中世奇人列伝
【書 名】中世奇人列伝
【著 者】今谷明
【発行所】草思社文庫
【発行日】2019/08/08
【ISBN 】978-4-7942-2411-8
【価 格】980円
承久の乱の黒幕で壮絶な最期を遂げた法印尊長、中国に渡り刑死になる寸前に歌で助かった雪村友梅、二度、将軍になった足利義稙(義材)、政治に深入りした歌人・京極為兼、中世で救民を実践した願阿弥、幕府にわたりあって混乱をおさめた広義門院のあまり知られていない6名にフォーカスした一冊です。
■葉室光親(はむろみつちか)
討幕を訴える後鳥羽上皇に対して無謀だと反対していましたが、決心が変わらないことから討幕の院宣を書きました。承久の乱が終了してから院宣を書いた咎を責められましたが一言も弁明せずに斬られました。のちに上皇を諫めていた諫状数十通が見つかり冤罪であることが判明します。北条泰時は処刑してしまったことを悔やんだ話が吾妻鏡に出てきます。
■広義門院(西園寺寧子)
光巌天皇、光明天皇の母親ですが討幕、建武の新政、南北朝時代に巻き込まれていきます。南北朝時代、南朝は北朝の上皇、天皇などを吉野へ拉致する事件を起こし、朝廷では何も決められない空位時代となります。ここで幕府に担ぎ出されたのが広義門院。61歳になっていましたが、頼むのは広義門院しかいませんでした。ただ広義門院は子供や孫まで吉野に連れ去られたことに怒り心頭。「皇位など幕府で勝手にしろ」と取り付く島がありません。バサラ大名の佐々木道誉などがひたすら請願したこともあって、広義門院はついに折れます。ここで行われたのが、昔にタイムスリップ(前年十月以前)させるという超法規処置。南朝の北畠親房は北朝の上皇、天皇などを手に入れたら北朝は何もできないと思っていたところに奇手が打たれました。
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