食品サンプルの誕生
【書 名】食品サンプルの誕生
【著 者】野瀬泰申
【発行所】ちくま文庫
【発行日】2017/07/10
【ISBN 】978-4-480-43456-2
【価 格】800円
レストラン前に並ぶ食品サンプルの歴史や効能などをまとめた一冊です。阪急百貨店に食堂ができ、たくさんのお客さんが集まりましたが、お客をさばくのに有効だったのが前払いの食券制度。食券を買うために必要だったのが食品サンプルです。百貨店の食堂で最初に食品サンプルを出したのは白木屋のようです。
日本の料理名には遊びが多い
時雨煮-烏丸大納言光広が関東へ下向する途中、桑名ではまぐりを食べている時に時雨が降ってきた。「神無月ふりみ降らずみ定めなきしぐれぞ冬の初めなりける」という古歌から時雨煮と名づけた
助六-遊女「揚巻」が登場する歌舞伎「助六」から揚が稲荷でノリ巻
信田寿司(名古屋)-稲荷寿司発祥の地で狐といえば信田の森から
食品サンプルは料理の名前を聞いても、よくわからない点を補う面があります。ところがこれは日本人の考え方で、フランスのメニューは食材と料理法を詳しく載せていて、まず最初にこの料理はいける、これはやめた方がよいと時にはギャルソンも交えて10分ぐらい議論するのが儀式になっていて、食品サンプルを店頭に置くという発想はないそうです。また日本人は機械が作ったものを食べることに違和感がない点もありそうです。そういえば阪神百貨店では自動式イカ焼き機がガラス張りでまじかに見られ、なんの違和感も感じません。回転焼きなども同様で、よくできた作り物だから面白いという発想が食品サンプルにありそうです。
日本だけではなく日本から進出する形で韓国や中国に食品サンプルが進出しているレポートも掲載されています。
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