1900年への旅
【書 名】1900年への旅
【著 者】寺島実郎
【発行所】新潮社
【ISBN 】4-10-402203-9
【発行日】2000/2/20
【価 格】1500円
NPO知的生産の技術研究会・顧問の寺島実郎氏です。2001年に知研がNPOになって初めての総会で講演会があった時、著者割引で買ってきました。
講演でも面白いお話が聞けました。
冷戦の終演をむかえ、各国は国力をつけようと必死で努力をした。ジャパンアズNo1と言われた日本に負けないようがんばるアメリカ、またアメリカがこけても大丈夫なようにヨーロッパではEUを作るなどの世界は大きく変貌していました。その間の日本はバブルに浮かれているだけで、世界の激変をただ見ているだけで、構造改革も何もせず、「踊るポンポコリン」状態だったわけです。
90年代に入っても、確固たる国家戦略も無しにまさしく失われた十年を過ごしてしまった日本をいったいどうすればいいのか?
と言うことで、1900年前の20世紀の扉を開いた人物に焦点をあてて、日本はどうすべきかを述べた本です。
1900年というとパリ万博が開催された年で、この時、見学に来ていたのは、あの司馬遼太郎の「坂の上の雲」の秋山真之です。それからロンドン留学の途中に立ち寄った夏目漱石もエッフェル塔に登っています。20世紀のヨーロッパを舞台に登場した日本人や欧州人に、歴史の奔流に中でも時代を見すえてきた眼を学ぶ一冊です。
■優れた情報通信センス
函館五稜郭の戦いが終わったのが1869年(明治2年)ですが、翌年にはウラジオストック−長崎と上海−長崎の間に二つの海底ケーブルの敷設を許可し、1871年には完成しています。欧州と日本の間に北回りと南回りの2本の電信回線を確保したことになります。導入したのは寺島宗則です、日本−欧州間で8〜12時間で届いたそうです。
通信が発展してインターネット時代になってきていますが、本の中に面白い視点があります。「直接民主主義は集会をして声の届く範囲で可能」ということで代議制が導入されてきましたが、インターネット時代となり、国民の声を聞くことが可能となり、代議制が大きな変貌を遂げなければならないとあります。
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