文圃堂 中原中也
昨日、宮沢賢治全集を出した文圃堂について書き込みをしましたが、かなり以前の日本古書通信819号に中原中也の話と共に文圃堂が出ていました。
中原中也が処女詩集「山羊の歌」を出そうとした時に、いくつかの出版社に断わられてたどりついたのが文圃堂です。紹介したのは小林秀雄です。
中原中也は文圃堂で風呂敷包みから原稿を出し、どうしても文圃堂から出してほしい。本文は既にこのようにでき上がっているので、あとは表紙をつけて、できれば箱もつけてほしい。それから装丁であるが「宮沢賢治全集」のようなものが気にいっているので、是非あんな本にしてもらいたい。と切々と訴えたそうです。
中原中也の熱意にほだされた野々上氏(文圃堂主人)は高村光太郎に装丁をたのみ、200部限定で昭和9年12月に出版しました。これが中也の最初の詩集です。
それにしても全く無名だった宮沢賢治の全集を始めて出したり中原中也の処女詩集を出したりととんでもなく先見の目のあった本屋さんですね。
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