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2024/09/28

ブラック・チェンバー

 【書 名】ブラック・チェンバー
 【著 者】H・O・ヤードレー
 【発行所】角川新書
 【発行日】2023/12/10
 【ISBN 】978-4-04-082486-4
 【価 格】1800円

副題が「米国はいかにして外交暗号を盗んだか」です。

1921(大正10)年に行われたワシントン軍縮会議では東京ーワシントンを行きかった約5千通の外交暗号電報はすべて解読されていました。この本が出た後、幣原喜重郎外相(軍縮会議時の駐米大使)は「信義に反する」とアメリカを非難します。またヤードレーは出版前に日本側に7千ドルで日本の暗号解読について売っていて、それなのに暴露されてしまいました。世界で翻訳されましたが、もっとも売れたのが日本で3万部以上になりアメリカの4倍売れました。

暗号解読の技術者に日本語を学習させると語学の天分があったため、6ケ月ほどで日本語に精通するようになります。日本は諜報戦で敗北しましたが抜本的改革をせず、太平洋戦争に突入していきます。

■海底電線
大西洋ではドイツの潜水艦が数百フィートの間、海底電線と並行するように電線をひくことで感応作用によって通信の横取りができました。

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近鉄駅ものがたり

 【書 名】近鉄駅ものがたり
 【著 者】福原トシヒロ
 【発行所】風媒社
 【発行日】2024/08/30
 【ISBN 】978-4-8331-4319-6
 【価 格】1600円

■1日あたりの乗降客数
大阪阿倍野駅 14万人
鶴橋駅 13万7300人
大阪難波駅 11万2900人

東青山駅 24人
西青山駅 10人

■石切駅
急行停車駅-生駒駅の肩代わりのため
近鉄奈良線で額田、枚岡駅に続いて3番目に乗降客数が少ない

■西大寺駅
橿原線が右にカーブして左にカーブしているのは西大寺駅を延伸した影響。住宅地をまっすぐ走る道が線路跡になっている。

■東青山駅
四季のさと-新青山トンネル等の掘削で発生した土砂の処分場

■中川短絡線
昭和36年に完成 名阪ノンストップ特急も扉が開かないだけでスイッチバックをしていた
「ひのとり」は津駅で乗務員が交代するがノンストップ時代は短絡線で交代していた。

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2024/09/20

本の身の上ばなし

 【書 名】本の身の上ばなし
 【著 者】出久根達郎
 【発行所】ちくま文庫
 【発行日】2024/09/10
 【ISBN 】978-4-480-43975-8
 【価 格】880円

日経新聞 2019.10.12~2020.10.31 毎土曜日に掲載されたものをまとめたもの

■新田次郎「芙蓉の人」
明治28年(1895)富士山頂で越年して天体観測をした野中夫妻の物語。交代し2時間ごとに観測しました。

■二宮尊徳
米を借りに来たものは怒って押し返しましたが、油を借りに来たものは笑って貸しました。米を借りに来るものは怠け者の証拠で、油を借りに来るものは夜なべに精を出す働き者という評価です。

■瓢たんなまず
本に挟まれた読書カードの送り先が著者本人で、せっせと著者が返信していました。

■藤岡屋日記
1807(文化4)年 深川八幡の祭礼で永代橋が落ちて多数の死傷者が出ました
「世の中に神と仏の二つ けふ(今日)は祭礼、あすは葬礼

■斎藤修一郎
アメリカ留学時に為永春水の忠臣蔵小説を英訳し1880(明治13)年にニューヨークで出版したところ、読んで日本の国民性に感激した23歳の青年が若い時のルーズベルト大統領。日露戦争の講和交渉では日本に有利な条件で交渉してくれました。小村寿太郎がお礼に向かったところ、自分を日本びいきにした本はこれだと紹介。それは同じ時代に留学した小村寿太郎の同級生(斎藤修一郎)の本でした。

→ 本の身の上ばなし

 

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逆転した日本史

 【書 名】逆転した日本史
 【著 者】河合 敦
 【発行所】扶桑社文庫
 【発行日】2024/09/10
 【ISBN 】978-4-594-09858-2
 【価 格】950円

■コロボックル
1万5千年前のフローレス島(インドネシア)に身長が1.1mしかない小型人類が住んでいたことが判明。ジャワ原人を祖先に約70万年前に小型化したと考えられています。

■兼好法師
吉田兼好が吉田家とつながる系図を捏造したために吉田兼好とも呼ばれるようになったという説があります。「兼好法師-徒然草に記されなかった真実」(中公新書)

■警察
1871年、東京で3千人の邏卒を採用しスタート。明治時代は警察が消火活動も担当しており、太平洋戦争後に消防は警察から独立します。

■江戸時代の銭湯
1591年、江戸で伊勢の与一が銭甕橋近くで開業。サウナ式銭湯でした。江戸時代、火事を出した場合は死罪でしたので内風呂を作らなかったことから銭湯が繁盛しました。

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2024/09/17

ビジュアル再現 平安京

 【書 名】ビジュアル再現 平安京
 【著 者】梶川敏夫
 【発行所】吉川弘文館
 【発行日】2024/09/01
 【ISBN 】978-4-642-08457-4
 【価 格】3,000円

■羅城
九条大路の発掘調査によると羅城門から西寺を超えたあたりまで高さは不明ですが羅城が存在した可能性があります。また羅城門から朱雀門が見通せたようです。

■市
毎月15日までは東市、16日以降は西市が開かれました。

■大極殿
平安神宮の大鳥居から拝殿までの距離が440mほどで平安京の大手門から大極殿までの距離と同じになります。

■熊野三所跡(如意寺宝巌院跡ちかく)
東・西端に土塁が築かれ戦国期に城塞化されていました。

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2024/09/13

熊野古道と八咫烏の殺人

 【書 名】熊野古道と八咫烏の殺人
 【著 者】鯨統一郎
 【発行所】創元推理文庫
 【発行日】2024/08/30
 【ISBN 】978-4-488-42231-8
 【価 格】720円

帯に「邪馬台国はどこですか?」の続編のような記載があったのですが、別につながりは何もありませんでした。量子力学とミステリーを絡めた一冊ですが、個人的には新宮の尾崎酒造など、いろいろな地元紹介が楽しめました。

→ 熊野古道と八咫烏の殺人

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2024/09/12

兵站

 【書 名】兵站
 【著 者】福山隆
 【発行所】扶桑社新書
 【発行日】2024/09/01
 【ISBN 】978-4-594-09823-0
 【価 格】1,320円

兵站は戦勝にとって必要条件ではあるが、十分条件ではありません。

■バルバロッサ戦
ヨーロッパに鉄道が広軌でしたがロシアは狭軌だったため鉄道輸送の前に軌間変更作業が必要になりました。

■ハルビンお春
日露戦争前に馬賊を率いていたハルビンお春が潜入していた中村天風を援助します。

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2024/09/08

脱税の日本史

 【書 名】脱税の日本史
 【著 者】大村大次郎
 【発行所】宝島社
 【発行日】2024/07/26
 【ISBN 】978-4-299-05392-3
 【価 格】1500円

■班田収授
6年ごとに造籍(戸籍作成)、校田(農地の広さを測る)、班田(戸籍、農地の広さから田を振り分ける)が全国一律で行われていました。租庸調の租は国衙の正倉に米を収め、高齢者や貧困者への支給以外は貯蓄されていました。その地域の特産物に交換されて都には送られました。

国司は毎年、大計帳、正税帳、調帳、朝集帳の4つの会計報告を中央政府に送り脱税できない仕組みになっていました。4つの報告書は「四度の公文」と呼ばれ、持参する役人を「四度の使い」と呼ばれます。

■平安時代の脱税スキーム
貧しい農民は戸籍をごまかす(高齢者や女性ばかり)、それでも生活が苦しくなると富裕な農民に公田を売ります。買い取った側は荘園にして国司には賄賂を贈り見逃してもらいまう。国司は京都の有力貴族に貢物を送って追及を逃れます。

戸籍が曖昧になると徴兵に影響します。国司に対して兵をまとめるように命じるようになると国司が武力を握ることになります。ここから平氏や源氏が出てきます。

■鎌倉時代
守護・地頭の設置と兵糧米の徴収権を朝廷に認めさせます。徴税権があると会計検査権も手に入ります。

■比叡山
分かっているだけで285の荘園をもっていました。近江の荘園の4割、若狭の3割は延暦寺がもっていました。

■囲米
江戸時代、年貢の一部を籾で備蓄していました。災害支給用でしたが米価の調整にも使っていました。

■地租改正
米で収めた年貢をお金に切り替えます。税率は土地代の3%で収穫米の平均代価の34%程度でした。江戸時代の四公六民より若干低い負担率でした。収穫高による年貢ではなく、あらかじめ決まっていますので生産をあげればあげるほど儲かる仕組みとなりインセンティブになりました。

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マンガ会計の世界史

 【書 名】マンガ会計の世界史
 【著 者】田中靖浩
 【発行所】日経ビジネス人文庫
 【発行日】2024/08/22
 【ISBN 】978-4-296-12105-2
 【価 格】800円

■簿記元年 1494年
数学者ルカ・パチョーリが簿記をまとめた「スンマ」をまとめヨーロッパに拡がります。この年はメディチ銀行が破産した年でもありました。

■コンパーニャ
フィレンツェで誕生したパートナーシップ組織でcom(一緒に)pan(パンを食べる)からcompanyの元祖となります。

■減価償却
鉄道会社は設備投資が必要です。巨額の支出を数期の費用に配分することで儲け(利益)を計上しやすくなり配当を出すことができるようなります。出資を集められることになります。イタリアでは自分のために会計をつけていましたが、イギリスでは他人のために会計をつけるようになります。そのために会計士と監査が登場し、外部から安心して出資できるようになります。

→ マンガ会計の世界史

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すこし広くなった

 【書 名】すこし広くなった
 【著 者】宇田智子
 【発行所】ボーダインク
 【発行日】2024/05/26
 【ISBN 】978-4-89982-465-7
 【価 格】1,800円

「那覇の市場で古本屋」の続編です。第一牧志公設市場前に「市場の古本屋ウララ」をオープンしましたが公設市場が建て替えとなり、工事前から2024年にかけてのエッセイをまとめています。

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青年・渋沢栄一の欧州体験

 【書 名】青年・渋沢栄一の欧州体験
 【著 者】泉三郎
 【発行所】祥伝社新書
 【発行日】2011/02/10
 【ISBN 】978-4-396-11230-1
 【価 格】860円

■ベルギー国王の売り込み
大君の使節として条約締結国をまわりましたがベルギー国王は鉄の重要性を説いて鉄の売り込みをはかってきました。渋沢栄一には大きなショックでした。

■祝砲
ドーバーの港に着いた時に21発の祝砲が響く中、町民の代表が歓迎文を読み上げます。西欧では町の入口で、入ってくる人に敬意を表し、町を自由に視察するための鍵を与える意味があります。

■家庭教師
民部公使(昭武)に対して慶喜がナポレオン3世に家庭教師を依頼したところヴィレット中佐が指名され、日常の世話はフォロリヘラルドが担当します。日本でいうと侍と町民という関係ですが上下の感覚がなく平等なことに渋沢栄一は驚きます。

■経済
フランスの国債と鉄道会社の社債を買うことを勧められ帰国で処分する時に社債で500円ほど儲かることになります。帰国後は欧州での会計報告書を提出し、財務の人材がいないため政府に迎え入れられることになります。

→ 青年・渋沢栄一の欧州体験

 

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