« それでも本は出す! | トップページ | 秋の古本まつり »

2004/10/14

古本屋の手帖

 【書 名】古本屋の手帖
 【著 者】八木福次郎
 【発行所】東京堂出版
 【発行日】1986/3/10
 【ISBN 】4-490-20101-X
 【価 格】2600円

古書業界の月刊誌「日本古書通信」に掲載された文章などを中心にまとめられたものです。日本古書通信が始まったのが昭和9年1月25日で八木敏夫氏によって始められました。現在の八木福次郎氏は弟になります。

元々は大阪に大阪の古書相場を載せる雑誌があったのですが、東京でもやろうということで大阪の雑誌を出しているところに挨拶に行くと、東京で始められる人を待ってましたと大阪の雑誌をそのままゆずられてスタートすることになりました。
ここらへんは反町茂雄氏の「一古書肆の思い出」に出てきます。最初は古本屋さんのための雑誌で、月2回発行でした。

東京の相場を載せましたので古書の値が全国の古本屋に伝わることになります。これですと田舎で相場の安い本を仕入れて、神保町で高く売るなどのセドリができにくくなります。古書組合の反対とかにあって相場を載せ
れなくなり、編集方針を転換して、古書の話題を中心に古本屋さんや本好きに読んでもらう雑誌の模様替えされました。戦後に月1回発行になったようです。1996年3月に通巻800号を迎え、63年と3ケ月かかったことになります。

さて本から話題をいくつか

●世界最古の印刷物(実は韓国にもうひとつ古いのがある)
百万塔陀羅尼教というお教です。 恵美押勝の乱の平定後に称徳天皇が発願されて764年頃からお教を印刷して小塔におさめて100万基を寺に納めたものです。現在伝わっているのは法隆寺だけです。

だいぶ前に京都で印刷に関する展示会に出品されていました。ときたま古書市場に出るようで昭和59年には430万円でした。

●北村透谷の「楚囚之詩」
透谷が出版前に取り止めて、印刷屋に断裁するように指示して、この世には無いと思われていた本です。これの発掘話はあまりに有名ですが、昭和5年に本郷で開かれた古書展に、この本が出ました。出した古本屋はそんなたいしたものとは思ってなかったようです。

そしたら学生がそれを見つけて、ワナワナ震えています。隣で見ていた石川巌氏が学生が持っている本を見て「5円で売ってくれ!」とか話始めると二人を囲んで大変な騒ぎになりました。学生は逃げるようにお金を払って本を持っていきました。

出品した古本屋はショックで寝込むというような話もありましたが、この本によるとただの伝説だったようですね。ところが町の古本屋だった窪川書店(掘り出された古本屋)に毎日のように掘り出し物があるのでは石川巌氏のような明治文学の研究者が押しかけてきて、店主も必死で勉強してついには明治文学専門の店となりました。学生(後に高校の先生に)が見つけた本は石川巌氏が複刻しています。今また市場に出たらいくらぐらいかな。この復刻版も京都の展示会に出品されていました。

|

« それでも本は出す! | トップページ | 秋の古本まつり »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 古本屋の手帖:

« それでも本は出す! | トップページ | 秋の古本まつり »