本棚探偵の冒険
【書 名】本棚探偵の冒険
【著 者】喜国雅彦
【発行所】双葉文庫
【発行日】2005/1/20
【ISBN 】4-575-71290-6
【価 格】762円
古本好きの様子を見事に描いたエッセイです。
著者の喜国雅彦氏は漫画家なのですが漫画は見たことがないですね。探偵小説が収集ジャンルで仙花紙の小説まで集めています。
■古本屋さんを探して
甘い期待って、ついしてしまいますが、古本好きになると
「駅前に工事中の店舗があったが、古本屋さんが入ったかもしれない」
手作りパンの店だった。
「今、電車の窓からちらっと見えた古本屋の、店の外の均一棚に横溝が並んでいるのが、確かにハッキリこの目に見えた。」
危ない人の仲間入りだ。
気持ちはよく分かります。(笑)
■京都の女子高生
筆者が時間待ちに古本屋さんに入ったら、女子高生が古本屋の主人に質問しているところに遭遇しました。それが藤原ていの『流れる星』があるかどうか聞いている場面で主人が「ないな」と答えたら「みすず書房」の『夜と霧』を買っていったそうです。
すごい女子高生ですねえ!
「みすず書房」なんて眺めたことはありますが、買ったことないです。古本屋の主人もうれしそうに受け答えしていたそうです。
■出久根達郎&北村薫との対談で古本屋に珍しい本がずらっと並ぶのは誰かコレクターが死んだんだという話に
『僕は、連れ合いにちゃんと言ってあります。「僕にもし何かあったら、どこそこの古本屋さんに連絡して値段をつけてもらいなさい。僕の友だちだと名乗るヤツが、本を貸していたと言ってやって来るだろうけど、僕は一冊も借りてないから部屋に上げるな」って』
昔、コレクターが死ぬと一番に焼香をしにくるのが古本屋さんだという逸話を聞いたことがありますね。
■おすすめ
他にも面白い話題が満載で、得におすすめが『小説 兄嫁の寝室』です。フランス書院のような文体で最後のドンデン返しがいいですなあ。
またポケミス(ハヤカワ・ポケットミステリー)が1600冊ほど出ていますが、これを1日でどれだけ見つけられるかという『ポケミス・マラソン』はほんまにやったんですね。すごいなあ。見つけるたびに「ポケミス、ゲットだぜ!」で、これが言いたいためにやっているだけかも。
紀田順一郎氏の川柳が紹介されたいました「古本屋、やや難有りの人ばかり」
全体の文体は、昔なつかしいヨコジュン(横田順彌)のハチャメチャ文を彷彿とさせます。そういえばヨコジュンには『古本探偵の冒険』という本があるので、それにあやかって題名をつけたのかな?
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