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2022/10/31

近江戦国の道

 【書 名】近江戦国の道
 【著 者】淡海文化を育てる会
 【発行所】サンライズ出版
 【発行日】2006/4/1
 【ISBN 】978-4-88325-286-2
 【価 格】1500円


■坂本城
江戸時代以来、坂本城の伝承はあったが昭和54年から宅地造成に伴う発掘調査で焼土層を含む建物遺構が出て確認されました。


■堅田
環濠に囲まれた自治都市でしたが信長と浅井・朝倉が対立したため、二派に分裂。堅田には信長の出城がありましたが囲まれたため湖上から援軍を入れましたが、城は落ちました。援軍の大将である坂井政尚以下、全滅しました。


■一向一揆との戦い
1571年、松永久秀が謀反を起こします。松永久秀が三好義継と組んで、近江の中山道を封鎖したため、開通すべく「緒川城・志村城・金森城攻め」を行います。佐和山城を落城させた後、志村城、小川城、金森城に攻め込みます。


佐和山城を守っていたのが浅井長政方の磯野員昌で、東の百々屋敷に丹羽長秀、北の山(磯山か物生山)に市橋長利、南の山(平田山か里根山)に水野信元、彦根山に川尻秀隆を封じていますが、佐和山城は琵琶湖の内海に接触しており北の山との間にも琵琶湖の水で遮断されていました。


■佐々木氏
蒲生ー佐々貴氏(佐々城山君の子孫)がいて沙沙貴神社を氏神として栄えていました。同じ蒲生の佐々木荘を拠点にしたのが佐々木経方。この2つの氏族が同化して近江源氏・佐々木氏が誕生。頼朝を支えたため近江守護となります。惣領となった佐々木泰綱が邸宅を六角東洞院にかまえたので佐々木六角氏といわれます。


六角氏の居城は観音寺城ですが、その前に家中を巻き込む観音寺騒動があり、六角氏の主従に亀裂が入っていたところへ信長の上洛となり、観音寺城は落城することになります。


■国友
大坂冬の陣では50人の国友衆が百姓姿に返送して徳川の陣所に入り、備前島に大砲を備えて城に昼夜、打ち込みました。国友は江戸に会所(駐在員事務所)をもち江戸における情報収集をしていました。

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2022/10/30

律令国家前夜

 【書 名】律令国家前夜
 【著 者】前園実知雄
 【発行所】新泉社
 【発行日】2022/6/10
 【ISBN 】978-4-7877-2203-4
 【価 格】2700円


■壬申の乱
日本書紀に天武側は近江軍と識別するために赤い布をつけていたと出てきますが漢を建国した劉邦をまねたもの。軍旗に赤色を用いろと漢書に書いてあります。クーデターで漢帝国を建国した劉邦が脳裏にあったようです。「周礼」に基づいて藤原京を建設し、亡くなってからは持統天皇がその思いを引き継ぎます。


■額田寺
平群郡にある熊凝精舎(くまごりしょうじゃ)は聖徳太子が釈迦の祇園精舎にならって創建した仏教修行の道場でこれを移したのが百済大寺。額田寺(後身が額安寺)が今の大安寺(百済大寺の後身)の本寺。推古天皇は額田部皇女と名乗っていたので額田部氏とつながりがありました。


■法隆寺の伽藍配置
金堂と塔が並ぶ伽藍配置の祖は百済大寺(吉備池廃寺)。法隆寺では平安時代(925年)に講堂が焼け、再建時に北へずらして他の堂塔との間隔を開けます。そのため回廊が鐘楼を取り込む形で途中から北に曲がります。

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2022/10/28

司馬遼太郎の時代

 【書 名】司馬遼太郎の時代
 【著 者】福間良明
 【発行所】中公新書
 【発行日】2022/10/25
 【ISBN 】978-4-12-102720-7
 【価 格】900円


■日本軍という組織
個々の軍人は日本が勝てないとは思っていたが同僚に話をした時点で官僚としては自滅してしまうため、国家よりも自分の保身の方が大切になる。集団がいっせいに傾斜をはじめると、ひとり醒めた言動をするのがいかに勇気のいることか


■敗者には必ず事情がある
勝つという目的とは無縁な事情が出てしまう。大坂の陣で秀頼が旗頭にならなかったのが敗戦になった時に責任がおよばないような配慮が働いた。


■若者の意識の変化
つらくても転職せず一生ひとつの職場で働き続けるべき 10.3%(2003年)→4.4%(2018年)
※アメリカは逆で2.5%(2003年)→15.6%(2018年)と増加

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定価のない本

 【書 名】定価のない本
 【著 者】門井慶喜
 【発行所】創元推理文庫
 【発行日】2022/10/21
 【ISBN 】978-4-488-43313-0
 【価 格】780円


古書籍に関するミステリーで、主人公は古書肆・弘文荘を開業した反町茂雄を彷彿させる人物。店舗を持たず古書籍を待賈古書目という目録で通信販売しました。一誠堂などがモデルとしても登場します。徳富蘇峰なども登場します。

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2022/10/24

関ケ原 島津退き口

 【書 名】関ケ原 島津退き口
 【著 者】桐野作人
 【発行所】ワニブックスPLUS新書
 【発行日】2022/10/25
 【ISBN 】978-4-8470-6681-8
 【価 格】900円


■島津義弘
兄が義久で可愛がっている娘が亀寿。島津の後継者である忠恒(義弘の息子)の奥さんです。人質として大坂城にいました。伏見で関ケ原の合戦の発端となったため軍勢がいない島津勢が東軍につけば亀寿が危なくなるため西軍につかざるをえませんでした。亀寿を連れて義弘も生きて帰ることが大命題でした。義弘が死んでしまうと忠恒は後ろだてを失うからです。


ただ家康にはいろいろと便宜をはかってもらったこともあり、関ケ原の合戦前は意外と深い関係がありました。


■最初は大垣城
島津の退き口ですが伊勢街道を目指したのではなく、最初は大垣城を目指します。ところが南宮山あたりで大垣城が燃えているのを見つけ、伊勢街道を目指すことになります。


■小早川秀秋の裏切り
9月14日に行われた評定では小早川に離反の疑いがあると話されていました。小早川を呼んで人質にとるべきという話もありましたが、風邪だと言ってこなかったようです。


■中馬大蔵
関ケ原の合戦から相当の期間がたってから、鹿児島の青年が島津の退き口の話を聞きに行くと、中馬大蔵は「関ケ原と申すは...」と言ったきり涙で後が続きました。


■石田三成
墨俣の渡しを守っていた島津義弘は三成から軍議で呼ばれ呂久の渡しちかくの佐渡へ行きます。岐阜城落城の対応策を軍議しようとしたところに東軍の攻撃があり、三成は義弘に大垣城に退こうと言いましたが、墨俣の渡しに部下を残しているので分かれます。島津一行が大垣城に近づくと、水牛の角立て物の兜をかぶった三成が単騎でやってきます。義弘主従を残して大垣に退いたのをバツが悪いと思ったようです。


■琉球侵攻
関ケ原の合戦後、家康の許可をえて島津は琉球侵攻します。奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の5島を蔵入地にしました。これが鹿児島県の行政区画に受け継がれます。

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2022/10/18

近江の平城

 【書 名】近江の平城
 【著 者】高田 徹
 【発行所】サンライズ出版
 【発行日】2021/8/30
 【ISBN 】978-4-88325-735-5
 【価 格】2100円


近畿の平城が40紹介されています。ただ遺構がなくなってしまった月ケ瀬城(長浜)、高野瀬城(豊郷町)などより、もう少し遺構が残っていて楽しめる平城を紹介してくれた方がありがかった。

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2022/10/15

日本中世の民衆世界

 【書 名】日本中世の民衆世界
 【著 者】三枝暁子
 【発行所】岩波新書
 【発行日】2022/9/21
 【ISBN 】978-4-00-431942-9
 【価 格】880円


■京都の市政権
朝廷の検非違使庁が担当していたが室町幕府が担うことになります。市政権とは住人に対する警察権、民事裁判権、商業課税権などです。北野天満宮は西京の領主として支配しており公家や自社が分割支配していました。


■西京神人
麹業の独占の代わりに北野天満宮に神役とし利益の一部を納め、北野祭りなどの人夫役を負担します。北野天満宮は延暦寺の組織の一部でしたが、同じ延暦寺配下の酒屋や土倉から麹業の独占権の廃止訴えが長年続き、幕府を巻き込んだ騒動になります。最終的には成長の徳政一揆となり、独占権を失うことを恐れた西京神人が北野天満宮に立て籠って戦となり社殿が燃える文安の麹騒動へとなります。西京も焼け野原となりましたが、やがて戻り、現在にまで至っています。


■保
神社が領民を神人として組織し、神人に様々な役を賦課するために設定した領域。西京の場合は一保~七保までありました。一保は安楽寺天満宮として残っています。

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2022/10/12

その働き方、あと何年できますか?

 【書 名】その働き方、あと何年できますか?
 【著 者】小暮太一
 【発行所】講談社α新書
 【発行日】2022/9/20
 【ISBN 】978-4-06-528511-4
 【価 格】880円


■資本論(マルクス)
労働者になる(なってしまう)ための2つの条件
1.身分が自由で誰かの奴隷になっていない
2.生産手段を持たず、就職するしかない


■ケインズ
1930年に経済の発展によって、やがて人間はそれほどやるべき仕事がなくなると指摘
週15時間ほど働けば十分な世の中になる


■武士道(新渡戸稲造)
炎天下で日傘をさしている知り合いと会うと相手は日傘をおろして炎天下に立っている
→ 日傘をさしていない人にあわせる
→ 相手が苦しい立場にいるのなら自分も苦しまなければならない
新渡戸稲造は合理的に考えると非常におかしいと指摘 
こういうのが日本独特の空気になっていきます


■販売
商品を売ることに一生懸命になるより、商品に興味を持ってくる人を探すように考える
メルマガ配信でも友達に興味をもってくれそうな人を聞くでもよいでしょう

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古代史の定説を疑う

 【書 名】古代史の定説を疑う
 【著 者】瀧音能之、水谷千秋
 【発行所】宝島社新書
 【発行日】2022/10/21
 【ISBN 】978-4-299-03459-5
 【価 格】1210円


■アスファルト
縄文人はアスファルトを採取し壺にいれて加熱、精製しました。土偶の接合にも使われていたようで、こうなると故意に土偶を破壊した説が否定されることになります。


■倭国大乱の原因
181年、ニュージーランド北島にあるタウポ火山が大噴火を起こし地球規模の気候変動になりました。中国では空が黄色になります。気候変動は181~184年まで続き、184年には黄巾の乱が発生します。「蒼天すでに死す、黄天まさに立つ」で長らく蒼天を漢王朝、黄天を黄天党と考えらていましたが、実際に空が黄色になっていたようです。


■邪馬台国 畿内説
箸墓古墳が卑弥呼の墓とすると西殿塚古墳が同じ形態なので台与の墓。副系列となる桜井茶臼山古墳やメスリ古墳は王権の軍事面を担う執政官で、神聖王と執政王の祭政分離体制で、この後の執政王がヤマト王権に発展したのではという説がある。崇神天皇は纏向を本拠としており、邪馬台国を引き継いだヤマト政権の初代と見られています。


■蘇我稲目
古代、目の名前を持つ人物は神のお告げがきけるシャーマンの役割があった。


■狂心溝(たぶれごころのみぞ)
斉明天皇が行った運河事業。人民には散々の評価でしたが石材がとれた天理市の豊田山から飛鳥を結ぶ運河で、実際は藤原京造営にも活用された模様です。


■乙巳の変
皇極天皇は飛鳥を石造りの壮麗な都へかえていましたが山背大兄皇子が即位すると斑鳩が都となるため蘇我入鹿に命じて山背大兄皇子を攻めさせました。蘇我入鹿は交換条件として古人大兄皇子を次期天皇にしてもうことを内定します。ところが皇極天皇の弟である軽王子が不満をいだき、中大兄皇子や中臣鎌足を巻き込んでクーデターを起こします。


小山田古墳が蘇我蝦夷、小ぶりの菖蒲池古墳が蘇我入鹿のものですが、乙巳の変の後、小山田古墳は破壊され蝦夷と入鹿をともに菖蒲池古墳に葬ったようで石棺が2つあります。


■墾田永年私財法
律令制を崩す法律ですが、735(天平7)年~737(天平9)年にまで発生したパンデミックが原因です。遣唐使や新羅からの交易で海外から入ってきたようで天然痘と風疹の大流行で藤原4兄弟だけでなく当時の人口の25~35%が亡くなりました。緊急時代に橘諸兄は墾田永年私財法で働き手が減った農村復興を狙いました。


■激務の平安貴族
中下級貴族は一月15日勤務、宿直5日が最低ライン。枕草子に登場する藤原行成は1000(長保2)年3月に1~6日まで勤務し1日休みをとって8日から3日続けて宿直し、この月は26日勤務で、そのうち12日間は宿直でした。

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2022/10/08

ニュース頻出ワード、8つの誤解と落とし穴

 【書 名】ニュース頻出ワード、8つの誤解と落とし穴
 【著 者】多田正幸
 【発行所】日本橋出版
 【発行日】2022/8/29
 【ISBN 】978-4-434-30686-0
 【価 格】1500円


知っているようで、けっこうわかっていない会計の話が分かりやすく説明されています。


■貸倒引当金
「貸倒引当金を積む」とはよく聞きますが、実際に積んでいるわけではなく、将来、これだけの額が飛んでいくかもしれないとメモをしておくようなものです。ですので貸倒に備えて現金を積んでいるわけではなく、けっこうな人が誤解しています。


■公認会計士と税務署
税務署-期末商品棚卸高が少なすぎないか(在庫を小さくして利益を過少にしていないか)
公認会計士ー期末商品棚卸高が高すぎないか(在庫を膨らませて粉飾していないか)


■内部留保金
内部留保金に課税しようとすると課税を減らすために設備投資が増える
ことはなくB/Sの資産の部である現金が減って設備が増えるだけです。内部留保金が減るのは株主に配当するか、赤字になる時です。ですので赤字になるぐらい設備投資するか従業員にボーナスを払うことになり、経営的には失敗しています。


■ゼロ金利政策と量的緩和政策
両方とも日銀が民間銀行から国債等を買うことです


ゼロ金利政策ー民間銀行が国債等のお金を受け取ることでお金の希少性が下がり、お金の借り賃である金利が下がる
量的緩和政策-民間銀行が国債等のお金を受け取ることで保有するお金が増える。一定額を日銀に預けないといけないので日銀に預けているお金の残高が増える


お金とは現物ではなく銀行預金です。銀行預金とは銀行の帳簿に記載された預金者の債権記録にすぎません。

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2022/10/01

徳川家康の生涯と全合戦の謎99

 【書 名】徳川家康の生涯と全合戦の謎99
 【著 者】渡邊大門
 【発行所】イースト新書Q
 【発行日】2022/9/20
 【ISBN 】978-4-7816-8086-6
 【価 格】1000円

■清州同盟
清州城での会見はありませんが清州同盟があったのは事実のようです。

■松下→徳川
近衛前久が調べると松平は新田氏の徳河(得川)郷に住み徳河殿と呼ばれていた。もとは源氏だったが2系統あるうちの惣領家が藤原氏になった先例が見つかる。本当かどうか分かりませんが、これが認められて家康個人のみという条件つきで徳川の名乗りを得られました。

家康は本姓を藤原氏としていましたが源氏にしたのは天正16年(1588)のようです。家康が秀吉に臣従した頃で、足利義昭が征夷大将軍を辞任して出家し秀吉の保護に入ったことから、秀吉は家康を征夷大将軍に任官を考えていた説があります。北条氏、奥羽の標的が控えており秀吉は関東惣無事を家康に担おうと考えていたようです。

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