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2006/02/09

鬼の帝 聖武天皇の謎

 【書 名】鬼の帝 聖武天皇の謎
 【著 者】関 裕二
 【発行所】PHP文庫
 【発行日】2006/2/17
 【ISBN 】4-569-66474-1



この著者の本は出るたびに買っています。古代史を全然違った目から見れて、なかなか面白いですね。

今回は聖武天皇がテーマですが、発端は乙巳の変にさかのぼります。改革派だった蘇我入鹿、蝦夷が暗殺されますが、陰で糸をひいていたのが藤原鎌足です。この鎌足ですが、百済から人質で送られてきていた王子・豊璋という説があります。

そうなると蘇我などの豪族はもともと百済に滅ぼされた伽耶との結びつきが強かったので、乙巳の変は蘇我氏が専横が原因という国内問題でなく国際情勢が原因になってしまいます。天智天皇は新羅を復活させるために白村江の戦いで大敗してしまいますが、その伏線がこんなところにあったようです。

もう一つ壬申の乱がターニングポイントになっています。藤原広嗣の乱が起きた時に聖武天皇が名張から鈴鹿、桑名、不破の関と奇妙な行動をとり、ノイローゼだったのではという定説がありますが、どうもこれは天武天皇が行った壬申の乱をもう一回やってもいいんだぞという藤原氏へのメッセージだったようです。天武天皇とまったく同じコースをたどっています。

その後、平城京の北東にある恭仁宮に遷都します。なんでこんな辺鄙なところにというような山の中です。これは藤原氏の支配下にあった平城京をいつでも北から攻めるぞという位置にありました。そう言われると一山超えれば奈良ですし、高地から攻められ、また恭仁宮は天然の要害になりますので確かにそうですね。なかなか楽しめる一冊です。

聖武天皇は藤原氏の手の上にあった天皇というイメージが強いのですが、だいぶ違うようですね。それよりも光明子が実は藤原を裏切っていた側面もあり、仲麻呂をうまく信用させて東大寺の正倉院に宝物を封印しますが、この時に武器も納入されました。この武器は仲麻呂(恵美押勝の乱)で使われます。また封入された聖武天皇の遺品や宝は藤原氏に略奪されず現在に伝わっています。

→ 『鬼の帝 聖武天皇の謎』

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