下級武士の米日記
【書 名】下級武士の米日記
【著 者】加藤淳子
【発行所】平凡社新書
【発行日】2011/6/15
【ISBN 】978-4-582-85591-3
【価 格】800円
江戸時代・幕末の交換日記です。と言っても男女ではなく家と家の交換日記で、舞台は三重県にある桑名藩。桑名藩は新潟県の柏崎に飛び地があり、ここへ赴任が決まったのが渡部勝之助。奥さんと子供を連れての赴任です。長男は親である桑名の渡部平大夫の元に養子として残しました。お互いに子供の成長や家のことを伝えるために始まったのが交換日記。この日記が戊辰戦争をかいくぐり現在に伝わっています。
両者とも米を担当する下級武士でしたが、業務のこと以外に当時の暮らしや天保の改革などについて記述され一級資料になっています。例えば1847年には新潟で大地震があり、柏崎は大丈夫でしたが松代藩は甚大な被害を受け、桑名藩の藩主と松代藩の藩主が松平定信の長男と次男だった関係からお見舞い米300俵を送ることになりました。
事前調整に任命されたのが渡部勝之助。宿場などでお米を送る段取りを順につけていきますが地震後の混乱後ですので当初予定とはどうしても変わってきます。現場で自分で判断しなければなりませんが、無能な上司は分かってくれるかなと心配もしなければなりません。また領地替えがよく行われた当時ですので桑名藩も時々、噂にあがりました。そうすると柏崎から桑名へ戻れるので渡部勝之助は大喜びなんですが、以前から赴任して現地に土着している連中は青ざめるなど現代のサラリーマンと変わらない状況は笑いますね。
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