中国てなもんや商社
【書 名】中国てなもんや商社
【著 者】谷崎 光
【発行所】文春文庫
【発行日】1999/12/10
【ISBN 】4-16-763501-1
【価 格】524円
文芸春秋から単行本で出ていたのが文庫本になった本です。そういえば主演、小林聡美で松竹で映画化もされています。
ほんの腰掛けのお茶くみOLのつもりで入社した大阪の貿易商社で中国を担当することになり、色落ちするTシャツやポケットの縫いつけられた子供服などが送られて、クレームをつけても相手は決まって、「没問題(メイウェンテイ)」の一言。
華僑のパンダのような上司に仕事を一から仕込まれて、中国への出張もトラブル続きだったのがやがて一人立ちとなかなか大変な中国ビジネスを面白く、おかしく描いています。
このパンダのような上司がなかなか優れたビジネスマンで
「商売は、人が一番大事ですから。なにかしようと思うとき、お金は借りてこれる、場所も探せばある、でも人だけは持ってこれません。仕事は人がするもんですから」などとありがたい訓辞をしてくれます。
天安門事件の時の日本人ビジネスマンの対応もなかなか面白く描かれています。
「ホテルでな、日本人が一番のんびりしてんねん。ビジネスセンターにチケットの手配に最初に並んだのは香港人。次がヨーロッパ人とアメリカ人で、日本の人たち行列見て、なんかあったんですか、とかいってるねん」
と大阪の会社のせいか、出てくる中国人の発音も皆さん関西弁なまりで何とも暖かみのある会話になっています。
中国の縫製工場に行くとファスナーがたるみをつけてつけられており日本ではこんなもの売れないと言っても「没問題」の一言。やおやミシンの前に座って正確にファスナーをつけ、これがOK、これ以外は全部やり直しと工場の壁に貼るシーンなどが出てきます。清潔などという文化が日本とは違いますので、この壁を乗り越えるのが大変です。
以前、中国へに行った時に日本のメーカーの工場には至る所に写真が貼られていました。「整理整頓した状態はこの写真の状態」と写真で誰にでも分かるようにするには見せるのが一番というのが総経理の印象的な言葉でした。
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