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2005/05/23

古本屋春秋

 【書 名】古本屋春秋
 【著 者】志多三郎
 【発行所】現代出版
 【発行日】1986/5/5
 【ISBN 】4-87597-511-2
 【価 格】1500円



志多三郎氏といえば『街の古本屋入門』が有名ですが、この古本屋春秋は2年後に書かれた第二作目です。

1984年5月から1年間の日記で、副題の「古本屋商売うらおもて」通りに色々な話が出てきます。

■贈呈のハンコ
古本屋春秋は京都古書研究会の「春の古書市」で見つけてきたのですが、表紙を開けると赤く贈呈のハンコが押されています。

7月12日の日誌にこの贈呈のハンコの話題が出ていました。通常本を贈る場合は相手の名前に恵贈と記して署名をしますが、古本屋さんなのでこの手の本の末路はよくご存じで、それなら古本市場で流通しやすいように贈呈印一つだけですませようというのが意図だそうです。

なるほど、それで贈呈本が私の手元にきたのですね。

■紀田順一郎氏の推薦
目次の後に紀田順一郎氏の推薦文があります。日誌を読むと紀田順一郎氏と企画して古本屋さんを集めた学習会を開催されていたんですね。

■宅買い
宅買いに行くと紀田順一郎氏の著作にまざって、『街の古本屋入門』の本が混じっていました。面白かったという相手に、実は私が書きましたと暴露したところ相手は驚いてしまったそうで、ただし自分の本をいくらで値踏みしたのかは秘密と値段は掲載されていませんでした。

■振り
仕入れは市場、建場、宅買い、店買いが中心になりますが、建場で山が崩れて怪我をした古本屋さんの話などいろいろな話が出てきます。
市場では振りの話が出てきますが、なにかの挨拶でお酒をもってきたりする業者がいると、本の前にお酒をまず振るんだそうです。

■本名索引
巻末には本名索引があります。日誌に風間道太郎「尾崎秀実伝」(法大出版)を分けてもらう。と文章があると、巻末に「尾崎秀実伝」という本の名前と日誌のページが記載されています。

さすがは古本屋さんですね。こんな索引は初めて見ました。

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コメント

 「書名索引」の附いた本など別に珍しくないと思ひましたが、「こんな索引は初めて」とは、察するに、この本のやうに縱組みにした索引は近年の書物ではあまり見かけないといふ意味なのでせうか。

投稿: 森 洋介 | 2005/08/15 21:26

森様コメントありがとうございます、

内容まで紹介した本を巻末の書名索引に掲載することはよくありますが、例えば「振りで落札した」と記載しただけの本についても索引に掲載している点が珍しいですね。

投稿: 水谷哲也 | 2005/08/19 14:28

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