなあ。

でも久しぶりに津からの特急電車で読んだのですが、けっこう参考になった本です。

会社勤めしている4名が印税生活がしたい、本を名刺代わりに1冊出したいなどの夢から実際にどうやればよいか、学べる本になっています。

半分、小説で、半分、ハウツウ本になっています。実際にやられた野村さんの体験が元になった本です。

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2016/04/13

書店の近代

 【書 名】書店の近代
 【著 者】小田光雄
 【発行所】平凡社
 【発行日】2003/05/19
 【ISBN 】4-582-85184-3
 【価 格】740円

「出版社在庫僅少本」と帯に書かれていたので速攻で買ってきました。江戸時代から明治、大正、昭和に至る本が輝いていた本屋さんの話です。

本にはスリップと呼ばれる書店カードが入っていますが、もともと丸善で始まりました。明治の終わりか大正の初めに洋書の品切れ補充品を調査するために考案され現在まで使われています。

田山花袋、梶井基次郎などとともに丸善、金港堂、洋書店中西屋、南天堂、岡書院、内山書店(上海)、紀伊國屋書店、西川誠光堂なども紹介されています。

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2004/10/05

出版幻想論

 【書 名】出版幻想論
 【著 者】藤脇 邦夫
 【発行所】太田出版
 【発行日】1994/5/18
 【ISBN 】4-87233-162-1
 【価 格】1500円

「文化に貢献する。良書を世に問う。」
と編集者が言っても売れなければ読者にとって必要なかった商品でしかないと明確に割り切っていて、なかなか面白い内容です。

書店が行っているベストセラーには漫画も入れて本当に何が一番売れているのかを明示した方がいいというのは一つの見識でしょうね。

92年には大陸書房が倒産し、(倒産していたんですね。全然知らなかった)六興出版も倒産(森銑三の本を出していた出版社でした)と出版界もあいかわらず足腰の弱い状況です。

売れる本の出し方の指南が掲載されていました。

1、上製本ではなく、ソフトカバーで出す。
上製本は売れ始めた時に最後は手作業になるので、大量生産に向かない。箱入は論外。 「磯野家の謎」はある印刷所で毎日5万部作れる機械があったために必要な時に必要部数が供給できた。

2、仮に10万部突破しても、絶対に広告を打たない。

3、著者にきたテレビ出演、インタビュー注文はすべて受けさせる。
  協力しない著者の本はもう増刷しない。

4、内容証明がこようが、週刊誌・新聞で叩かれようが、本が売れている限りは絶対に謝罪しない。そして、売れ行きが完全に止まってから謝罪する。


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2004/10/04

出版その世界

 【書 名】出版その世界
 【著 者】塩沢 実信
 【発行所】恒文社
 【発行日】1991/12/30
 【価 格】2000円

各出版社を興した人々の話です。色々な出版社が誕生していますが長続きするのは少ないですね。100年の歴史を持つものとなると吉川弘文館、丸善、金原出版、有斐閣、春陽堂、南江堂、三省堂、富山房、中央公論社、大日本図書ぐらいだそうです。

辞書で有名な三省堂も元々は岩波書店と同じで古本屋からスタートしました。「今日の売り手は明日の買い手」とどの店よりも高く買って好評を得たそうです。また学生が洋書を渇望していることを知って「ウエブスター氏新刊大辞書和訳字彙」を出したのが最初です。そして辞書の三省堂として礎を作りました。

カッパブックスで有名な光文社は元々は講談社から別れたものです。戦後に講談社が戦犯出版社として粛正の対象になりつつあった時に占領軍に会社を解散された時を考えて生き残りの手段として、作られたものです。でも社員は出向するのをいやがったそうです。

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2004/09/29

著者と編集者の間 出版史の森を歩く

 【書 名】著者と編集者の間 出版史の森を歩く
 【著 者】高橋輝次
 【発行所】武蔵野書房
 【発行日】1996/5/30
 【価 格】2472円

古本屋さんのエッセイーを集めた「古本屋の来客簿」などのシリーズを3冊、燃焼社から出されている著者です。大阪の豊中市にお住まいのようですね。創元社に勤めておられて河合隼雄氏の本などの編集をされていたそうです。著者や編集に交わる面白い話が多いですね。

■宮沢賢治 
文圃堂が出した宮沢賢治全集の出版秘話がありました。宮沢賢治は生前、自費出版で「春と修羅」「注文の多い料理店」しか出していませんでした。賢治の作品を評価していた草野心平が賢治の葬式に出席して、膨大な遺稿の存在を知ります。

一周忌が終わった後で宮沢家が自費出版で出した「宮沢賢治追悼」を横光利一に贈ったのが賢治の作品が世に出るきっかけとなったようです。読んで感動した横光は書物展望社の編集長をたずねて、全集を出すことを強く勧めました。刊行が決まり、全集の編集者として草野心平が決まり、話がすすみましたが、内容見本まで出来たのに出版の方はなかなか進みません。

当時、宮沢賢治は全くの無名、その全集をいきなり出すのは出版社の命取りになるかもしれないと危惧したせいです。ガッカリした心平は偶然街で会った、武田麟太郎氏から一緒に歩いていた文圃堂という古本屋のご主人、野々上氏を紹介され、その頃、出版も志していた若い野々上が引き受けることになりました。そして賢治の最初の全集が小さな古本屋さんから出ることになります。

第3巻の童話集が1000部売れて、200部増刷したとあるので、そう売れたものではないですね。(今では考えられませんが)

これをきっかけにして賢治の名前が広がり、今のブームになりました。そして文圃堂の名前も後世にまで残ることになります。

▼文圃堂の話題
文圃堂 中原中也
文圃堂こぼれ話 中原中也のことども

■ゲラ
活版印刷で組み上げた活字を三方に縁にある長方形の盤に収めます。

この盤のことをgallyと言うそうで、これがなまってゲラと呼ぶようになったようですね。今やコンピュータ写植の時代にまだゲラという言葉はしっかり残っています。

■蒲団(田山花袋)
原稿を書き上げたのはいいがモデルの彼女がもし読んだらと気がきではなかった花袋。

前田という人物が原稿を読んでもいないのに相談を受け、「恋と恋」というタイトルがいいだろうか、それとも「蒲団の匂ひ」がいいだろうかと花袋に聞かれます。
「いや蒲団の匂ひより蒲団の方がいいでしょう。ちょっと何のことか見当もつかないけれど。だが一体何を書いたんですか?」「いや、なあに...」と言葉を濁す花袋氏
近代文学のタイトルも実におもしろい命名秘話があるんですね。

■吉行淳之介の大失態
吉行淳之介は23歳の時にアルバイトの編集記者として新太陽社に入り以来6年間、大衆雑誌「モダン日本」の月刊誌の記者として働いたそうです。

昭和27年に作家の三橋一夫のところへ原稿を取りに行って、どちらも酒豪だったので酒盛りとなり、帰る時に原稿は郵便で送ろうかと言われたのを大丈夫持って帰りますと家を出たそうです。

電車を降りてしばらくして気がつくと握りしめた原稿の上側2枚だけが手に残って、中身がどこにもありません。ついに出てこなかったそうです。

三橋さんはこころよく原稿20枚を書き直してくれたそうで、昔の文士にはなかなかの人物がいたようです。当の吉行が「作家としての自分が同じ立場になったら、はたして三橋さんと同じように振る舞えるかはなはだ疑問である」と書いています。

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2004/09/27

書物の運命 近代の図書文化の変遷

 【書 名】書物の運命 近代の図書文化の変遷
 【著 者】尾崎 秀樹
 【発行所】出版ニュース社
 【発行日】1991/10/16
 【ISBN 】4-7852-0052-9
 【価 格】3000円

巻末に索引がばっちりの本で近代小説の歴史、雑誌の変遷を知る基礎資料になっています。近くの瓢箪山書房という古本屋で見つけました。

面白い話題をいくつか
●山本周五郎
樅ノ木は残った、ながい坂、赤ひげ診療譚で有名な山本周五郎ですが、関東大震災がきっかけで関西に移ったそうです。それまでは東京の質屋・山本周五郎方に勤めており、その店主の名前をとって、後に彼の筆名になったようです。震災は色々な人に影響を与えており、吉川英次は毎夕新聞社に勤めていましたが、これを転機に時代小説作家になりました。

●直木三十五
楠木正成、新説天一坊、源九郎義経の執筆で知られる直木三十五ですが昭和9年に43歳の若さで亡くなっています。文芸春秋で菊地寛が「直木を記念するために、社で直木賞というのを制定して、大衆文芸の新進作家に贈りたい。同時に芥川賞というものを制定して純文芸に贈ろうと思う。」芥川、直木とも菊地の古くからつきあいがあり、また文芸春秋社とも交渉が深かった。それで昭和10年から直木賞・芥川賞が生まれたそうです。今も続いていますね。

●江戸川乱歩
処女作は「2銭銅貨」ですが、何と大阪の守口で書いています。大正11年に父の家へ戻った夏に書き上げたようです。日本の創作探偵小説の第1号になりました。三重県名張生まれで、苦学して早稲田大学に通い、卒業後は貿易商、造船所事務員、古本屋営業、ラーメン屋など色々な職につき、この体験が貴重な糧になったようです。(フリータの元祖みたいな人だな)
 
探偵小説といえば専門誌が昭和8年から4年にわたって出ていたようです。「ぷろふいる」という雑誌で、戦前には面白い雑誌が出ていたんですね。発行所は何と京都市下京区で寄稿も乱歩、海野十三、夢野久作などそうそうたるメンバーです。

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2004/09/16

本は流れる 出版流通機構の成立史

 【書 名】本は流れる 出版流通機構の成立史
 【著 者】清水 文吉
 【発行所】日本エデイタースクール出版部
 【発行日】1991/12/25
 【価 格】3500円
 【 ISBN 】4-88888-182-0

善書堂という京都の古本屋で見つけた本ですが、今の取次会社(東販、日販、大阪屋、粟田などなど)がどう生まれてきたのか、その歴史が分かる一冊です。
本屋の前などに積んであるダンボールの横に日販や東販という文字をよく見かけますがあれが取次です。

本屋商人の誕生(1609年京都室町通近衛町に店を開き、「古文真宝」<宋までの詩文を集めた書で昔、日本古書通信に連載記事が出てました>を開版、販売した「本屋新七」がはじまり)から歴史が書かれています。

明治に出版社の本を小売業者(本屋)へ卸売りするいわゆる取次が生まれましたが、それが東京堂、北隆館、東海堂、良明堂、上田屋の五社です。

大戦中は国策で1社体制の日配(日本出版配給株式会社)が生まれました。大戦中は紙もないし、本も少ないという状態で返本率は0.1%となり、ある月には返本率がついに0という今ではとても考えられない取次の夢が実現されました。

戦後は解体され、東版(東京出版販売)、日版(日本出版販売)、中央社、日教販(日本教科書図書)、粟田が地方には大阪屋、中部出版販売、京都図書、北海道図書、九州出版販売が取次として生まれて現在に至ってい
ます。鈴木書店など他にも色々と生まれましたが鈴木書店は無くなってしまいましたね。

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2004/09/09

江戸の板本 書誌学談義

 【書 名】江戸の板本  書誌学談義
 【著 者】中野三敏
 【発行所】岩波書店
 【発行日】1995/12/6
 【ISBN 】4-00-002955-X
 【価 格】2910円

神保町の八木書店2階で求めたものです。96年3刷の本を買いましたので、まだ探せばあるはずですが、大規模店の岩波書店のコーナに行ってもまず見ない本ですね。(^^);

カバーが両国橋風景(江戸)でなかなかおしゃれです。巻末にはちゃと索引もあるし、いい本です。

整版、活字版の違いなど板式、装丁、分類などに分けて丁寧に書かれています。ちなみに整本というのは字や絵を板木に逆文字で彫りこんで、その面に墨を塗って印刷したものです。活字本は活字をひろってそれに墨を塗って印刷した本で、銀河鉄道の夜でジョバンニがアルバイトするのがこの活字本の方です。

昔は整版でしたのが、秀吉の文録・慶長の役頃に朝鮮から活字がもたらされ、またキリスト教関係でも印刷機が持ち込まれ(天正時代にヨーロッパに渡った4少年の帰り道に宣教師が持ちこんだ話もあります)
活字本が始まりました。天草や長崎で出来たのがキリシタン版で天理図書館に何点かあります。(確か国宝か重要文化財のはずです)

どれもが天下の孤本です。(世界にたった1冊しかない)それが寛永から慶安にかけて活字本がパッタリと途切れて、整本が主流になってしまいました。

どうも、この頃にそれまでは寺院などで発行されていた出版物が十分に商売として成り立つようになってきたのが原因のようです。つまり出版社の誕生ですね。慶長14年の「古宝真宝」の奥付に「本屋新七」の名前が出ていますので、この頃に出版業が成り立ち始めたようです。

そうなると本屋(出版業)にとっての財産は刷り上げられ製本された本ではなく、元の原版つまり板木そのものになります。板木さえあれば追加注文に応じて増し刷りが可能になります。活字ですと、本を作成した後に次の本のために活字をばらしていますので増刷はできなくなります。まあ、これはこの作者の推理なんですが、たぶん順当な線ですね。今は電子写植、そのうちにアクロバット(PDF)になりそうですね。


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