戦争の日本古代史
【書 名】戦争の日本古代史
【著 者】倉本 一宏
【発行所】講談社現代新書
【発行日】2017/05/20
【ISBN 】978-4-06-288428-0
【価 格】880円
”白村江の戦い”というと日本史では百済復活を狙った倭・旧百済連合軍と唐・新羅連合軍との戦いで倭は破れてしまいますが、韓国では教科書などに出てこず、大学で古代史を専攻して学ぶと始めて出てくるそうです。新羅-高羅-李朝が正統王朝で百済は地方政権に過ぎず、唐にとっても主要な相手は高句麗で百済との戦いは片手間のような面があったようです。日本が朝鮮半島に持つ変な優位意識みたいなのがなんで出てきたのかを明らかにしています。
白村江の負け戦が国内に与えた衝撃は大きく、瀬戸内沿いに山城を築き防衛体制の整備を行います。また天智天皇はいかにも唐が攻めてくるように言い立てて中央集権国家を作りあげようとした節もあるようです。
日本史では元寇が有名ですが、ほとんど出てこないのが平安時代に起きた”刀伊の入寇”。女真族の海賊が中心で北部九州を侵略。多数の住人が殺されたり連れ去られ牛馬もたくさんやられました。京都の公家政権には何の緊張感もなく、ほとんど統治能力がありません。藤原隆家を中心に在地の武士が頑張り、撃退します、この時に活躍した武士たちが中世に鎮西武士団の中心となっていきます。元寇の時は統治能力がない公家ではなく、本来は関係がない鎌倉幕府ががんばり、事なきを得ました。竹崎季長の蒙古襲来絵詞が有名ですが司令官などが兵士を置き去りにして逃げ去った後の掃討戦を描いたものだったんですね。
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