ある書誌学者の犯罪
【書 名】ある書誌学者の犯罪
【著 者】高橋俊哉
【発行所】河出書房新書
【発行日】1983/05/15
【ISBN 】
【価 格】2300円
知恩寺で開催された秋の古書まつりで見つけてきた本です。副題が「トマス・J・ワイズの生涯」となっています。このワイズという人物、詩集の蒐集家、また書誌学者として有名な人物ですが、別の面をもっていました。それが偽造本の作成です。
時代は1800年の後半から1900年の前半の頃の話です。屋台の古本屋で給仕だったワイズが詩集の初版本を掘り出すところから話が始まります。ワイズはやがて著名な蒐集家に、また知識が豊富で書誌学者としても有名になっていきます。同時代のギッシングの『ヘンリー・ライクロフトの私記』にも登場するそうです。今度、読み返してみましょう。
集めた蔵書は『アシュリー文庫』と呼ばれました。ワイズの書誌や目録は貴重でイギリス書誌学会によって1970年代に覆刻されています。
そんな有名な書誌学者がなぜ犯罪をと不思議なのですが、景気のよかったアメリカの蒐集家に偽造本をつかませていました。
また庄司浅水氏に寄れば、蒐集家に初版本への愛着を受けつけたのがこのワイズという人物なんだそうです。
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