新聞記者 司馬遼太郎
【書 名】新聞記者 司馬遼太郎
【著 者】産経新聞社
【発行所】文春文庫
【発行日】2013/06/1-
【ISBN 】978-4-16-783865-2
【価 格】620円
新聞記者時代の司馬遼太郎像に焦点をあてていて、小説家の原点は新聞記者の経験にあったことがよく分かります。
■志明院
若い時に京都支局にまわされ担当は宗教と大学。金閣寺炎上では動機まで明らかにしたスクープをものにしました。山伏にも興味をもって志明院へもよく足を踏み入れていました。志明院は、一応京都市内になっていますが、上賀茂神社から10kmも賀茂川をわけいった所にある陸の孤島。現在も行くだけで大変な所です。
京都新聞だったと思いますが、志明院に泊まった司馬遼太郎の経験が書かれていました。夜中に物の怪の気配を感じたという内容で、志明院では昔から魑魅魍魎が出るようなところで、夜中になるとうるさかったそうです。ところが電灯が通るとピタッとおさまったという不思議な話でした。何十年も前の記事なんですが、不思議と覚えています。
■創作家でもあった
いろいろと創作した逸話が本に出てきますが、「坂の上の雲」で関ヶ原の戦いの布陣を見た日本陸軍の育ての親であるメッケルが即座に西軍の勝ちといった話、いかにも言いそうな逸話なんですが、どうも司馬遼太郎の創作だったようです。
梅棹忠夫先生が目が見えなくなった時に司馬遼太郎から見舞いの手紙が届いて、開いてもらったら大きな文字で書いてあったそうです。どうも弱視がなにかと間違えていたようだが、うれしかったと、これは梅棹先生からじかに聞いたことがあります。
復員し空襲で焼けた大阪の街で、電柱に「新聞記者の募集」と書かれたビラを見つけたところから司馬遼太郎の新聞記者生活が始まります。
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