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2019/11/30

日本中世史の核心

 【書 名】日本中世史の核心
 【著 者】本郷和人
 【発行所】朝日文庫
 【発行日】2019/09/30
 【ISBN 】978-4-02-261987-7
 【価 格】740円


■兼参(けんざん)
従者が複数の主人を持つこと。平安~鎌倉にかけて主従関係は極めてゆるやかったようです。


■尊勝院宗性
1235年、34歳の時に禁酒の誓いをたてているが、いい加減なもの。「今日から千日、酒をやめる」「けれども酒は薬でもあるので、一日に三合は飲んでもよい」


■法然
真宗は迫害を受けましたが数ある仏のなかから阿弥陀仏を選択して、阿弥陀仏だけに帰依する考え方は一神教に近く、これが異端だったようです。


■九条道家
関白となり記録所を作ります。実務に精通した下級官人を組織し合議しながら解決していきます。これが評定衆の原型となっていきます。九条道家がなくなり北条重時に、ようやく撫民という考え方がうまれます。それまでは結城宗広のように「生首を見ないと一日ぼおーっとして調子が悪い」なんて言っています。


■室町幕府
関東ではなく京都に幕府を作ったのは御家人のような伝統的な武士ではない、楠木正成のような新しい武士が登場してきたため、新しい王権を作る必要があったと考えたためでした。


■藤原実重
鎌倉時代前半の伊勢国にいた武士で、平家の侍大将である悪七兵衛景清の一族の模様。しかし日記は仮名ばかりで漢字はほとんどなく、当時のトップクラスの武士でこんな調子でした。


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2019/11/28

少年の名はジルベール

 【書 名】少年の名はジルベール
 【著 者】竹宮恵子
 【発行所】小学館文庫
 【発行日】2019/11/11
 【ISBN 】978-4-09-406713-2
 【価 格】700円


漫画家でデビューしたのはよいけれど各社の仕事を能力以上に受けたため実家のある徳島から各社担当編集者が全員集合しているところに呼び出されます。どこかが、この新人の面倒をみるしかないという結論となり、結局は小学館の「週刊少女コミック」に決まり、まずは缶詰旅館でひたすら原稿を書く生活に突入します。


やがて萩尾望都、増山法恵と一緒にアパートを借りて暮らすようになり、これが大泉サロンとなります。ここに佐藤史生、山岸涼子など多彩なメンバーが入れ替わり訪れるようになります。そんななか横浜からナホトカへ出てシベリア鉄道経由のヨーロッパ旅行を企てます。竹宮恵子、萩尾望都、増山法恵、山岸涼子のうら若き4人の出航に見送りにきたのは小学館の山本編集者ただ一人。「お前ら、もう帰ってくんなーバカー」という冗談に送られて出航です。


やがてスランプに陥り大泉サロンを出ます。「風と木の詩」をずっと出したいと思っていましたが、どこもダメ。そんななか新人編集者にアンケート調査で1位を取れば、次回作は作家の好きなものが通りやすくなるという言葉に発奮して「ファラオの墓」という貴種流離潭を発表。1位は取れませんでしたが企画を通って、少女漫画の歴史を変えた「風と木の詩」が発表されます。デビューから「風と木の詩」が出るまでの期間に焦点をあたえた一冊です。


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2019/11/26

江戸の御触書

 【書 名】江戸の御触書
 【著 者】楠木誠一郎
 【発行所】祥伝社新書
 【発行日】2019/11/10
 【ISBN 】978-4-396-11592-0
 【価 格】860円


■銭の相場操作した者は顔に「火印」の刑
撰銭などをしても火印でしたが、相場を動かして金を儲けていたのが長谷川平蔵。火付盗賊改方で有名です。老中の松平定信にかけあい幕府の蔵から小判3千両を借りて安い銅銭を買い占めします。一両日で金と銭の相場が動いてしまい、長谷川平蔵は両替屋に売って差額を儲けます。この差額を人足寄場の運営費にあてました。もともとは幕府が出すべき筋なのに、今なら警視総監が財テクで捻出するようなものです。


■元禄6年(1693年)江戸の人口
35万3582人です。ただし陰陽師、山伏、座頭などは含まれていません。馬が人の言葉を話すというフェークニュースを流しているやつがいて、幕府が誰が言っているか調べろと各町に指示。浪人が犯人だったとわかったのですが、思わぬ副産物として町々からの報告で人口が判明することになります。


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攻防から読み解く土と石垣の城郭

 【書 名】攻防から読み解く土と石垣の城郭
 【著 者】風来堂
 【発行所】じっぴコンパクト新書
 【発行日】2019/11/15
 【ISBN 】978-4-408-33888-0
 【価 格】980円

関東では土の城が造られ堀や枡形虎口など技巧が発展します。関西では織田信長が寺院などの最新技術を取り込むことができ高石垣、瓦、屋根などで現在の近世城郭が造られていくことになります。

■安土城の目的
家督を信忠に譲った隠居城が安土城ですが岐阜城よりも豪華です。最終的には足利義昭から人質としてとった嫡男・足利義尋に与える可能性も考えられそうです。

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2019/11/23

大御所 徳川家康

【書 名】大御所 徳川家康
 【著 者】三鬼清一郎
 【発行所】中公新書
 【発行日】2019/10/25
 【ISBN 】978-4-12-102565-4
 【価 格】840円


■安濃津 富田家
関ケ原合戦の前哨戦で起きたのが安濃津の戦いです。富田知治が守る津城を西軍が攻め落城させました。富田家の子孫は水戸藩に仕えました。幕末、水戸藩は天狗党の乱などいろいろな騒動を起こし貴重な人材を失ったため明治政府での発言力は小さくなります。復権しようという時に富田家に伝わった秀吉文書などを駆使して、信長と秀吉に対して国家への勲功が認められました。家康は一歩落ちた形になりました。


■藤堂藩伊賀城代
三代藩主だった藤堂高久の時に藩財政の再建のために備中で銅山の発掘を手がけましたが失敗。ところが奥さんの実家が将軍ににらまれることになり、自分は銅山問題とは無関係と出張するために、徹底した口封じをした事件がありました。


■邪教
江戸時代、キリスト教が邪教として禁止されましたが日蓮宗の不受不施派(宗法を守って出仕を拒否)を邪教にしました。反対は受不施派で、公儀からの命令は出仕もやむをえないという立場でした。


■宗氏(対馬)
室町幕府が朝鮮と交渉しようとしても外交権がなかったので宗氏が発行する証明書(文引)を持参する必要があります。秀吉の朝鮮出兵でこれがご破算に。徳川幕府になった時は家康の国書を偽造して国交を回復します。朝鮮からの使節が江戸城についた時に秀忠と謁見する前に国書をすり替える離れざわもやっています。

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2019/11/20

沖縄の聖地 御嶽

 【書 名】沖縄の聖地 御嶽
 【著 者】岡谷公二
 【発行所】平凡社新書
 【発行日】2019/02/15
 【ISBN 】978-4-582-85905-8
 【価 格】800円


沖縄で少し離れたところにあるのが御嶽。人口減などで祭る人がいなくなり、無くなってしまった御嶽もあります。韓国にも堂と呼ばれる御嶽のようなものがありましたがキリスト教の浸透などで、こちらもだんだん減っています。


■貝の道
朝鮮半島から対馬、壱岐、九州の西海岸、奄美、沖縄へかけて貝の道と呼ばれる交易ルートがありました。古代では装身具の貝輪でしたが、やがてヤコウガイが加わり螺鈿の材料として普及していきます。


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持統天皇 壬申の乱の「真の勝者」

 【書 名】持統天皇 壬申の乱の「真の勝者」
 【著 者】瀧浪貞子
 【発行所】中公新書
 【発行日】2019/10/25
 【ISBN 】978-4-12-102563-0
 【価 格】900円


■立太子のルール
推古天皇の即位にあわせて立太子されたのは竹田王子ではなく厩戸皇子。女帝の息子は対象外だったようです。皇極天皇の時は古人大兄皇子が対象となりました。


■斉明天皇の重祚
皇極天皇は重祚し斉明天皇となりますが、本当は中大兄皇子と反目した孝徳天皇が難波京で亡くなった時、間人皇后に即位を要請したところ、どうも断られたようです。62際の斉明天皇が登場しますが、斉明天皇が亡くなると、結局は間人皇后が即位したようで万葉集などに「中皇命」、「中宮天皇」と記載されることになります。斉明天皇と娘の間人皇后の墓は牽牛子塚古墳で、すぐ近くにある越塚御門古墳が大田皇女(持統天皇の姉)の墓とみられています。


■天智天皇と大海人皇子
天皇は兄弟への承継が基本のため天智天皇の当初計画は大海人皇子の即位後に大友皇子に位を譲ってほしいということだったようです。大津京で大海人皇子に「後事を託す」と言ったのがそういう意味でしたが、大海人皇子は病気がちで受けられないので大友皇子を立太子して皇后倭姫を即位させるよう提案しています。これは立太子のルールにあっているので有望な案でした。


■持統天皇
息子である草壁王子の最大のライバルが大津皇子(大田皇女の息子)で結局は謀反の疑いで殺してしまいますが、墓は二上山の雄岳山頂ではなく東麓にある鳥谷口古墳ではないかと言われています。ところが草壁王子が亡くなってしまい束明神古墳に葬られ、頼みの綱は孫(文武天皇)になります。


草壁王子が亡くなった後、王子の佩刀は藤原不比等に託されます。これが草壁王統のシンボルとなり、文武天皇、聖武天皇へと渡っていきます。


■藤原京が短命だった理由
691年12月、宅地班給が行われます。右大臣から無位にいたるまで宅地を無償で与える措置で藤原京から本格的に実施されました。ところが飛鳥に近く、従来のところに住み続けた人が多かったのが短命だった理由の一つです。


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2019/11/17

それでも日本人は戦争を選んだ

 【書 名】それでも日本人は戦争を選んだ
 【著 者】加藤陽子
 【発行所】新潮文庫
 【発行日】2016/07/01
 【ISBN 】978-4-10-120496-3
 【価 格】750円

なぜ日清、日露、第一次世界大戦、太平洋戦争を日本人は選らんだのか、よく知られていない話などが満載です。神奈川県の私立栄光学園で行った5日間の講義をもとにした本で生徒に理解できるよう語られているので、とっても分かりやすい本になっています。

■日露戦争 シュタインの主権線、利益線
山形有朋がヨーロッパに行った時にウィーン大学のシュタイン先生に会います。ロシアがシベリア鉄道を作っている時で国防に対する相談です。シュタイン先生が日本のとるべき道として言ったのは
主導線ー主権の及ぶ国土の範囲
利益線-国土の存亡に関わる国防の状態
朝鮮を中立におくことでバッファーを作るイメージのようです。

ところがロシアと中国が手を結んでシベリア鉄道によって遼東半島の南に不凍港をもつことができ、利益線がおびやかされ、これが日露戦争へとつながっていきます。

■大使館
日露戦争にからくも勝ったことで日本は各国に大使館を置くことが認めれます。それまでは公使館しか作れませんでした。これが戦争の「効用」

■第一次世界大戦 遼東半島
日本は青島に進出し青島ー済南の間にドイツが敷設した鉄道を抑えます。戦略的な意味は渤海湾をおさえることができ旅順から船、鉄道で陸の両方で中国を攻撃することができます。遼東半島を抑えたのには、そんな理由があったのですね。

■第一次大戦後
ロシアが革命で倒れ、レーニンとトロツキーは帝政ロシア時代の秘密外交文章をオープンします。イギリス、フランス、日本がえげつないことを帝政ロシアと取り決めしていたことが暴露されていました。アメリカのウィルソン大統領はこのままだと世界中の人が幻滅すると連合国の戦争目的を理想化し出したのがウィルソンの14ケ条。この中に民族自決主義が入っており、ウィルソンの念頭になったのはポーランド、ベルギー、ルーマニア、セルビアでしたが、これがダイナマイトになって植民地からの開放や韓国の3.1独立運動となります。

パリの講和会議には経済学で有名なケインズがイギリスから大蔵省の主席代表として参加していました。ケインズはドイツの賠償額に寛容を求めましたが過酷な賠償額となり、世界恐慌などをへて結局は第二次世界大戦へとなっていきます。ケインズは「あなたたちアメリカ人は折れた葦である」という手紙を残してイギリスに帰国しまう。旧約聖書のイザヤ書に出てくる言葉で、折れた葦の杖を頼みにしているが、それは寄りかかる者の手を指すだけだ、という意味です。

■日中戦争 胡適 日本切腹、中国介錯論
日本はアメリカの海軍力、ソ連の陸軍力が揃う前に中国侵攻をしてくるだろうと考え、戦略として唱えたのが中国は日本と戦争をはじめ天津、上海も占領され2~3年苦戦しながらも戦えば世界中の同情が集まり、ソ連もアメリカも介入せざるをえなくなる。という壮大な構想でした。しかし、この通りに展開しました。また中国兵は強かったようで、日露戦争を戦った伊藤政喜という将軍はロシア軍より強いと言っています。

■太平洋戦争 南部仏印進駐
参謀本部ではフランス領なので進駐してもアメリカは何もしてこないと予想していましたが、すぐに対応。アメリカはドイツがソ連に侵攻したため、ソ連が日本を心配しなくてもすむように援護射撃をしました

■戦況は株価で分かる
報道管制や検閲が行われているので、庶民にはどうも負けているようだぐらいしか分かりません。ところが株式市場が戦争中も開いていて1945年2月から軍需関連ではなく民需関連株が上がり始めます。戦時から平時への移行されると考える人が多く出たようです。

■太平洋戦争 無条件降伏が選ばれたわけ
フランクリン・D・ローズヴェルト大統領がドイツや日本に対して無条件降伏以外認めないと主張しましたが、根底にあったのは第一次世界大戦でドイツに休戦を認めて妥協したのが失敗だったという意識があったようです。ですので日本が早く受け入れていたら原爆投下はなかったという説がありますが、もともと既定路線あったことが史料から判明しています。

国際連盟を脱退した松岡洋右はタカ派のイメージですが、実際は必死に連盟に残るよう調整していました。日本の内大臣に対して、満州に対してゼロか百ではなく8分目ぐらいで我慢し、日本人の潔癖症を発揮し連盟脱退なんてことはやめましょう。日露戦争がギリギリの戦争だったなどの情報がきちんと出ていたら無謀な戦争などはなくなっていたかも分かりませんでしたが、国民もマスコミもイケイケでした。

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2019/11/16

データが語る日本財政の未来

 【書 名】データが語る日本財政の未来
 【著 者】明石 順平
 【発行所】インターナショナル新書
 【発行日】2019/02/12
 【ISBN 】978-4-7976-8033-1
 【価 格】900円


データを元にした日本の将来です。


政府総債務残高GDP比が235.6%で第二位のギリシャ(183.5%)を大きく引き離しています。社会支出対GDP比はOECD加盟国で14位になっている。景気対策のために所得税の減税をしたが効果は少なく税収が減っただけに終わってしまいました。データを見ると減税すれば景気が回復してかえって税収が増える説は成り立っていません。


高齢者人口
65歳以上の高齢者人口は2042年の3,935万人まで増え続けてピークをむかえ減り続けます。75歳以上のピークは2054年の2,449万人でこの時の生産年齢人口は5,072万6千人で今よりも2,400万人減少。オーストラリアの人口が減少するのと同じです。


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2019/11/10

夜行

 【書 名】夜行
 【著 者】森見登美彦
 【発行所】小学館文庫
 【発行日】2019/10/09
 【ISBN 】978-4-09-406703-3
 【価 格】610円


鞍馬の火祭を同じ英会話スクール仲間で見学に行った時、一人が忽然と消えるところから物語がスタート。尾道、奥飛騨、津軽、天竜峡とそれぞれの物語が展開し、最終話へ続いていきます。「夜は短し歩けよ乙女」、「四畳半神話大系」などとまったく違ったテーストの物語になっています。


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2019/11/07

もっとさいはての中国

 【書 名】もっとさいはての中国
 【著 者】安田見峰俊
 【発行所】小学館新書
 【発行日】2019/10/08
 【ISBN 】978-4-09-825355-5
 【価 格】840円


世界のいたるところに中国人が進出しており、現場では実際どうなのかのレポートです。


■移民国家カナダ
バンクーバは広東省や香港出身者が多く、1997年の香港返還の時には不安になった香港人が大量に移民し、ホンクーバーというあだ名までつきました。


■械闘
族譜がありますが、同じ宗族がずっと同じ村に住んでいて、皆、王さんや陳さんという村があります。自力救済の戦国時代さながら、ごく最近でも村通しの戦いなどが行われており、それが械闘です。中国の民衆を治めるとは難しいんですね。


■逃亡者は東南アジアを目指す
タイには国民党軍が雲南省経由で逃げた華人の子孫がいて、中国大陸でも台湾でもない中国人が存在している。また明の遺民がミャンマーに流れてコーカン族という少数民族になったり、いろいろな歴史があります。


■郭文貴
ビジネスでの成功が一番ですが、他にも賄賂などいろいろな手段を高じて富裕層になりましたが、中国から国際指名手配となった郭文貴。対策として行ったのが自らユーチューバーになって汚職などについて暴露すること。中国でも規制をかいくぐって見ている人が多く人気になっているそうです。


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2019/11/02

おかしな本の奮戦記

 【書 名】おかしな本の奮戦記
 【著 者】堀内 俊宏
 【発行所】二見書房
 【発行日】1987/06
 【ISBN 】4-576-87071-8
 【価 格】1000円


「エマニエル夫人」、「白い本」、「刑事コロンボ」など話題本を出してきた二見書房25年の歴史です。もともと父親が印刷業を行っており、多角経営ということで出版社をスタート。両方を見るということから二見書房と命名します。ところが出版不況などで不渡りを出してしまい倒産。戦後の復興期、印刷工場を再建し、同じ名前でまた出版に乗り出すことになります。


素人が出した本(「女のいくさ」佐藤得二)がいきなり直木賞を受賞した話など、ユニークな挿絵とともに紹介されています。


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