世界史のミカタ
【書 名】世界史のミカタ
【著 者】井上章一、佐藤賢一
【発行所】祥伝社新書
【発行日】2019/11/10
【ISBN 】978-4-396-11588-3
【価 格】880円
■毛利元就 三本の矢
元ネタは吐谷渾という(五胡十六国時代から唐代、青海地方にあった遊牧民族国家)の説話が7世紀にチベットの吐蕃(とばん)に滅ぼされた時にトルファンにあったマニ教の文献が伝えられてイソップ物語になっており、このイソップ物語が伝わったという説と反対にイソップ物語が吐谷渾に伝わったという説もあります。
■イスカンダル
アレクサンドロスをイスラム教徒はイスカンダルと呼んでいて日本でのイメージは宇宙戦艦ヤマト。イスカンダルを感じにすると韋駄天になります。
■ドル
ドルのマークが「D」ではなく「S」になっているのは東ローマ帝国(ビザンツ帝国)の通貨ソリドュス通貨にあやかっている。アメリカの学生はローマ法を学ぶが日本の学生は御成敗式目を学ばない。ただしローマ法は東ローマ帝国時代に編纂されたものです。
■アメンホテプ四世
アトンのみを信仰する一神教を推し進めますが、神官団と対立して殺され、後を継いだのがツタンカーメン。ここから100年以内に起きたのがユダヤ人の出エジプトです。この時にアメンホテプ四世の一神教が伝えられて、本来は多神教だったユダヤ教が一神教になったのではと考えられています。一神教になっても他の宗教には寛容で7~10世紀のハザール王国の裁判記録には裁判官がユダヤ教2人、イスラム教2人、キリスト教2人、土俗的宗教1人という構成になっていました。十字軍と戦いながら、この構成になっていました。
■煉獄
キリスト教には天国と地獄しかありませんでしたが中世になると煉獄が生まれます。地獄ほどひどくなく教会に寄進すると煉獄で止まる仕組みです。キリストが磔でうなだれているのは森の生贄の儀式を彷彿させ、ゲルマン人たちの宗教とキリスト教を融合させて世界宗教になっていったようです。
■美人画
阿修羅像など3次元なら美しさを表現できるが2次元は難しかったようで、平安時代の美人画になります。ヨーロッパは2次元で書く能力が高かったようです。
■ワクフ
イスラムの仕組み。富裕層が支配層から難癖をつけられないように全財産を社会に寄附でき、これがワクフ。例えば巡礼者向けの宿屋を経営して自分の収入にできました。寄附はするけど一定の収入を得るという仕組みです。
■モンゴル帝国の公用語
ペルシア語が使われました。長崎の通詞のなかにはインドのムガール帝国施設のためにモール通詞がいました。モールとはモンゴルのことでムガール帝国はペルシア語を使っていました。
モンゴルはヨーロッパに攻め込みましたので悪役といえばモンゴル人になります。ドイツでは第二次世界大戦を一緒に戦ったので日本人レスラーは善玉扱いになります。ただしモンゴル人ギミックでモンゴル人のふりをして悪役となります。キラー・カーン(小澤正志)はメキシコでテムジン・モンゴルと名乗っていました。
■遣唐使
男前で漢文の素養がある人物を送り込んでいたようで、背が高くノーブルな中国人のあだ名は「日本使節」という漢詩が残っているそうです。海外では外交使節に求められる第一条件はエレガンスだそうです。パーティで原稿を取り出して棒読みしているようなことをしてはマイナスになります。
■日露戦争
金が出た南アフリカの支配をめぐってイギリスはオランダ系白人とボーア戦争で戦っていました。この時にインド兵まで繰り出したのでインドが手薄になります。ロシアが侵攻する怖れがでてきたので日本を傭兵化してロシアを東西から挟む日英同盟を結んでロシアにインドを狙わせないようにします。これが日露戦争への伏線へとなっていきます。
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