行動経済学の使い方
【書 名】行動経済学の使い方
【著 者】大竹文雄
【発行所】岩波新書
【発行日】2019/09/20
【ISBN 】978-4-00-431795-1
【価 格】820円
ナッジとは「軽く肘をつく」という意味で行動経済学では「選択を禁じることも、経済的なインセンティブを大きく変えることもなく、人々の行動を予測可能な形で変える選択アーキテクチャーのあらゆる要素を意味する」と定義されています。
■ウォーム・グロー(暖かな光)
他人の満足度が上がると自分も幸福となるういう利他性。純粋な利他性は他人の幸福度が高まることが自分の幸福度を高めるというもの、ウオームグローとは自分が他人のためになる行動や寄付額そのものから幸福感を感じること
■サンクコスト
7万円の北海道旅行を見つけて申込、別の日に5万円の沖縄旅行を見つけて申込。ところが同日で、どちらもキャンセルできないことが判明。北海道より沖縄の方は好きだけど7万円がもったいないと思って北海道旅行を選択することがあります。取り戻せないサンクコストを回収しようとする意思決定になります。
■メンタルアカウンティング
1500円の映画チケットを買っておいたのに失くしたことに気が付く場合と財布の中にあった1500円を落としてしまったことに気が付いた場合、前者ではチケットを買わないが後者ではチケットを買うことがあります。同じ1500円でも心理的な勘定は違います。
■参照点
避難しないのは現在を参照点に避難することが損失だと感じるからです。そこで避難をうながすためにアメリカでは「残留する人は身体にマジックで社会保障番号を書いてください」というメッセージが一番効果がありました。人々は自分が災害で自分が死亡している状態が参照点となり、避難して生存することが損失でなく利得だと思います。
■損失回避
A コインを投げて表が出たら2万円をもらい、裏が出たら何ももらわない
B 確実に1万円もらう
C コインを投げて表が出たら2万円を支払、裏が出たら何も支払わない
D 確実に1万円支払う
BとCを選ぶ人が多くなります。A,Bは1万円の利得でC,Dは1万円の損失。
■無断キャンセルを減らすナッジ
電話予約をした時に相手からコミットメントさせる
病院なら「スミス先生とのあなたの約束は火曜部の午前10時35分です。つぎの予約番号を書き留めてください。1234」
また「先月予約したのに受診しなかった患者数は**人でした」ではなく「先月予約通りに受診した人は**人」に変更しました。
■軽減税率は補助金と同じ
低所得者に対する負担増加が目的ですが、高所得者の負担軽減が低所得者以上に大きくなるため実際は補助金と同じになります。比率と金額を誤解するからで低所得者の支出比率が高い費目で税率が軽減されると低所得者の方がより多く税金を軽減されると誤解してしまいます。
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