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2020/04/29

論語と算盤

 【書 名】論語と算盤
 【著 者】渋沢栄一
 【発行所】ちくま新書
 【発行日】2010/02/10
 【ISBN 】978-4-480-06535-3
 【価 格】820円

■算盤と論語
渋沢栄一が70歳になった時に友人が作ってくれた画帳に論語、算盤、シルクハット、刀の鞘が書かれた絵があり、それを見た学者が「私は論語を読むほうで、お前は算盤を探求している方だ、その算盤を持つ人が論語のような本を語る以上は、自分もまた論語だけで済ませず、算盤も大いにきわめなければならない」と語ります。論語と算盤というかけ離れたものを一致させることが大切です。

■調子にのらないこと
名声とは常に困難できづまった日々の苦闘のなかから生まれてくる。失敗とは得意となっている時期にその原因が生まれる。

高い道徳を持った人間は、自分が立ちたいと思ったら、まず他人を立たせてやり、自分が手に入れたいと思ったら、まず人に得をさせてやる(論語)

木は物差しをあてられて人に役立つものとなる。物差しをあてるのは大工だ。人が人であるのは腹の中にある知識がつまっているからだ。こうした知識を努力して学べば腹は満たされるが、努力しなければ腹のなかはからっぽだ。

■自ら箸をとれ
人材登用のお膳立てをしても、食べるかどうかは箸をとる人の気持ちしだい。木下藤吉郎も卑しい身分から身を起こし関白という大きなご馳走を食べた。何かひとつ仕事をしたやろうとする者は、自分で箸を取らなければならない。

■西郷隆盛
渋沢栄一が大蔵省に勤務し財政改革に取り組んでいた時に相馬藩に頼まれた西郷隆盛が訪ねてきます。財政改革においても興国安民法(二宮尊徳が遺した)の廃止をやめさせるためでしたが、西郷隆盛に内容を知っているかと聞いたら知らないという返事。そこで内容を説明し藩だけでなく日本全体で興国安民法を考えるべきだと言ったところ、何も言わずに帰りました。参議の身分でペイペイの役人宅を訪ね、知らないことは素直に知らないという、やはり豪傑でした。

■第一国立銀行
銀行は大きな川のようなものだが、蔵の中に隠れているお金や日雇い人夫の懐にひそんでいると、人の役にたち国を富ませる動きにならない。

東京市養育院を設立するなど人格者だった渋沢栄一ですが、女に関してはだらしなく、お妾も多く子供は30人以上もいたようです。渋沢自身も婦人関係以外は一生を顧みて天地に恥じないと自覚していました。

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