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2004/08/09

史伝閑歩

 【書 名】史伝閑歩
 【著 者】森 銑三
 【発行所】中央公論社
 【発行日】1985/9/20
 【ISBN 】4-12-001417-7
 【価 格】2500円

久しぶりに森銑三の本を読みました。いつ読んでもこの人の書く人物評は面白いですねえ。文章も読みやすいです。

■徳川幕府の秘密文章
徳川幕府では老中から老中へ伝える機密の文書があったようです。家康の遺訓だったようで、老中から老中に伝えられて将軍と言えども見ることができなかったそうです。

将軍が無理な上意を言った時などは「遺訓に背きますぞ」と老中が言えば、将軍としても要求を撤回しないといけない仕組になっていたそうです。

ところが11代将軍の家斉の時代に老中の水野出羽守忠成が将軍に見せてしまい、効果が無くなってとか。どんな文章だったのですかね。

■土井ごう牙
この人物、どうも津市に関係がある人物のようですが、江戸末期から明治時代に活躍した人のようです。

ある時、門人の一人が「先生、これについてはどこに出てますか」と質問すると「それは何の本だと」と即座に答えたそうです。

ある日などは目隠しをして、座右の本箱から手探りで、一冊の本を取りだし、目隠しのまま、パラパラとめくってこの辺だろうと弟子に指し示したそうです。

「学問の書物は軍隊と同じことで、いざという時に、自由に出されなくては役に立たぬ。」

達人ですなあ。

また何の講義をするのも「筆記などはしてはならぬ」と申し渡したそうです。「書生は、紙に書きつけるのではなくて、心に記すのが肝心だ。筆記にたよったりしては、機に臨み、変に応じて、その知
恵を繰り出すことができぬ」
落語家の稽古のような授業風景ですが、それが一番なんでしょうね。

■千早ふる
「千早ふる神代もきかず竜田川からくれないに水くくるとは」という百人一首を元にした落語がありますが、竜田川という相撲取りがという例の落ち話しです。

この話はけっこう古くって天明7年に山東京伝の「百人一首和歌始衣抄」にはもう出ているそうです。しかも京伝の創作ではなく、その頃にはけっこう広まっていた話だそうで、そうとう古い落ち話しだったんですねえ。

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