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2023/10/29

武士の起源を解きあかす

 【書 名】武士の起源を解きあかす
 【著 者】桃崎有一郎
 【発行所】ちくま新書
 【発行日】2018/11/10
 【ISBN 】978-4-480-07178-1
 【価 格】980円


■賀茂祭の騎射
飛鳥時代 698年-賀茂祭の人々が群衆して騎射するのを朝廷が禁止
     702年-山背国の住人に限って許可


■身分制度
貴ー公卿とよばれる三位以上
通貴(つうき)ー四位、五位
士ー六位以下


桓武帝の時代に徴兵制がなくなり弓騎を募集するようになる


御家人ー世襲可能な所領があり維持できる
官僚-蔭位の制があるが一位の嫡子でもスタートは従五位下からスタートで、簡単に没落する社会→世襲可能な所領を手に入れる→武士団へ


■臣籍降下(財政再建)
桓武帝の子供は32人もいて歳費削減のために平氏、源氏へ臣籍降下させ、嵯峨天皇以降は皇子の一定数を臣籍降下させるようになります


■都の名前を氏名に
近江大津宮ー淡海氏
飛鳥浄御原宮-清原氏
長岡京ー長岡氏
平安京-平


■東(あずま)
東国を「あずま」と呼ぶのは都から見て「あちら側の端(つま)」から反対に西の果ては「そちら側の端」で薩摩。


■藤原秀郷
将門の乱など以前は朝廷や国衙に敵対する無法者というのが実態。秀郷の曽祖父が蝦夷と交流することで武芸を教えてもらうようになった。藤原氏には中臣鎌足が中大兄皇子を助け、蘇我入鹿を殺した武力が原点という意識があった。


■河内国高安郡
八戸史姓→常澄宿禰姓→高安宿禰
大化の改新を機に高安郡に土着した帰化人の豪族だったようで高安を本貫にして安芸や常陸の下級国司となる。


■滝口の武士
清涼殿の北東に小さな滝になるような段差があり、そこの清涼殿への出入り口があったので滝口と呼ばれた。滝口の武士は官職ではなく群盗から天皇を守る親衛隊で「物部氏永の乱」がきっかけ。

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2023/10/27

日本三大幕府を解剖する

 【書 名】日本三大幕府を解剖する
 【著 者】河合敦
 【発行所】朝日新書
 【発行日】2023/10/30
 【ISBN 】978-4-02-295236-3
 【価 格】910円


■下地中分
荘園領主と地頭との紛争で解決しない場合は荘園を思い切って折半し、そのかわりに荘園領主の荘園には地頭は一切手を出さない約束にした。これで地頭の立場が荘園領主と同じとなり地頭の土地は武家地となり荘園領主の土地は本所一円地と呼ばれるようになる。


■鎌倉
北条氏や幕府官僚など住んでいたのは一部だけで多くの御家人は常駐せず、屋敷には給人(代官)をおいていました。また屋敷地の一部は民衆に貸し出していました。京都の貴族や僧侶もかなり多く住んでいました。


■御成敗式目
女性の相続権を認めている。順次、項目が追加され、これが式目追加と呼ばれました。


■南北朝の戦い
鎌倉時代後期になると武士の分割相続は認められず嫡子がすべてを相続することになります。朝廷が南北の2つに分かれているので惣領争いで長男が北朝につけば次男が南朝を味方につけることになり、南北朝の戦いが長引くことになります。


■足利義尚の近江遠征
母親の日野富子が近江に領地をもっており舟木関をもうけ毎月60貫文の収入があったが、六角氏が横領するようになり近江遠征に踏み切っったという説もあります。


■大奥
江戸城には本丸、西の丸、二の丸それぞれに大奥があり、西の丸には将軍の後継ぎとその妻子、大御所と妻子が住んでいました。二の丸は将軍の生母、前将軍の正妻や側室などが生活していました。


■年貢
村全体にかける村請制で四公六民から五公五民だったが他にも小物成、高掛物という雑税や夫役(労働税)もあった。


■飛脚
幕府専用の継飛脚は通常2人で書状や荷物を運んだ。無刻(超特急便)は江戸ー京都の間を60時間ほどで走り抜けました。

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2023/10/21

九鬼嘉隆と九鬼水軍

 【書 名】九鬼嘉隆と九鬼水軍

 【著 者】豊田祥三
 【発行所】戎光祥出版
 【発行日】2023/09/10
 【ISBN 】978-4-86403-481-4
 【価 格】2500円

■勢州軍記
戦国時代の伊勢国について記した軍記。関氏の支流である神戸氏の後裔である神戸良政による著作と言われ寛永15(1638)年以前の成立。

■九鬼氏
嶋衆のなかで波切を本拠地にしていた久喜景隆という人物がいる。もともとは紀伊国牟婁郡九鬼浦から波切に移り住んだ模様。鳥羽を支配していたのが橘氏で九鬼守隆(次男)の正室に迎えることで鳥羽に進出します。

■加茂
九鬼泰隆(嘉隆の祖父)の時に鳥羽から加茂川を3kmほどさかのぼったところで田城(現在は九鬼岩倉神社)を築いて本拠地にする。嘉隆は嶋衆との戦いに敗れ安濃津に潜伏した後、尾張にわたり滝川一益を介して信長に仕えます。天正6年(1578)の第二次木津口川の戦いの後ぐらいに嶋衆を配下におさめ志摩を納めることになります。

■小牧長久手の戦い
九鬼嘉隆は滝川勝利が守る松ヶ島城を攻撃し、海上を封鎖して織田信雄方の脱出経路を封鎖。また三河国の和地や吉胡を襲撃しています。

■向島城の手伝い普請
九鬼嘉隆と守隆が担当していたようで慶長の大地震の頃になります。

■船津の戦い
関ケ原の戦いでは九鬼嘉隆と守隆は両軍に分かれて戦い、船津でも戦いがありました。江戸時代になりお家騒動となり、それぞれが綾部と三田に国替えになります。

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2023/10/14

古代日本の宮都を歩く

 【書 名】古代日本の宮都を歩く
 【著 者】村井康彦
 【発行所】ちくま新書
 【発行日】2023/10/10
 【ISBN 】978-4-480-07564-2
 【価 格】1200円


■田身嶺(たむのみね)
多武峰ではなく酒船石がおかれた嶺ではないかという説があります。両槻宮もこちらにありました。


■難波長柄豊碕宮
孝徳天皇が遷都した難波宮ですが上町台地ではなく梅田の北にある豊崎神社があるあたりではないかという説があります。


■御薪(みかまき)の宴
初位以上の官人が薪を持ち寄って催した酒宴で壬申の乱の後、飛鳥浄御原宮で初めて行われました。


■出身(みやこつかえ)の法
天武2年(673)畿内豪族を対象に実施。豪族の子弟を大舎人に任じて出身(出仕)させ、その中から才覚のある者を選抜して当職(かなわむつかさ)【才能に応じた役所】に配属します。豪族が官人として出仕する道が開けます。


■羅城
ラジョウは呉音で古くはラセイと漢音で呼んでいました。また羅城門があったのは平城京と平安京の2つだけです。


■交野
桓武天皇がしばしば訪れた場所で母にゆかりがある百済王氏の本拠地でした。革命思想を重視しており即位した天応元年(781)は物事があらたまる辛酉(しんゆう)の年だったのがきっかけになった模様。長岡遷都が甲子の年、平安遷都は辛酉の日を選んでいます。


■桓武天皇の遷都
廃止 造営省、勅旨省、造法華寺司、鋳銭司
ただし鋳銭司は8年後に再設置


■伊勢斎王の禊
葛野川から賀茂川に変更されたのは賀茂斎王の制が始まったことが影響した模様。薬子の変に対して嵯峨天皇が賀茂社に事件の終息を願い、賀茂社に奉仕する斎王を決めたのが最初。これ以降、賀茂斎王、伊勢斎王とも賀茂川で禊をすることになりました。


■女御と更衣
女御から皇后にすすむ道があったが更衣の息子には天皇になるチャンスはありませんでした。光源氏の母親は桐壺更衣だったので光源氏は帝になるチャンスはありませんでした。


■鴨川唐橋
九条坊門通りの唐橋は守る人を2人手配するほど重要視されています。橋を渡った道を南下すると平城旧京へ行け、当時は大和大路の起点だった模様。


■和気広世
和気清麻呂の息子。唐から帰った空海を高雄山寺で世話していたようです。嵯峨天皇から東寺をまかされるまで高雄山寺にいました。


■遣唐使
菅原道真が廃止したことになっていますが実際は唐が混乱しているので長安までたどりつくのが困難と判断して今回の派遣を中止しただけで、遣唐使自体の廃止はしていません。実際、10年後に唐は滅びます。その代わりに唐商船がきており、遣唐使も唐商船で帰ってきたりしています。竹取物語でも火鼠の皮衣を求められ唐商船での交易が前提とした物語になっています。

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2023/10/07

日本の歪み

 【書 名】日本の歪み
 【著 者】養老孟子、茂木健一郎、東浩紀
 【発行所】講談社現代新書
 【発行日】2023/09/20
 【ISBN 】978-4-06-531405-0
 【価 格】1000円


■国は儚い
敗戦を経験した世代の感覚は国というのは儚いものだという意識。戦後の左翼運動は真逆で国家権力は盤石なものだという前提がある。満州引揚者にとっては国というのは儚いから微力ながら支えてやろうという発想になる。意気軒高なナショナリズムではなく、支えないとすぐボロボロになって壊れちゃうという感覚がある。


■八月十六日
終戦の翌日、空に日本の飛行機がガソリンを節約しなくてもよくなったので、たくさん飛んでいました。


■ルール
どんな物事でもルールを決めると途端にゲームとして捉え、ゲーム自体の点数稼ぎに邁進しはじめる。人間はクリエイティブなのでルールが作られると必ずその穴を突こうとします。
人間はあらゆるものをゲーム化するけれど、他方でルールは必ず変わるし破られるので、それを絶対化すると長期的には負ける


■分類
分類学者が集まって酒を飲むと必ずケンカになるー分類は人間が典型的にケンカする話題の一つ


■人口密度
島根県、鳥取県の可住地面積あたりの人口密度はヨーロッパと同じぐらいで、日本の過疎地域は世界基準では標準になる。

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