2017/03/01

天皇にとって退位とは何か

 【書 名】天皇にとって退位とは何か
 【著 者】本郷 和人
 【発行所】イースト・プレス
 【発行日】2017/01/27
 【ISBN 】978-4-7816-1506-6
 【価 格】1400円

歴史学者から見た天皇の退位に関する分析です。江戸時代など京都周辺は別にして一般庶民は天皇の存在を知りませんでした。大名という”殿さま”がいただけです。日本はバラバラの集合体ですが、伊藤博文などがヨーロッパ諸国を見に行くとキリスト教で一枚岩になっていました。そこで国民のあいだに天皇の重要性を認識させ、アイデンティティを植え付けていくことになります。また明治政府は世襲を排し、父親の身分によって加点されるような抜け道をなくしました。ですが二世議員や三世議員が出るようにまた世襲社会に戻っています。

武家が天皇にとって代わろうと思えばできる軍事力がありましたが、できなかったのは武家が独自の土地所有の仕組みをつくりだすことができなかったことにあります。
土地所有は職の大系で、土地を一人で所有するのではなく重層的な支配構造のなかで所有しています。
本家-最上位の土地の名義上の所有者 摂関家や大寺社など
領家-有力貴族、有力寺社
地頭、下司-現場で荘園を管理する武士
公文-現地で実務をとっていた下級職員

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2016/08/11

天才

 【書 名】天才
 【著 者】石原慎太郎
 【発行所】幻冬舎
 【発行日】2016/01/22
 【ISBN 】978-4344028777
 【価 格】1512円

田中角栄の金脈政治を批判していた青嵐会の石原慎太郎が書いた評伝。1人称で書いていて田中角栄から見た石原慎太郎自らも出てきます。六法全書を丸暗記し、衆議院議員として100本を超える議員立法を成立させ、その法律は現在も生きています。懐が深く大物政治家でしたが、日中友好条約の締結などアメリカから危険視されたことからロッキード事件で失脚することになります。

ロッキード事件の法廷についても出てきますが、アメリカ側のリークにまんまと乗ったマスコミやマスコミに先導された大衆によって司法の判決がねじまげられていくところが出てきます。


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2015/06/25

占領下日本の教訓

 【書 名】占領下日本の教訓
 【著 者】保阪 正康
 【発行所】朝日新書
 【発行日】2009/08/30
 【ISBN 】978-4-02-273289-7
 【価 格】800円

北海道生まれで、アメリカの占領下に国民学校に入学した筆者が、占領下の日本はどんな国だったのか、アメリカはどんな意図で占領していたのか、日本人の意識はどうだったのか、など時代の雰囲気と共に書いた一冊。

マッカーサーが占領軍の長として赴任しましたが、ちょっと変わっていて日本にデモクラシーを植え付けてやろうという使命感を持っていました。アメリカによる民主化が進みましたが、実際はGHQにとって都合が悪いことには検閲があったり、朝鮮戦争やレッドパージなどでいろいろと方針が変ったりもしました。いろいろな面がある二重構造で、これが現在の憲法問題などに続いています。

マッカーサーがトルーマンによって解任され日本を去る時に沿道に20万人もが見送りにいきましたが、元帥が大統領によって解任されるというシビリアンコントロールという教訓にこそ、日本人が学ぶべきだったとも書いてあります。満州事変などを起こした関東軍参謀を解任できずに戦争にのめりこんでいったのが日本でした。


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2015/06/17

超訳日本国憲法

 【書 名】超訳日本国憲法
 【著 者】池上 彰
 【発行所】新潮新書
 【発行日】2015/04/20
 【ISBN 】978-4-10-610613-2
 【価 格】780円

日本は立憲主義ですので、公務員は憲法を守る義務があります。つまり権力者が勝手なことができないよう国民が制約をかけているのが憲法になります。憲法全文について明快で分かりやすい訳がついています。

巻末には北朝鮮と中国の憲法もついていますが、書いてあることは実体と違うものばかり。中国の憲法には「言論、出版、集会、結社などの自由を有する」と書いてあり驚きますが、憲法の上にあるのが中国共産党。つまり共産党が自由に条文を解釈できるということになっています。アメリカの憲法も掲載されていますが、民主主義国家といいながら日本の憲法とはかなり違います。

日本国憲法の第73条に内閣の役割に「法律を誠実に執行し、国務を総理すること」とあります。総理とは総(すべ)てをとりまとめて管理すること、ですので総理大臣というんですね。


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2014/03/11

リー・クアンユー、世界を語る

 【書 名】リー・クアンユー、世界を語る
 【著 者】グラハム・アリソン、ロバート・D・ブラックウィル、アリ・ウィン
 【発行所】サンマーク出版
 【発行日】2013/10/15
 【ISBN 】978-4763133212
 【価 格】1785円

シンガポール建国の父「リー・クアンユー」。

Q&A形式で書かれていて中国、アメリカ、米中関係、インド、イスラム原理主義などの章立てになっています。まず中国の自由民主主義化は無理で、そんなことをしてしまえば国が崩壊してしまうと現実的な回答をしています。

シンガポールの成功の一因は英語と各自の母語のどちらを選んでもよいとして30年間の期間をかけて英語が第一言語になったこと。優秀な人材を外部から導入したこと。あと規律が重要という話も出てきます。昔、リークンユが深夜に東京へ着いた時、車もほとんど通らない交差点で赤信号を待っている日本人を見て、我が国も日本の規律に学ばないといけないといった逸話を思い出しました。東京でよかったですね、これが大阪だったら幻滅したことでしょう。


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2011/07/29

官僚の責任

 【書 名】官僚の責任
 【著 者】古賀 茂明
 【発行所】PHP新書
 【発行日】2011/07/29
 【ISBN 】978-4-569-79805-9
 【価 格】720円

国家公務員というと責任を取らない、天下り問題など様々に語られますが、大学卒業して公務員になった時は青雲の志ではないですが国家のために燃えていたはずです。それがだんだんと骨抜きに、不思議だったんですがこの本を読んでシステムがなっていないことがよく分かりました。例えば経済産業省に入ると、中での異動はありますがずっと経済産業省。他の省でも同じです。

会社に入ると会社の利益をまず考える会社人間になるように、これなら国益よりも省益です。先輩が退官するなら困らないように天下り先を用意する互助組織となっています。中での評価も省の利益に貢献したかになります。完璧な部分最適(省益)で全体最適(国益)が無理なはずです。なかには筆者のように国益を先に考える公務員が出てくると異端視されてしまいます。

人の資質の問題以前にシステムを改めないといけません。本の中でいくつか提言されていて検討に値するものばかり、民主党がなぜ改革ができないかの分析もされていますが本にもある通り、今こそ改革のチャンスでもあります。

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