流浪の戦国貴族 近衛前久
【書 名】流浪の戦国貴族 近衛前久
【著 者】谷口研語
【発行所】中公新書
【発行日】2020/03/30
【ISBN 】978-4-12-101213-5
【価 格】880円
信長、秀吉、家康時代を生き抜いてきた公家です。公家というと都の御所にずっといるイメージですが、近衛前久は実に行動的で上杉謙信と盟約を結んで越後や関東に足をのばしています。川中島の戦いで上杉謙信と武田信玄の一騎打ちが行われた説がありますが、近衛前久が謙信に送った手紙に「自身太刀打ちにおよばるる」が拡大解釈されて、生まれた説です。
近衛前久は足利義昭とは反目していたようで足利義昭が信長に敗れて三好長慶の跡を継いだ三好義継の若江城に入った頃には丹波へ移っています。やがて京都へ戻り、信長との関係は良好になります。鷹狩りや馬の扱いなど共通する趣味もありました。本願寺との和平交渉も担当していました。近衛といえば摂関家の筆頭でしたが、公家の階級を取り組んだのが秀吉です。無理やり関白となり豊臣家を創設します。これを元に戻したのが家康でした。
天正6年に普賢寺に1500石が与えられ別邸を建てています。島津にも荘園があったため島津義久、義弘のもとも訪ね関係を築いていました。関ケ原の合戦で島津の退き口が行われた時に逃げ遅れた薩摩の家臣を庇護しています。
京都の屋敷は二条御殿の隣に建てられましたが本能寺の変の時、織田信忠が籠る二条御殿に向かって近衛邸の上から鉄砲や矢が撃ち込まれたために、当時の本能寺の変黒幕説で真っ先に疑われたのが近衛前久です。実態は明智の兵が占拠したものでしょう。
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