蒙古襲来と神風
【書 名】蒙古襲来と神風
【著 者】服部 英雄
【発行所】中公新書
【発行日】2017/11/25
【ISBN 】978-4-12-102461-9
【価 格】860円
伊勢神宮の外宮、内宮のそれぞれに風宮、風日祈宮という別宮があります。元寇の時に神風を起こし日本を守ったとして別宮に昇格しましたが、いまだに元寇は神風(台風)のおかげで助かったという論が多い中、実際に鎌倉武士はいかに戦ったのかを竹崎季長の「蒙古襲来絵詞」などの同時代史料を使いながら論説しています。台風で元軍が一日で退散したとか言われていますが、そんなことはなく沈んだのはバラストの積みすぎた老朽船だけです。
元軍の一部である高麗軍(東路軍)は志賀島をおさえ要塞化をしていました。確かに台風の影響はありましたが、鎌倉武士は満潮や干潮の時間も考え戦略的に攻撃していました。江南軍は被害を受け、司令官もあまりやる気がなかったようで戦略的目標である大宰府をおさえることが無理なため、撤退しました。ただ敗戦の理由に台風を過大に報告していたようです。現場を知らない京都の貴族は神風のおかげで助かったということになり、訳の分からない神風神話なるものができることになります。
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