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2004/09/09

江戸の板本 書誌学談義

 【書 名】江戸の板本  書誌学談義
 【著 者】中野三敏
 【発行所】岩波書店
 【発行日】1995/12/6
 【ISBN 】4-00-002955-X
 【価 格】2910円

神保町の八木書店2階で求めたものです。96年3刷の本を買いましたので、まだ探せばあるはずですが、大規模店の岩波書店のコーナに行ってもまず見ない本ですね。(^^);

カバーが両国橋風景(江戸)でなかなかおしゃれです。巻末にはちゃと索引もあるし、いい本です。

整版、活字版の違いなど板式、装丁、分類などに分けて丁寧に書かれています。ちなみに整本というのは字や絵を板木に逆文字で彫りこんで、その面に墨を塗って印刷したものです。活字本は活字をひろってそれに墨を塗って印刷した本で、銀河鉄道の夜でジョバンニがアルバイトするのがこの活字本の方です。

昔は整版でしたのが、秀吉の文録・慶長の役頃に朝鮮から活字がもたらされ、またキリスト教関係でも印刷機が持ち込まれ(天正時代にヨーロッパに渡った4少年の帰り道に宣教師が持ちこんだ話もあります)
活字本が始まりました。天草や長崎で出来たのがキリシタン版で天理図書館に何点かあります。(確か国宝か重要文化財のはずです)

どれもが天下の孤本です。(世界にたった1冊しかない)それが寛永から慶安にかけて活字本がパッタリと途切れて、整本が主流になってしまいました。

どうも、この頃にそれまでは寺院などで発行されていた出版物が十分に商売として成り立つようになってきたのが原因のようです。つまり出版社の誕生ですね。慶長14年の「古宝真宝」の奥付に「本屋新七」の名前が出ていますので、この頃に出版業が成り立ち始めたようです。

そうなると本屋(出版業)にとっての財産は刷り上げられ製本された本ではなく、元の原版つまり板木そのものになります。板木さえあれば追加注文に応じて増し刷りが可能になります。活字ですと、本を作成した後に次の本のために活字をばらしていますので増刷はできなくなります。まあ、これはこの作者の推理なんですが、たぶん順当な線ですね。今は電子写植、そのうちにアクロバット(PDF)になりそうですね。


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