« 知的生産の技術研究会・総会開催 | トップページ | 本の話 神話学 »

2005/03/09

書物の敵

 【書 名】書物の敵
 【著 者】庄司 浅水
 【発行所】講談社(学術文庫)
 【発行日】1990/5/10
 【ISBN 】4-06-158924-5
 【価 格】600円



ウイリアム・ブレイズの書いた本を底本にして補正・解説して作成された本です。書かれたのは1930年ですね。66年前になります。徳富蘇峰が当時絶賛した本でもあります。

庄司浅水という名前、ご存じですか? 

愛書家としても蔵書家としても有名でたくさんの書物に関する本を残しておられます。古本屋などで見かけてもけっこういいお値段です。

昭和の始めに(大戦前ですが)雑誌「古本屋」や雑誌「古本春秋」などになかなかおもしろい寸評やエッセイを書かれておりました。(復刻版が出ていますので図書館などに揃っています)

雑誌「古本春秋」は確か自分が出版していたんじゃなかったのかな、広告がおもしろくって、けっこうモダンな感じで本の広告がされています。

さて、本からおもしろい話を
・北清事変で北京城に一番乗りは日本兵であったが、その折、英・独・仏・露の兵士は書庫に殺到した。日本兵にみはひとり米倉を占領して得意がっていた。

紀田順一郎の「古本屋探偵の事件簿」(創元推理文庫)に書鬼というのがありますが、神保町に出没する矢口という老人が出てきます。ステッキを持ち歩き、ステッキに線が書いてあってその高さまで本を買い込まないと気がすまないというビブリオマニア(書狂)なんですが、そのモデルが出てきています。

フランスのブーラールというフランス法制院のメンバーでたいへんな書狂だったようで、彼が死んだ時に競売された本は5、60万部というヘタな図書館以上の蔵書でした。この人は毎日1メートルの長さの杖を持って歩き、この高さまで本を買っていたそうです。あまりにたくさん買うので奥さんが一度止めたところ神経衰弱になってしまい、それから周りもあきらめました。

ある日例のごとく、たくさんの書物を買い込み、馬車も断わって乗せてくれないので、大汗をかきかき帰宅したのが原因で助膜炎で亡くなったそうです。

|

« 知的生産の技術研究会・総会開催 | トップページ | 本の話 神話学 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 書物の敵:

« 知的生産の技術研究会・総会開催 | トップページ | 本の話 神話学 »