資本主義は江戸で生まれた
【書 名】資本主義は江戸で生まれた
【著 者】鈴木 浩三
【発行所】日経ビジネス人文庫
【発行日】2002/5/1
【ISBN 】4-532-19124-6
【価 格】714円
江戸時代、『東の金遣い、西の銀遣い』と言われ、関東と関西で変動相場制だったというのは有名な話です。
この本を読むとそればかりでなく、現在行われている色々な経済施策は既に江戸時代で実施済でした。
■鼠小僧の小判は使えなかった
義賊・鼠小僧が富豪から盗んだ小判を長屋の生活困窮者に投げ入れていた話はお芝居などで有名ですが、庶民が取引として使えたのは「銭」でした。
金・銀は大口取引や高級品の購入に使われており、庶民が小判を使おうと思えば両替商に持ち込みしかなく、こうなると一発で足がつきます。
■請求書、領収書の一金は江戸時代から
「一、金壱万両但米一万俵」のように金額と品物をいれて記述しましたが。これが現代まで残り、領収書などに「一、金○円也」と書くようになっています。
■立会い、水入りは相撲用語ではなかった?
立会い、水入りは元々は相場の用語です。『立会い』とは相場が開かれている時間で、立会い時間が終わると拍子木を打って終了を知らせます。相場が過熱していた時は水をかけたそうで、これが『水入り』です。
■ケインズ理論の実践
世界初の先物取引が行われたり、天下普請は公共工事によるケインズ政策だったり、業界団体をうまく幕府が使って経済コントロールをしたり、御用金は国債に近かったなど日本の資本主義は本当に江戸時代からスタートしていたようです。
■遠山の金さんはエコノミスト!
遠山の金さんで有名な遠山左衛門尉は「物価の高低は金銀貨幣の品位によるものだから、物価引下げの効果は期待できない。一旦下落しても長続きしない」という発言や「利息を法律でしばるのは金融の円滑化を妨げる」などまるでエコノミストのような発言をしています。
江戸時代の官僚は経済がわかっていないと駄目だったんですね。
| 固定リンク
コメント