無私の日本人
【書 名】無私の日本人
【著 者】磯田 道史
【発行所】文春文庫
【発行日】2016/06/10
【ISBN 】978-4-16-790388-6
【価 格】630円
刻田屋十三郎、中根東里、大田垣連月の3人を紹介しています。連月は連月焼で名前だけは知っていましたが、他の2人については全然、知りませんでした。
刻田屋十三郎は貧しい吉岡宿が寂れていく一方で、このままでは皆が立ち行かなくなることに憂いていました。そこで有志と考え出した方法が藩にお金を貸して、その利息を宿場に支払ってもらうという前代未聞の方法。ところが前例主義、事なかれ主義の武士の世界を動かすのは並大抵ではありません。同志の浅野屋は皆のためならと身代をこの事業にかけていました。時間をかけ工夫をしながら何とか成し遂げます。これが藩主の耳まで入り、なんと藩主が浅野屋をたずね酒銘をあたえ、殿さまが名付けたお酒と評判をよび浅野屋は破産を免れます。
大和川付け替えを長年にわたって実現した中甚兵衛の名前は今に伝わっていますが、他にも皆のためと考えて生きた江戸時代の人々がいたのですね。この当時、”そんなことをしてはご先祖様にあわせる顔がない”という公共心が今以上にあったようです。
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