スコットランドの漱石
【書 名】スコットランドの漱石
【著 者】多胡 吉郎
【発行所】文春新書
【発行日】2004/9/20
【ISBN 】4-16-660398-1
【価 格】690円
夏目漱石が国費留学生としてロンドンに派遣させ、ロンドンで神経をすり減らしていたのはよく知られていますが、帰国の少し前にスコットランドへ2週間ほど旅していました。漱石の文学の原点がこのスコットランドにあったのではという本です。
漱石を招待したのがスコットランドのピトロクリに住むディクソンという人物で、親日家で日本へも2回来訪した人物です。この2週間の生活がロンドンの生活で疲弊させていた漱石を蘇らせました。「草枕」の冒頭に「山路を登りながら、こう考えた。」という有名なせりふが出てきますが、この山路こそキリクランキーへの山路ではないかというのが著者の推理です。
草枕の英訳本は「The Grass Pillow」ではなく「The Three-Cornered World(三角の世界)」になっています。四角から三角にマイナスされた世界で、引き算の美学をあらわしています。カナダのピアニストであるグレン・グードルが座右の書にしていたのが草枕で、死去する枕元にも聖書と並んで置かれていたそうです。
■漱石と自転車
ロンドンの生活で神経衰弱となり、始めたのが自転車療法。遠乗りが可能なほど腕を上げたそうですが、日本に帰ってきてからはさっぱり自転車に乗らなかったとか。
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