古文書返却の旅
【書 名】古文書返却の旅 戦後文学史の一齣
【著 者】網野 善彦
【発行所】中公新書
【発行日】1999/10/15
【ISBN 】4-12-101503-7
【価 格】660円
1949年に東京の月島(中央区)で漁業制度改革の史料ということで全国各地の漁村の古文書を借用または寄贈という形で集めることになりました。筆者が勤めだしたのは1950年からで、調査員の中には宮本常一氏もいたそうです。この事業にはあの渋沢三代の最後の一人である渋沢敬三氏もかかわっていたそうです。
そういえば佐野眞一氏が「旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三」という本を書いておりました。
さて、この事業ですが途中から水産庁の予算がつかなくなり、やむなく職員は職探しに、そして集めた資料は倉庫に眠ることになってしまいました。
それから30年、筆者は名古屋大学から神奈川大学へ移り、ここに日本常民文化研究所を設立して、残された資料を引き取り、その返却の旅が始まります。
風呂敷包みを持って対馬に到着します。30年もほったらかしにしていた家に行って叱責を受けると覚悟していたら「今まで文書を持っていって返しに来られたのはあなたが始めてです。」という暖かいお言葉。
古文書返却の旅で色々な人との再会が生き生きと描かれています。
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