南朝研究の最前線
【書 名】南朝研究の最前線
【著 者】日本史史料研究会
【発行所】洋泉社歴史新書
【発行日】2016/07/18
【ISBN 】978-4-8003-1007-1
【価 格】100円
信長、秀吉、家康に続き最新の研究をもとに南朝の実像について書かれています。
南朝といえば鎌倉幕府を滅ぼし建武の親政がはじまったが、公家中心の政権だったため、不満をもった武士が足利尊氏を中心に集まり、後醍醐天皇に対立し室町幕府を成立させたというイメージですが、最新の研究では全然、違うそうです。
建武の親政は公家中心の政治ではなく、武士よりの政権で反対に公家の方が不満をもらしています。足利尊氏も反旗をひるがえすつもりがなく、どちらかといえば場当たり的に対応していて、最終的に後醍醐天皇と対立するところへ追い込まれたようです。新田義貞は当時は足利一族と考えられていたようで、いつのもにか足利氏と肩を並べる新田氏というイメージができあがりました。などなど目からうろこの話が多いですね。武士は大義などよりも、まずは自分の利益を考えて動きますから、複雑な歴史の動きになってしまいます。
室町幕府が発足すると敵の敵は味方ということで北条氏の生き残りと南朝が組んだりもします。南朝が陸奥や遠江へ拠点をつくろうと伊勢の大湊から出港しましたが暴風雨にあうなど苦難になります。北条時行は義良親王と行動を共にして遠江の井伊に入ったそうで、大河ドラマ「井伊直虎」の検地のシーンで川名の隠し里が見つかり、「南朝の御子様が隠れてお住まいになった場所です。なので、井伊の領地であって、井伊の領地ではない」と返答しますが、このことだったんですね。
この時、懐良親王が九州に入り、ここだけは成功し、九州一国が南朝方となり征西将軍府が成立します。もう少しで室町幕府とは別の国家ができた可能性もあったようです。
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