京都人だけが知っている
【書 名】京都人だけが知っている
【著 者】入江 敦彦
【発行所】洋泉社
【発行日】2001/05/22
【ISBN 】4-89691-537-2
【価 格】680円
筆者は1961年の西陣生まれで、現在はイギリス在住。文章も全部ロンドンで書いたとあります。文章のタッチがJJ氏(植草甚一)を彷彿とさせるタッチで、なかなか奥深い京都の世界が楽しみます。知らない話が盛りだくさんでした。
■平野さん
「平野さんに産んでしもうて私が悪かった」筆者が母親に言われた言葉だそうです。平野神社は北野天満宮の先にあり、「北野を越えて」が「汚のう肥えて」になって不細工を表す京言葉なんだそうです。京都に4年ほど住んでいましたが、これは初めて聞きましたね。
■御室の桜
仁和時の桜が背が低いことから、「御室の桜」というと「鼻(花)が低い」ということになります。
■丹波越えの身になる
都落ちすることで、老のノ坂峠を越えると丹波でした。
■食事
ああウマかった。ウシまけた。と続けるのが京。
ドラエモンが好きなどら焼きは関西では「三笠」と呼びます。東寺の僧侶から寺でも作れて間食になって腹持ちがよいお菓子を命じられ銅鑼で皮を焼いたことから命名されます。
■進々堂
黒田辰秋が作ったオーク材の大きな机と椅子が特徴で昭和5年にカルチェラタンに感動したオーナーが作った喫茶店。
■漬物(香の物)
鼻腔や口中を爽やかにするため香道で用いられたのが香の物で沢庵をさします。京では沢庵を「おこう」と呼んでいます。
■サッカーの神様
堀川今出川に白峯神社があります。
白峯神社がある場所は、平安時代から代々蹴鞠の家元とされてきた、飛鳥井家の邸宅があった場所で蹴鞠の神様でもあります。それがどこでどうなったのか蹴鞠もサッカーも似たものということで地元京都パーブルサンガの必勝祈願の場所になります。
■円山応挙
亀岡の出身。四条の金運寺境内に借家住まいをしている時に薄物をひきづって墓参する病弱ま寺の女房を見て、足がない幽霊画を思いつきます。
■送り火
市原野「い」、鳴滝「一」、西山「竹の先に鈴」、北嵯峨「蛇」、観音寺村「長刀」がありました。はじまった時期は分かりませんが、おそらく中世です。
■京都ってどこまで?
京都人の京都という感覚は独特のもののようで、あの世とつながっていると思われるところが境界のようです。北は幽霊で有名な深泥池あたり、昔この近くの上賀茂に住んでおりました。夜は不気味でしたね。タクシーで乗せた女が消えてシートがぐっしゃりは深泥池発祥といわれていますが宝ヶ池トンネル手前の狐坂だそうです。
西は心霊ゾーンである老ノ坂トンネルで、亀岡は近いのですが老ノ坂トンネルの向こうですので京都ではなく彼岸なんだそうで(笑)船岡山、東山遊歩道、持越峠、東山トンネル、清滝トンネルという心霊スポットとして有名なところが京都人が此岸つまり京都と感じているところです。
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