古本探偵の冒険
【書 名】古本探偵の冒険
【著 者】横田順彌
【発行所】学陽文庫
【発行日】1998/8/20
【ISBN 】4-313-72060-X
【価 格】780円
本の雑誌社から「探書記」として出ていたのを加筆、訂正したものです。確かこの人、私が中学の頃は鏡明らと共にハチャメチャSFの作家だったはずだったんですがね...
以前に日経新聞の日曜版に紀田順一郎氏と交替で古書に関するコラムを書いていますし、日本古書通信では「明治時代は謎だらけ」の連載がありましたし、いまや明治物の研究者ですね。
きっかけは日本古典SFということで押川春浪の研究から入ったはずが、しっかりと周辺領域にもはまっております。
■春浪の弟
押川清というのですが、早稲田大学野球部の第3代主将で、日本最初のアメリカ遠征チームのメンバーだそうです。中日ドラゴンズの創設者の一人で野球殿堂入りしているそうです。知らなかったな。
■漱石の猫
押川春浪自身も野球が好きで、野球は教育に悪いと言い出した新渡戸稲造と大論争に、その上、東京朝日新聞の渋川玄耳氏が野球亡国論を唱えだし大騒ぎに 結局、押川が論争に勝った形になりますが渋川は朝日をやめざるをえなくなります。当時、四人の子供をかかえて、妻とは別居中で次の職も決まらず、引越もしなければということで飼っている猫を、夏目漱石の家にもらってもらったそうで、ということは漱石の猫って野球論争のとばっちりを受けた猫だった!
■明治時代のSF
羽化仙史「月世界探検」(明治39年 大学館)もちろんペンネームで本名は渋江保。どっかで聞いた名前だ!
そうだ森鴎外の「渋江抽斎」の抽斎の息子で後半の主人公になる人物だ!なんと「新世界旅行」「新クレオパトラ」など50を超えるSF・冒険小説を書いているそうです。
森鴎外の「渋江抽斎」にはそんな話は全然載っていなかったのに、それとも森鴎外と知り合って影響を受けだして書き始めたのでしょうか?
ホントに明治時代は謎だらけ
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