« 史伝閑歩 | トップページ | 天理図書館の善本稀書 »

2004/08/10

古本屋の本棚 店主たちのこだわり

 【書 名】古本屋の本棚 店主たちのこだわり
 【著 者】高橋 輝次
 【発行所】燃焼社
 【発行日】1997/11/15
 【ISBN 】4-88978-979-0
 【価 格】1800円

「古本屋の自画像」「古本屋のウンチク」「古本屋の来客簿」に続くシリーズ4作目です。今回も古本屋さんのエッセイを中心に構成されています。

■夏目漱石の「行人」
主人公の二郎が来阪するが、目的はさる縁談の、男方の首実験が堺市の浜寺で行われる。その男方の名前が佐野である。「堺」の「浜寺」で主人公が男と会い、その名前が「佐野」です。次は和歌山かなというぐらい、南海本線の駅名がずらっと続いています。

佐野駅は現在の泉佐野駅で、講演会などで大阪に漱石はけっこう来ていますし、大阪の胃腸病院に入院しているぐらいなので南海沿線から名前をつけたのではというのが池崎書店店主の考えです。

■江川本
限定本の出版社として有名だったのが江川書房であった。有名なのが「ルウベンスの偽画」(堀辰雄)で簡素ないい装丁になっている。限定300部であるが第1冊目には東郷青児、第2冊目には古賀春江の水彩画の挿入本があると言われている。本来は挿絵やカットにするつもりであったが、堀辰雄の気持ちが途中で変わって、そのかわり原画をそのまま挿入した本を2冊だけ特別にこしらえて作ってもらうつもりである。(つもりなのが重要)

そして、この2冊は今だに発見されていません。誰一人として見ていません。20年ほど前に古書市会に古賀春江本として出品されたものがありましたが、贋作でした。愛書家を迷わす幻定本になっています。

でも、絶対に無いと言われていた「楚囚の詩」が出ましたしね。でも「ルウベンスの偽画」の幻の2冊が出たら、一体どういう値段がつくんでしょうか。まさしく天下の孤本です。

■公任本古今和歌集 発見!
神田の玉英堂書店さんの発見記です。一本の電話から始まりました。

「古今和歌集の写本があるんですが、見てもらえませんか?」あまり期待していなかったのが現物を見るともしかすると、もしかするという物でした。思いきった買値をつげると、それでけっこうですという話です。さあ、そこからが調査です。わが国最初の勅選和歌集です。鎌倉時代の写本が1800万円、南北朝時代で1500万円です。
でも、それよりも数段上のようです。

結局は、平安中期の写本で藤原公任(966ー1041)の手になる本であるらしい。現在の最古の古今和歌集よりも古い大変なものでした。

これだけで目録を作成し、調査した内容を書き入れました。本1冊だけの古書目録です。売値は1億5千万円!
20人から注文が来たそうです。

■京都古書研究会

昭和54年4月6日の京都古書会館における座談会の話が載っています。総勢40名の業者が集まりました。京都9名、大阪15名、東京12名、横浜1名、北海道1名、九州2名だったそうで、京都が前年に比べて減ったそうです。「京古本や往来」によると丁度、京都古書研究会が誕生する頃にあたりそうです。


|

« 史伝閑歩 | トップページ | 天理図書館の善本稀書 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 古本屋の本棚 店主たちのこだわり:

« 史伝閑歩 | トップページ | 天理図書館の善本稀書 »