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2023/12/29

地名散歩

 【書 名】地名散歩
 【著 者】今尾恵介
 【発行所】角川新書
 【発行日】2023/12/10
 【ISBN 】978-4-04-082477-2
 【価 格】920円

会報誌「土地家屋調査士」に記載された連載をまとめたものです。

■腹包丁
瀬戸内海から土佐に向かう急な登山道につけられた名前で参勤交代で使われていました。昔の土佐街道で急坂で腰の刀が地面につかえて歩きにくく、やむおえず腹にまわした格好が腹に包丁を刺したように見えたところから名づけられました。

■打出小槌町(芦屋)
打ち出の小づち伝説につながる名前で住居表示で消えそうになった時に反対運動が起き名前が残りました。

■古市(羽曳野市)
竹ノ内街道と東高野街道が交わるところで物々交換市から由来しています。

■歌舞伎町
戦後生まれの名前で戦後の復興で歌舞伎劇場、映画館、ダンスホール、演芸場の建設が計画されましたが、歌舞伎劇場は建てられず未成の地名になっています。

■皆中稲荷神社
伊賀組の鉄砲百人同心の屋敷が置かれたのが百人町になります。皆中稲荷神社は皆あたるかたきています。

■町
字の本来の意味は田んぼのあぜ、境などをあらわす言葉で中国や台湾では鎮になります。向日市上植野町の小字「柳ケ町」には一切、建物がありません。

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2023/12/28

戦国史の中の戦国大名

 【書 名】戦国史の中の戦国大名
 【著 者】鹿毛敏夫
 【発行所】講談社現代新書
 【発行日】2023/10/20
 【ISBN 】978-4-06-533218-4
 【価 格】1100円

江戸幕府の当初、1604年~1635年(日本人の海外渡航の禁止)に分かっているだけで356隻の朱印船が海外には出航しています。家康時代は19ケ国に対して195通の朱印状、秀忠・家光時代は7ケ国に対して161通でした。戦国大名は王と名乗って勝手に外交をしていました。朝鮮出兵でも武器などは自前でそろえる必要があり海外から火薬原料の調達などが行われていました。

■BVNGO(豊後)
海外貿易で有名でヨーロッパでブランドになっていたのが豊後の大友義鎮。天正遣欧使節はヴァリニャーノが主導しながら有馬晴信、大村純忠が派遣したもので主体的に関わっていなかった大友義鎮が派遣した形にしたのはヴァリニャーノの演出でした。

■日明貿易
大内義隆が日本国王の名義で朝貢船を出し勘合貿易を行っていましたが、その後に大内義長と大友義鎮が出した遣明船団は手順にのっとていないと明によって却下されてしまいます。永楽帝が足利義満に「日本国王之印」を送っていましたが、これが大内家に移り、いつのまにか金印が失われ箱だけは残っていました。この金印を偽造した印影では明ではOKになりました。正式ルートがダメだったので密貿易に切替、中国側には倭寇ということになってしまいます。

■硫黄輸出
足利義政時代の遣明船は9船に1,200人が乗り込んでいました。刀剣類1万以外に硫黄39万斤が輸出されました。軽自動車238台分になります。各船は室町幕府から勘合という証票を買い取った天龍寺、伊勢法楽舎、大友氏、島津氏などが経営主体でした。

■坊津、山川、伊倉
1560年頃、薩摩にはキリスト教の司祭やポルトガル商人が出入りしており、阿久根の港が有名でした。ここにいたアフォンス・ヴァスというポルトガル商人が阿久根港で越冬しているところを海賊に襲われて亡くなり、とっぽどんの墓として地元に伝わっています。昭和になってファルカン砲(小型大砲)が見つかり、海賊襲来の際に船から落ちた可能性があります。
九州の港には唐人町も形成され、日本人と一緒に伊勢へ御蔭参りなどをしています。

■稙田玄佐
大友義鎮がインドのゴアに派遣したのが家臣の稙田玄佐でゴアに戻るザビエルに同行しました。帰りは中国に向かうザビエルにマラッカで別れ鹿児島経由で戻っています。翌年、またゴアに行って帰ってきておりゴアと2往復しています。

■アンジロウ
ザビエルを日本へ導いた日本人で勉強によってポルトガル語が堪能でした。キリスト教教理書の翻訳をイエズス会に頼まれ、デウスを「大日」、マリアを「観音」、パライソを「極楽」と訳すことになります。

■田中勝介
フィリピンの元総督がメキシコに向かっていたガレオン船が上総国に漂着。駿府城で家康と面会し三浦按針が船を作ってメキシコにわたることになります。この時に京都の商人だった田中勝介ら20名ほどの日本人が同船していました。帰国して家康に葡萄酒や羅紗を献上していますが太平洋を横断した最初の日本人になります。スペインとの通商が目的でした。

→ 戦国史の中の戦国大名

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本屋、ひらく

 【書 名】本屋、ひらく
 【著 者】本の雑誌編集部
 【発行所】本の雑誌社
 【発行日】2023/05/27
 【ISBN 】978-4-86011-477-0
 【価 格】1700円

新しく開店した本屋22店舗の主人が語る本屋への想いが掲載されています。最近は独立書店(展示やトークなどのイベント開催、カフェスペースなどを併設した書店)

■取次会社
大手取次ー日本出版販売株式会社、株式会社トーハン、楽天ブックスネットワーク 本屋の粗利は定価の約2割
株式会社子どもの文化普及協会、株式会社トランスビュー、株式会社八木書店、弘正堂図書販売株式会社、株式会社鍬谷書店、株式会社JRCなどは買い切り制だが粗利は3割

■平均年間書籍購入費
1世帯当たり1万円 3万人が住んでいれば3億円の計算になります

■80坪以下の書店
雑誌が8回転、コミックが4回転、書籍が1回転(がんばっても2回転) 全体平均でも2回転
5000冊500万円で開店すると年間売上が1000万円で月商83万円、日商が27,600円。大手取次から仕入れると月商83万円の約2割166,000円が粗利となる。
客単価を1,500円とすると月商83万円だと月553人で日に18人ほどになる。

■ブックカルテ
北海道のいわた書店が始めた1万円選書が「ブックカルテ」というウェブサービスとなり、選書サービスを利用したい人と、したい本屋のマッチングをしている。

→ 本屋、ひらく

 

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2023/12/24

南北戦争を戦った日本人

 【書 名】南北戦争を戦った日本人
 【著 者】菅美弥、北村信三
 【発行所】筑摩書房
 【発行日】2023/09/15
 【ISBN 】978-4-480-01781-9
 【価 格】1700円

1876年12月30日、アレクサンドリアの地元紙に「ある日本人の死」という記事が掲載され、南北戦争に従軍していた模様です。少なくとも2名の従軍者がいたようです。吉田松陰がアメリカに密航しようとして捕まった事件が有名ですが、実際に密航したケースや遭難で海外にわたっているケースがありました。また咸臨丸からも3名が行方不明になっています。水夫クラスで西欧の進んだ姿をみたのが原因かもしれません。

また咸臨丸で病気となり療養で残ったものや看護人で残った者もいますが、ほとんどは日本へ向かう便で帰国しています。なかには亡命者もいて使節団でアメリカにわたった塚原は、帰国しますが鳥羽伏見の戦いで幕府が敗れたためアメリアに亡命。後にジョセフ・ヒコとハワイで会ってともに明治の日本へ戻りました。

■軍人恩給
2020年、南北戦争最後の恩給受給者が亡くなったことがニュースになっています。

→ 南北戦争を戦った日本人

 

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2023/12/20

校閲至極

 【書 名】校閲至極
 【著 者】毎日新聞校閲センター
 【発行所】毎日新聞出版
 【発行日】2023/08/10
 【ISBN 】978-4-620-32787-7
 【価 格】1600円


■檄を飛ばす
檄-木札に書かれた徴召や説諭の文書
檄を飛ばす-自分の考えや主張を広く人々に知らせて同意を求めること
「監督がメンバーに檄を飛ばした」-激励は誤記


■喝を入れる
国民的誤用ー大声で叱ったり脅したりすること


■サボる、ダブる
サボタージュ、ダブルから生まれた言葉なのでカタカナが基本


■ポチる
ヤッターマンでボヤッキーが「ポチッとな」とボタンを押すところから生まれた説が強い


■地名
目黒駅ー品川区、南新宿駅-渋谷区、四条畷駅-大東市など間違いやすい


■新入社員に花向けの言葉をおくったは誤用
馬の鼻向けー旅立つ人の馬の鼻を行くべき方へ向けて見送った習慣ー別れる人に激励の気持ちをこめて贈る言葉や金品


■障害者
動かない足や見えない目ではく車いすなどでは移動できない建物は見えない目では危険なホームが障害で身の回りに障害が多い人が障害者


■おっとり刀で駆けつける
× ゆったりおうように構えていざという時に強い用心棒イメージ
〇 腰に刀をさす間もなく大急ぎで駆けつける

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人物から読む 幕末史の最前線

 【書 名】人物から読む 幕末史の最前線
 【著 者】町田明広
 【発行所】インターナショナル新書
 【発行日】2023/12/12
 【ISBN 】978-4-7976-8132-1
 【価 格】920円


JBpress連載「渋沢栄一と時代を生きた人々」、「幕末維新人物伝2020」を改稿してまとめた一冊です。


■井伊直弼
日米通商条約を結んだのは岩瀬忠震と井上清直で、井伊直弼はあくまでも勅許獲得するまで延期でした。ただし窮した場合は調印してもよいと言ったため現場で実行してしまいました。ただしイギリス、フランスがアメリカと結んだ通商条約以上を求めないようハリスが斡旋するという誓約書付きでした。中国でアロー戦争が起き天津条約がイギリス、フランス連合軍と結ばれた背景がありました。


■平岡円四郎
大河ドラマ「青天を衝け」で注目を浴びた平岡円四郎が慶喜の近侍となったのは32歳の時。慶喜は16歳でした。粗暴で空気が読めない平岡に対して慶喜が礼儀作法を教えるという珍事がはじまります。平岡も平然と主君から手ほどきをうけていました。箸や椀の持ち方、食べ方なども指導します。


■京都守護職
松平容保が有名ですが最初は島津久光に京都守護職就任の話がいっていました。ところが生麦事件の勃発で鹿児島がいつ英国艦隊の来襲があるか分からない状況で辞退します。


■坂本龍馬
薩摩藩は薩英戦争で軍艦を失い、幕府からの借用船が豊前田ノ浦で長州藩から砲撃され、逃走中の火災で士官や機関員などが亡くなってしまい海軍力が壊滅的な状況に。そこで坂本龍馬をはじめとした海援隊を薩摩藩士として雇うことになります。ただし龍馬は長州との人脈があるため薩長同盟に携わることになります。

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2023/12/16

日本史の謎は地形で解ける 日本人の起源篇

 【書 名】日本史の謎は地形で解ける 日本人の起源篇
 【著 者】竹村公太郎
 【発行所】PHP文庫
 【発行日】2023/12/15
 【ISBN 】978-4-569-90370-5
 【価 格】840円


■日本語の特徴
発生音数  120個前後 英語は2000語ほど、中国語は数えきれない
語彙数 30,000語に対して英語は5,000語程度


イギリスーイングランド語、スコットランド語、ウェ-ルズ語、アイルランド語がひしめきあっているが日本は同じ文字、同じ言葉を話していました。


■直立二足歩行
四足歩行は安定しているために流産の危険が少ない 可能な限り胎内で大きくなり生まれた瞬間から立てるようになります。
外敵から逃げるたびに胎児が重力によって大地に落ちる流産の危機があるため産道を狭くして流産の危険を避けるように進化
水中での出産では重力が小さくなり、生まれた赤ちゃんは水中で動くことができます
→ アフリカの大地溝帯で人類が誕生 大きな湖がたくさんあり外敵が少なかった。水域での生活から直立する姿勢をとるようになります。
  また皮下脂肪をつけて体毛をなくすようになります。


■ピラミッド
ナイル川の巨大デルタを作るために、西岸の砂漠からの流入をとめるための「からみ」。ピラミッド周辺に上流からの盛り土がたまり堤防ができあがることになります。三大ピラミッドは台地の上に作られた灯台になります。

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古書の来歴

 【書 名】古書の来歴
 【著 者】ジェラルディン・ブルックス
 【発行所】創元推理文庫
 【発行日】2023/11/10
 【ISBN 】978-4-488-21607-8
 【価 格】1500円


ハガターとはユダヤ教の信者が「過越しの祭り」で読む祈りや詩編をヘブライ語で記したもの。1894年にサラエボ・ハガターが出現し、中世の彩色画が描かれたヘブライ語の最古の本のひとつです。14世紀なかばのコンビベンシア(ユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラム教徒が比較的平和に共生していた時代)の頃にスペインで作られ、1609年にベネチアに渡ったことは判明しています。いろいろな戦火を乗り越えて本が伝わったことは確実ですが、どんな出来事だったのかは分かりません。そこを小説にした作品です。

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2023/12/09

出久根達郎の古本屋小説集

 【書 名】出久根達郎の古本屋小説集
 【著 者】出久根達郎
 【発行所】ちくま文庫
 【発行日】2023/11/10
 【ISBN 】978-4-480-43916-1
 【価 格】1000円


古本屋店主で作家となった出久根達郎の小説23編が収録されています。集団就職で文雅堂に勤め、独立開業して芳雅堂をオープン。ところが店売りが減ったため、古書目録「書宴」の通信販売をはじめ余白に店番日記を載せたところ、編集者の目にとまって「古本綺譚」が出版されます。ただし無名の人間の小説は売れないので編集者からは古本屋の親父の身辺雑記と言いふらしてくださいと頼まれたそうです。


■本屋の立ち読み
少年が立ち読みしてもとがめない店主。客がひとりもいない店は入りづらいのと、子供は将来の客になる。また古本屋の店番は本を読んでいることが必須で鰻屋が渋団扇であおぐのと同じである。


■セドリ
書棚に並んだ本の背を見て買取するのはこじつけで、同業者の中間にたって売買の取次をすることである。

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2023/12/02

謎とき 世界の宗教・神話

 【書 名】謎とき 世界の宗教・神話
 【著 者】古市憲寿
 【発行所】講談社現代新書
 【発行日】2023/11/20
 【ISBN 】978-4-06-534092-9
 【価 格】1000円


■二重予定説
キリスト教の最後の審判で復活する人は本人の努力が影響する考えと生まれる前から決まっているという考え方がある。後者が二重予定説でキリスト教では少数派ですが、トランプ元大統領など社会的な影響力が大きい人が多い。最初から決まっているので何もしなくてもよいっと考えず、仕事でも人生でも成功しておかないとという強迫観念があります。


■四十九日
仏教の四十九日は霊魂が継ぎの体に入って生まれ変わるまでの期間


■敬遠
論語「鬼神を敬して之に遠ざく」が語源 人間が知ることができない鬼神のような存在には敬って遠ざけろ


■唯識
如来蔵思想-あなたにも悟りの可能性がある-修行無用論になる
唯識思想-悟るまで何度も生まれ変わって修行を続ける
玄奘三蔵が膨大な経典を持ち帰ってが一番読まれているのは一番短い般若心経


■本国に残っていないもの
ピアノ教本のバイエル-ドイツでは使われていない模様
デミグラス・ソースも残っているのは日本だけの模様

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関ケ原合戦を復元する

 【書 名】関ケ原合戦を復元する
 【著 者】水野伍貴
 【発行所】星海社新書
 【発行日】2023/09/19
 【ISBN 】978-4-06-533267-2
 【価 格】1250円


■家康の出陣
岐阜城をわざか1日で落としてしまったため、あわてて家康は出発。三島で家康は馬印を熱田まで持っていって、到着を待てと指示。三島から熱田までは強行軍になった模様


■井伊直政
島津の敵中突破を阻止する時に井伊直政が狙撃されたという通説ですが、、松平忠吉と井伊直政は宇喜田秀家と戦って破った後に島津勢に向かったところで撃たれた模様で、井伊隊が崩れたことで敵中突破をはかったようです。また一番槍が石田三成、二番槍が島津豊久、三番槍が宇喜田秀家、その次が島津維新で島津豊久は別部隊として石田三成の近くに布陣していたようです。


■大谷吉継
史跡になっている陣跡から藤古川を超えて大関に出ます。不破の関跡が健在で防御に仕え、石田三成らと連携するためです。藤堂高虎と戦います。

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