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2004/12/20

ひとり出版社「岩田書院」の舞台裏

 【書 名】ひとり出版社「岩田書院」の舞台裏
 【著 者】岩田 博
 【発行所】無明舎出版
 【発行日】2003/7/10
 【ISBN 】4-89544-343-4
 【価 格】1600円



東京・世田谷で日本史、民俗学関係の専門書を発行する岩田書院です。創業は1993年6月で、社長一人だけの出版社です。

発行している新刊ニュースの裏面に「裏だより」という愚痴や業界話などを毎回つづったコーナーがあり、それをまとめた本になっています。創業した時からずっと掲載されていますがこれがなかなか面白い内容で出版の原価計算や決算報告などが出ています。

実際の数字で見ても専門書って儲からないんですね。

■700部出たら御の字
専門書の場合、大体売れそうな数字を想定して出していますが、500〜700部売れれば御の字で、中には300部しか出さない本もあります。売れないので必然的に定価も高くなり8000円前後。定価を半分にしても2倍売れないので何とも仕方がありませんね

初版の半分が売れたら制作費が回収でき、残りの1/4を売って諸経費が回収でき、最後の1/4が売れないと利益になります。ところが、この利益が出る本がなかなか出ません。

■教科書
数がはけ利益も出やすいのが教科書で、岩田書院でも何冊か作っています。ただし大学生もなかなか本を買わない時代ですので、先生も色々と考えるそうです。

中には
「見開き頁の片側がメモ欄になっている。前期と後期の試験の答案用紙が付いている。最初の頁は出席簿として、先生のハンコを押すようになっている。」
これは買うしかないですなあ。

■勉誠出版
「裏だより」を読んでいると勉誠出版の『人文学と情報処理』が紹介されていました。やはり勉誠出版って一般書というより少しひねった専門書が多い出版社なんですね。

他にも本を送ったのに金を送ってこないので、代引で請求した話やら部屋に入りきらずに玄関に置いておいた本が盗まれた話など面白い内容です。
→ 岩田書院

岩田書院の本は一般書店には置いてなく、神保町の書肆アクセスか地方小出版流通センターの直売店にしかないそうです。

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