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2004/09/30

「本屋さん」との出会い

 【書 名】「本屋さん」との出会い
 【著 者】洋泉社編集部
 【発行所】洋泉社
 【発行日】1987/7/25
 【価 格】1300円

古本屋さんで見つけてきた本です。本の取次会社に日本出版販売株式会社(略して日販)がありますが、ここが出している日販通信の昭和51年から60年まで連載されたエッセイ「書店との出会い」を集めたものです。77人の作家や批評家、学者が登場しています。

■日本橋の古本屋さん
電気屋街といえば東京は秋葉原、大阪では日本橋ですが、ついこの間までは古本屋の街でした。井上光晴氏の思い出で、ある日本橋の古本屋で「草場弘の修身科講座」という注文を聞くと、店に座っていた番頭は5軒以上の店に電話をかけてくれ、それでも無いと奥にいた者を店番にして、出ていき30分も経過してから、その本を手にあらわれたそうです。

本の名前を言っただけで、即座にそれを取り出してくれるような時代は無くなったと筆者は昭和の時代に嘆いていますが、インターネットの世界になり、古書目録を検索すると、この頃は自分で見つけられる変な時代になってしまいましたね。

■浅田彰氏
「すいません、この本が欲しいのですけど」。大学生らしいのが、先生にもらったと思しき参考書リストをカウンターの店員に見せています。特別な教科書なら仕方がないが、極めて一般的な本。少なくとも大学生であるなら、必要な本は自分で探し出すぐらいでなければ困る。ついでに周辺の本もいろいろと拾い読みし、そっちが面白くって買ってしまうぐらいでなければ駄目だと嘆いております。同感ですね。昔、教員をしていた時に学生に最レポートを出しました。

「安岡政篤という人物について書かれた本を読み、当学園の理念である行動する思考人を育てるとはどういうことであるかレポートにまとめよ」という課題でしたが、学生には少し固い本を読むいい訓練になったようです。推薦書リストなども一切無しで、自分で本を選ばせるようにしました。

■ロンドンの本屋
5階建てで最上階が宗教・神学関係の本売場で階を下がる毎に俗世間に近くなり、1階と地下には風俗雑誌やポルノ本が並んでいるのだそうです。まるでダンテの「神曲」の天上界への道と同じ構造なんだそうです。 (^^);

■手塚治氏の赤本
手塚氏がまだ学生の頃で、粗悪本やマンガ本を赤本と読んだそうです。ちょうどデビューした頃で、今も玩具通りになっていますが、大阪の松屋町の玩具問屋がこの赤本を売っていたそうです。ですので、ここへ行くと、その減り具合で、自分のマンガの人気が分かったそうです。手塚氏もよくうろうろして問屋の店主や番頭と顔見知りになったそうです。

松屋町には西日本の小さな玩具や駄菓子や雑貨の小売業者が集まる町で、風呂敷に玩具と一緒にマンガも入れて持ち帰り売っていたそうです。この頃は日販などもまだマンガを扱っていない頃だったんですね。

■荒俣宏
古本屋さんに教わった言葉が載っています。「すべての本は五年探せば手に入る」だそうです。そうですね。欲しいと願っていれば確かに手に入れられますね。私も長い間、探していた本を京都の古本屋で見つけた時の感動は今でも忘れられません。棚の一番の下のそれも隅にありました。期待せず棚をざっと眺めている時にキラリと光るものがあり、何だろうと注視してみると探していた本で、こうなると奇跡に近いものがありますね。

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