知性派の読書学
【書 名】知性派の読書学
【著 者】紀田 順一郎
【発行所】柏選書
【発行日】1977/7/20
【価 格】1800円 古書値2000円程度
「読書の技術」「続・読書の技術」に続く3冊目です。今度はエッセイ集を集めたような形でなかなか楽しめる1冊になっています。渡部昇一氏との対談(知的読書の方法)も入っています。おもしろい話をひろってみると...
■作家とコレクターの違い
蔵書家として知られる作家のY氏は、訪れた学生から「コレクターとしてお話しを伺に来ました」と言われ、即座に「僕は作家だよ。コレクターというのは、本を集めるだけで何もしない人のことだよ」とやり返しました。なかなか分かりやすい定義ですね。次の定義はいかがですか?
書物道楽者の4つの定義 徳富蘇峰「書物道楽の始め」
1、書物に対して熱情をもってこれを心から愛好すること
2、書物に対する相当の知識を有すること
3、書物のために時間を潰すことを厭わざること
好書探究に若干の時間を有すること
4、書物を購求するだけの相当の資産を有すること
1、3はできそうですが 3、4は果てしない道ですね!
それからこの本で大いに納得するのは「知的生活に最も障害となるのは重病を除けば、家族と親族の問題がある。」という渡部昇一氏の「知的生活の方法」を引いた部分です。女房が重病になったり、子供が悪事をはたらいたら心静かに本を読んだり考え事などできるわけがない。とあります。
しかし、その後に「だが、知的生活とは何だろうか。実人生に正面から取り組むことの意義とくらべて、それほど重視すべきものかどうか。」となり、「いわゆる学者バカに徹しうるほど恵まれた環境の人は稀であり、そうした人が何かの業績をあげ得たとしても当然というまでの話だ。多くの研究者は、あらゆる悪条件と闘いながら業績をあげているのであり、だからこそ、”業績”として賛えられるのである。」と実に明解です。
様々な障害の中、知的生産を行うのは至難の業ですねえ。
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